構造耐力上主要な部分と間柱の違いを正しく理解する方法

構造耐力上主要な部分と間柱の関係を正確に理解する

間柱を撤去しても確認申請は不要ですが、柱を撤去すると無申請で違法工事になります。

この記事の3つのポイント
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間柱は「構造耐力上主要な部分」に非該当

建築基準法施行令第1条第3号の条文上、間柱は構造耐力上主要な部分の10種類の部位リストに含まれておらず、構造部材(構造耐力上主要な部分)ではなく非構造部材として扱われます。

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品確法10年保証と地震保険の査定に直結

構造耐力上主要な部分は品確法で10年間の瑕疵担保責任の対象となりますが、間柱はその対象外です。地震保険の損害査定でも、間柱の損傷は保険金算定の基礎から除かれます。

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「主要構造部」との混同が実務上のミスを生む

「主要構造部」(防火基準)と「構造耐力上主要な部分」(構造強度基準)は別概念です。この2つを混同すると、大規模の修繕・模様替えの確認申請の要否判断を誤り、法的リスクを招きます。


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構造耐力上主要な部分の法的定義と間柱が除外される理由

「構造耐力上主要な部分」とは、建築基準法施行令第1条第3号に規定されている用語で、建築物にかかる荷重や外力を支える部分のことです。具体的には、基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・斜材(筋かい、方づえ、火打材など)・床版・屋根版・横架材(はり、けたなど)の10種類が挙げられています。

この定義には2つの条件が同時に必要です。まず「部位の種類」として上記10種類のいずれかに該当すること、次に「自重・積載荷重・積雪荷重・風圧・土圧・水圧・地震などの荷重を支えていること」です。どちらか一方だけでは構造耐力上主要な部分とはなりません。

では、間柱はなぜ除外されるのでしょうか?

間柱(まばしら)は、一般的に木造在来工法において柱と柱の間に設けられる細い部材で、断面寸法は45mm×105mmや30mm×105mm程度が標準的です。その役割はあくまで内外装の下地材を固定することであり、建物の鉛直荷重や地震力を主要な柱や耐力壁に伝達する働きは持っていません。つまり、間柱は上記の「部位の10種類」リストにも含まれておらず、「荷重を支える」という第2条件も基本的には満たしません。これが原則です。

一般的に非構造部材と呼ばれます。これが実務上の基本認識です。

参考として、建築基準法施行令の条文はe-Govで確認できます。

建築基準法施行令 – e-Gov法令検索(国の法令データベース。令1条3号の条文を直接確認できます)

構造耐力上主要な部分と主要構造部の違い:不動産実務での混同リスク

不動産実務において特に注意が必要なのが、「構造耐力上主要な部分」と「主要構造部」の混同です。この2つはまったく別の法的概念です。

「主要構造部」は建築基準法第2条第5号に定義されており、壁・柱・床・はり・屋根・階段の6つを指します。これは防火や避難という観点から「火災時に建物が一定時間倒壊しないために重要な部分」という意味合いです。一方、「構造耐力上主要な部分」は令1条3号で定義され、荷重・地震力への抵抗という構造強度の観点から定められています。

用語 根拠法令 目的 間柱の扱い
主要構造部 建基法2条5号 防火・避難上の安全確保 除外(明示)
構造耐力上主要な部分 施行令1条3号 構造強度・耐力確保 10種類に含まれない

主要構造部の定義を見ると、条文自体に「構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段などは除く」と明示されています。つまり主要構造部でも間柱は除外されます。

この2つを混同してしまうと困ります。たとえば、耐火建築物の耐火被覆の要否を判断する際に「主要構造部」の概念を使うべきところを「構造耐力上主要な部分」の概念で考えてしまうと、耐火被覆が必要な部位を見誤るリスクがあります。不動産取引の現場でも、リノベーション計画の建物調査や重要事項説明の準備で両概念の混同が起こりやすいので注意が必要です。

2つの概念を混同しないことが基本です。

参考として、主要構造部と構造耐力上主要な部分の違いを詳しく解説しているページです。

「主要構造部」の定義とは|「構造耐力上主要な部分」との違いも解説 – 確認申請ナビ(確認検査機関OBの一級建築士が運営する建築基準法解説サイト)

構造耐力上主要な部分と間柱の違いが大規模修繕の確認申請に与える影響

不動産従事者として建物の大規模リノベーションや修繕案件を扱う際、確認申請が必要かどうかの判断は非常に重要です。建築基準法では「大規模の修繕」「大規模の模様替え」に該当する工事は確認申請が必要です。この「大規模」の判定には「主要構造部」の概念が使われます。

具体的には、主要構造部のいずれか1種類以上についてその過半(半数超)を修繕・模様替えする場合が「大規模の修繕・模様替え」に当たります。ここで重要なのが、間柱はこの「主要構造部」に含まれないという点です。

つまり、建物内の間柱をすべて取り替えたとしても、それだけでは法的な「大規模の修繕」には当たらず、確認申請は原則不要となります。これが条件です。反対に、構造耐力上主要な部分である通し柱や管柱を無申請で撤去・変更すると、建築基準法違反になりかねません。

📋 確認申請の要否判断チェックポイント

  • 間柱のみの取替え・追加:主要構造部に含まれないため、確認申請は原則不要
  • 通し柱・管柱(本柱)の撤去・移動:構造耐力上主要な部分かつ主要構造部に該当するため、要確認
  • 筋かいの除去・移設:構造耐力上主要な部分(斜材)に該当する可能性があり、慎重な判断が必要
  • 壁の過半を撤去・模様替え:耐力壁か非耐力壁(間仕切壁)かで判断が変わる

現場で間柱か本柱かを見分ける際の目安として、木造在来工法では本柱(管柱・通し柱)の断面が105mm角または120mm角程度であるのに対し、間柱は45mm×105mm程度の薄い部材であることが多いです。はがきの短辺(約10cm)を目安に断面サイズで判断するのが一般的です。

建物の間取り変更を伴うリフォーム・リノベーションを扱う際は、必ず構造図面を確認する習慣をつけておくと、こうした誤判断を防ぐことができます。

参考として、大規模の修繕・模様替えの確認申請手続きについての実務解説です。

改修の確認申請(大規模の修繕・模様替え) – 建築再構企画(用途変更・適法改修を専門とする建築士事務所による解説)

品確法の10年瑕疵担保責任と間柱の関係:不動産売買で見落としやすいポイント

新築住宅の売買・仲介を扱う不動産従事者にとって欠かせない知識が、住宅品質確保促進法(品確法)における10年間の瑕疵担保責任の範囲です。

品確法では、新築住宅の売主・建設業者は引き渡しから10年間、特定の部位について瑕疵担保責任を負うとされています。その対象は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の2種類だけです。つまり非常に限定的です。

ここで重要なのが、間柱は「構造耐力上主要な部分」には該当しないという点です。間柱に何らかの欠陥があったとしても、品確法の10年保証の対象外となる可能性があります。仮に間柱が腐食・変形していたとしても、それが建物の構造耐力上の問題(例:近接する柱や耐力壁への影響)として整理できなければ、売主・施工業者への法的責任追及の根拠が薄くなります。

💡 実務上の注意点として、中古住宅の売買で「構造に問題あり」とインスペクション結果が出た場合、それが「構造耐力上主要な部分」の瑕疵なのか、「非構造部材(間柱など)」の劣化なのかで、契約不適合責任の範囲と交渉力がまったく変わってきます。買主への重要事項説明でも、この区別は丁寧に伝える必要があります。

また、住宅瑕疵担保履行法により、建設業者・宅建業者は資力確保措置(保険への加入または保証金の供託)が義務付けられていますが、この保険の対象となる部位も「構造耐力上主要な部分」と「雨水浸入防止部分」に限定されています。間柱を含む非構造部材の瑕疵は対象外となるため、売買の仲介業務でも明確な区別が求められます。

品確法の対象は2種類だけと覚えておけばOKです。

住宅瑕疵担保履行法とは – 住宅瑕疵担保責任保険協会(品確法・履行法における保険制度の対象部位を公式に解説しているページ)

地震保険の損害査定と構造耐力上主要な部分:間柱は査定対象外という実態

地震保険を扱う場面でも、「構造耐力上主要な部分」の正確な理解が求められます。地震保険に関する法律(地震保険法)では、構造耐力上主要な部分の損害額を査定して保険金額が算定される仕組みになっています。

実際の地震保険の損害認定では、建物の損害状況を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に分類して保険金支払額が決まります。保険金は全損で契約金額の100%、大半損で60%、小半損で30%、一部損で5%が支払われます。この損害認定では、柱・梁・耐力壁・基礎など構造耐力上主要な部分の損傷状況が査定の中心となります。

間柱は査定の着目点から外れます。これが地震保険の実態です。

たとえば、強い地震の後に建物の壁の石膏ボードが割れていたとしても、その背後にある間柱の変形・損傷は保険査定において主要な評価対象にはなりません。間柱の損傷単体では保険金の増額根拠にはならず、本柱や耐力壁など構造耐力上主要な部分の損傷と合わせて評価される形になります。

不動産投資家や管理物件を持つオーナーが地震後の損害申告を行う際、「間柱が曲がった」「間仕切り壁の下地が傷んだ」という指摘だけでは保険金認定が想定より低くなることがあります。一方、筋かいや通し柱に損傷が確認された場合は、それが明確に記録・証明されると損害認定の区分が上がる可能性があります。地震後には必ず専門家(建築士など)による構造部材の調査を依頼し、損傷箇所を証拠として残すことが重要です。

地震保険 損害の認定基準について – 日本損害保険協会(地震保険の損害認定基準を定めた公式資料。査定対象部位を確認できます)

間柱と構造耐力上主要な部分の見極めが求められる独自視点:インスペクション活用術

ここからは、検索上位ではあまり触れられていない独自の視点です。不動産取引の実務において、インスペクション(建物状況調査)が普及した現在、間柱と構造耐力上主要な部分の区別を正確に理解していないと、インスペクション報告書の読み間違いが起きやすいという問題があります。

インスペクションの報告書には「非構造部材(間柱・間仕切壁など)の損傷」と「構造耐力上主要な部分の損傷」が区別して記載されるケースが増えています。ところが、「構造に問題がある」という表現が報告書に含まれると、買主はすべてが深刻な瑕疵だと受け取りがちです。売主・仲介業者としては、「非構造部材の劣化」か「構造耐力上主要な部分の瑕疵」かを丁寧に説明することが求められます。

この区別を説明できるかどうかで、交渉力と顧客信頼が変わります。

具体的には次のようなポイントを押さえておくと実務で役立ちます。

  • 🔍 報告書の「非構造部材」記載:間柱・石膏ボード・断熱材などが対象で、建物の耐力に直接影響しない。買主への過度な不安を抑える説明ができる。
  • 🔍 報告書の「構造耐力上主要な部分」記載:基礎・柱・筋かい・梁などの損傷は品確法・地震保険・契約不適合責任と直結する重大事項。必ず専門家による補修計画を確認する。
  • 🔍 リノベーション済み物件の確認:過去の施工で間柱と本柱の取り違えが起きていないか、工事記録・検査済証を確認する。
  • 🔍 木造築古物件の内覧時:壁の膨らみ・ひび割れが間柱の変形によるものか、本柱の傾斜によるものかを専門家と確認する。

インスペクションは2018年の宅建業法改正で説明義務の対象となり、中古住宅取引での活用が加速しています。報告書の内容を正確に把握し、「構造耐力上主要な部分の異常」と「間柱を含む非構造部材の劣化」を区分して買主に説明できる不動産従事者は、顧客から高い信頼を得られます。

インスペクションの活用について詳しく知りたい場合は、国土交通省が無料で提供している「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を確認すると、調査対象部位と構造部材の関係が体系的に整理されています。

建築物の改修における建築基準法のポイント説明会資料 – 国土交通省(構造耐力上主要な部分の改修と確認申請の関係を実務的に解説した公式資料)