客付け不動産の仕組みと成功のコツ

客付け不動産の基礎知識と実務

AD1ヶ月でも客付けできないと年間72万円の損失になります。

この記事で分かる3つのポイント
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客付けと元付けの違い

客付けは借主・買主を探す業務で、元付けは貸主・売主から直接依頼を受ける業務。仲介手数料の配分や両手仲介・片手仲介の仕組みを理解することが収益に直結します。

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仲介手数料とADの相場

賃貸は家賃0.5~1ヶ月分、売買は物件価格の3%+6万円が上限。AD(広告料)は家賃1~2ヶ月分が相場で、客付け業者の収益を大きく左右する重要要素です。

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客付け成功の実践ノウハウ

レインズやポータルサイトでの物件掲載方法、写真の見せ方、内見対応のコツ、業者間ネットワークの構築など、契約率を高めるための具体的な手法を網羅します。

客付け不動産業務の定義と役割

 

不動産業界における客付けとは、賃貸物件であれば借主を、売買物件であれば買主を探し出して契約まで導く業務を指します。元付けが物件所有者(貸主・売主)から直接依頼を受けるのに対し、客付けは入居希望者や購入希望者側に立って最適な物件を紹介する立場です。

実務では元付けと客付けの両方を兼務する不動産会社が多いものの、それぞれの役割分担を明確に理解しておくことで、報酬体系や業務フローがスムーズに把握できます。賃貸の場合は「元付0・客付100」といった仲介手数料の配分表記をマイソクで目にする機会も多く、これは元付け業者が報酬を受け取らず客付け業者が全額受領する仕組みを意味しています。

客付け業務で成果を上げるには物件情報の収集力と提案力が不可欠です。レインズ(不動産流通標準情報システム)やアットホームBBなど業者専用のネットワークを通じて、常に新鮮で魅力的な物件情報にアクセスし続けることが求められます。同業他社との情報交換や元付け業者との信頼関係構築も、優良物件を優先的に紹介してもらうための重要な要素となります。

客付け業務の基本的な流れと元付けとの違いについて詳しく解説(GRUNG不動産メディア)

客付け不動産の仲介手数料とADの仕組み

賃貸仲介における仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められており、貸主と借主の合計で家賃1ヶ月分+消費税までとされています。原則として貸主・借主それぞれから0.5ヶ月分ずつ受け取るのが基本ですが、依頼者の承諾があればどちらか一方から1ヶ月分を受領することも可能です。

実際の取引では借主が全額負担するケースが多く、契約書に「仲介手数料は借主負担」と明記されることが一般的です。ただし原則0.5ヶ月分であることを知らない借主も多く、交渉次第では減額できる余地があることも覚えておくべきでしょう。

AD(広告料)は仲介手数料とは別に貸主が客付け業者に支払う報酬で、家賃1~2ヶ月分が相場となっています。ADが高額な物件ほど客付け業者の優先度が上がりやすく、空室期間の短縮につながる効果があります。地方や競合物件が多いエリアでは家賃3ヶ月分相当のADが設定されることもあり、客付け業者にとっては大きな収益源です。

売買仲介の場合は物件価格に応じて仲介手数料が変動し、400万円超の物件であれば「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。例えば3,000万円の物件なら105万6,000円が上限額となり、賃貸と比べて1件あたりの報酬が大きくなります。両手仲介となれば売主・買主双方から受領できるため、不動産会社にとっては収益性の高い取引形態と言えます。

客付け手数料の相場と計算方法の詳細(ORIX銀行不動産投資コラム)

客付け不動産で成果を上げる物件掲載テクニック

物件情報の掲載方法によって問い合わせ数は大きく変わります。SUUMO、HOME’S(ライフルホームズ)、athomeといった主要ポータルサイトでは、掲載開始直後に「新着物件」として上位表示されるため、初動での写真と紹介文のクオリティが反響を左右します。

写真は最低でも10枚以上、できれば20枚程度用意するのが理想的です。玄関・リビング・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・各居室・収納・バルコニー・眺望・共用部分・周辺環境など、入居希望者が知りたい情報を網羅的にカバーします。明るい時間帯に撮影し、広角レンズで空間の広がりを演出することで、物件の魅力が伝わりやすくなります。

紹介文では単なるスペック羅列ではなく、ターゲット層のライフスタイルを想起させる表現を盛り込みます。「駅徒歩5分、スーパー徒歩2分で通勤・買い物に便利」「南向きバルコニーで日当たり良好、洗濯物がよく乾きます」といった具体的なメリットを示すことで、内見予約率が向上します。

レインズへの登録も客付けには欠かせません。専任媒介契約であれば契約締結から7日以内(専属専任なら5日以内)の登録が義務付けられており、全国の不動産会社に物件情報が共有されます。レインズ登録を怠ると他社からの客付け協力が得られず、囲い込みと見なされて業界内での信用を失うリスクがあります。

客付け不動産の内見対応と成約率向上のコツ

内見の場面では担当者の対応力が成約の可否を決定づけます。物件到着前に周辺環境(スーパー・コンビニ・病院・学校・公園など)をひと通り案内し、生活イメージを持ってもらうことで好印象を与えられます。

室内案内では設備の使い方を丁寧に説明しながら、収納の広さや日当たりの良さといった物件の強みを自然に伝えます。「このクローゼットなら季節物もたっぷり収納できますね」「南向きなので冬でも暖かく過ごせますよ」といった具体的なメリットを口に出すことで、入居後の生活がイメージしやすくなります。

質問には即座に答えられるよう、事前に物件情報を頭に入れておくことが重要です。築年数・構造・設備仕様・管理会社・修繕履歴・周辺環境・ゴミ出しルール・駐輪場の空き状況など、よく聞かれる項目は必ずチェックしておきます。

複数の物件を案内する場合は、最も気に入ってもらいたい物件を最後に見せるのが基本です。人間の記憶は最後に見たものが強く残りやすいため、クロージングを意識した順番設定が有効です。また、2~3物件を比較させることで「この中ならこれが一番良い」という決断を促しやすくなります。

内見後は迅速なフォローアップが不可欠です。「いかがでしたか」と感想を聞き、気に入った様子であれば「他にも検討されている方がいるので、お早めにご決断いただけると確実です」と軽く背中を押します。強引な営業は逆効果ですが、適度な促しは成約率を高める効果があります。

客付け不動産業者が避けるべき業界タブーとリスク

不動産業界には「3大タブー」と呼ばれる行為があり、これらに該当すると業界内での信用を失い、最悪の場合は法的責任を問われる可能性があります。

最も重大なタブーが「抜き行為」です。これは既に元付け業者と媒介契約を結んでいる売主や貸主に対し、別の不動産業者が「手数料を安くします」「もっと良い条件で買主を見つけます」などと誘い、契約を横取りする行為を指します。法律上は明確に違法とは規定されていませんが、業界の信義則に反する行為として強く非難され、損害賠償請求の対象となることもあります。

抜き行為に加担した売主・買主側も、元の仲介業者から違約金や費用償還を請求されるリスクがあります。専任媒介契約や専属専任媒介契約では違約金条項が設けられていることが多く、契約途中での解除には相応のペナルティが発生します。

2つ目のタブーが「お客様だけで物件に行かせること」です。内見時に不動産業者が同行せず、顧客だけで鍵を渡して物件を見せる行為は、盗難や破損のリスクがあり、万が一事故が発生した場合の責任問題に発展します。

3つ目が「囲い込み」です。専任媒介契約を結んだ物件をレインズに登録せず、あるいは登録しても他社からの問い合わせに「既に申込が入っています」と虚偽の回答をして、自社で両手仲介を狙う行為です。宅建業法違反となる可能性があり、発覚すれば業務停止処分や免許取り消しの対象となります。

これらのタブーを避けることはもちろん、仲介手数料の上限を超える請求も宅建業法違反です。賃貸で家賃1ヶ月分+消費税を超える報酬を受領したり、売買で「物件価格×3%+6万円+消費税」を超える金額を請求したりすると、100万円以下の罰金や1年以下の懲役が科される可能性があります。

不動産業界の3大タブー行為と違反のリスク(ReTech Network)

客付け不動産業者のネットワーク構築と情報収集力

客付けで継続的に成果を上げるには、同業他社や元付け業者との良好な関係構築が欠かせません。業界の横のつながりを強化することで、レインズに掲載される前の優良物件情報や、ADが高額な物件の優先紹介を受けられるようになります。

具体的には定期的な情報交換会への参加、元付け業者への定期訪問、契約後のお礼連絡といった地道な活動が信頼関係を築きます。「あの担当者は対応が早くて丁寧だから、良い物件があったら優先的に紹介しよう」と思われることが、客付け力の底上げにつながります。

レインズやアットホームBBといった業者専用ネットワークの使いこなしも重要です。新着物件の通知設定を細かく行い、掲載されたらすぐに在庫確認の連絡を入れることで、他社より一歩早く顧客に提案できます。スピードが命の客付け業務では、この初動の速さが成約率を左右します。

SNSやブログを活用した情報発信も効果的です。地域の住環境情報や賃貸・売買市況、物件選びのポイントなどを発信することで、潜在顧客との接点を増やせます。「この不動産会社は地域に詳しそうだ」という印象を与えることで、問い合わせのハードルが下がり、来店につながりやすくなります。

自社運営の物件検索サイトやLINE公式アカウントを整備し、顧客が気軽に相談できる仕組みを作ることも有効です。夜間や休日でも自動返信で初期対応を行い、営業時間内に改めて詳細を案内する流れを構築することで、機会損失を防げます。

客付け業務の本質は「借りたい人・買いたい人にとって最適な物件を見つけ出し、納得して契約してもらうこと」です。売り込もうとする姿勢ではなく、顧客のニーズを丁寧に聞き取り、その人にとって本当に価値のある物件を提案する姿勢が、長期的な成功につながります。


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