キャップレート利回り違い
実質利回りとキャップレートは同じ計算式でも用途が違う
キャップレートの基本的な計算式とNOI
キャップレート(Capitalization Rate)は、不動産投資における還元利回りや期待利回りとも呼ばれ、不動産の収益性を評価する重要な指標です。不動産鑑定や価格算定の場面で頻繁に使用されます。
キャップレートの計算式は「NOI(純営業収益)÷ 不動産価格」で表されます。NOIとはNet Operating Incomeの略で、年間家賃収入から運営費用(管理費、固定資産税、保険料など)を差し引いた純収益を指します。ただし、ローンの返済や減価償却費などの間接的な費用は含まれません。
つまり純粋な運営レベルでの収益力です。
例えば、年間NOIが500万円で不動産価格が1億円の物件なら、キャップレートは5%となります。計算式は「500万円 ÷ 1億円 × 100 = 5%」です。これは投資家がその物件に期待する利回り水準を示しています。
この指標の特徴は、購入前の物件評価に使える点です。逆算すれば「NOI ÷ キャップレート = 適正不動産価格」となるため、物件の理論価格を算出できます。年間NOI400万円で地域相場のキャップレートが4%なら、適正価格は「400万円 ÷ 0.04 = 1億円」と計算できます。
賃貸用住宅の相場は5~8%、事業用不動産では7~10%程度とされています。都心部ほど低く、地方や郊外では高くなる傾向があります。東京都心5区のワンルームマンションでは3.0%台の低水準も珍しくありません。
大和ハウス工業の土地活用研究所による最新キャップレート動向レポート(地域別・用途別の詳細データ)
キャップレート表面利回り実質利回りの違い
不動産投資では複数の利回り指標が存在し、それぞれ異なる目的で使用されます。混同すると投資判断を誤る可能性があるため、明確な理解が必要です。
表面利回りは最もシンプルな指標で、「年間満室想定家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」で計算されます。
経費や空室損失を一切考慮しない数値です。
例えば物件価格5000万円、年間家賃収入400万円なら表面利回りは8%です。広告や物件資料に記載されるのは通常この数値で、物件の初期スクリーニングに使われます。
実質利回りは、より現実的な収益性を示します。計算式は「(年間家賃収入 - 年間経費)÷(物件価格 + 購入時諸費用)× 100」です。管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料などの経費と、購入時の登記費用や仲介手数料も含めるため、実態に近い数値になります。同じ5000万円の物件で年間経費80万円、購入諸費用200万円なら実質利回りは「(400万円 – 80万円)÷(5000万円 + 200万円)× 100 = 6.15%」です。
キャップレートは実質利回りと計算式が似ていますが、用途が根本的に異なります。実質利回りは「実際に得られた収益」を計算するのに対し、キャップレートは「将来得られる予定の収益」をもとに不動産の適正価格を求める際に使用します。つまり実質利回りは過去志向、キャップレートは未来志向です。
不動産業界では、物件選定の初期段階で表面利回りを使い、詳細検討では実質利回りで採算性を確認し、最終的な価格交渉や鑑定評価ではキャップレートを活用するという使い分けが一般的です。各指標の特性を理解せずに混同すると、数百万円単位の判断ミスにつながります。
下表は3つの指標の比較です。
| 指標 | 計算式 | 経費考慮 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 表面利回り | 年間家賃収入 ÷ 物件価格 | なし | 初期スクリーニング |
| 実質利回り | (家賃収入 – 経費)÷(物件価格 + 諸費用) | あり | 実際の収益性確認 |
| キャップレート | NOI ÷ 不動産価格 | あり | 価格算定・物件評価 |
キャップレートNOIとNCFの区別
キャップレートには「NOIベース」と「NCFベース」の2種類が存在し、実務では使い分けが求められます。どちらを使用するかで算出される不動産価格が変わるため、重要な違いです。
NOIキャップレートは、純営業収益をベースとした指標です。計算式は「(年間家賃収入 - 運営経費)÷ 不動産価格」となります。ここでの運営経費とは、管理費、固定資産税、保険料、修繕費(小規模なもの)など、日常的な運営に必要な費用です。
ローンの返済や減価償却費は含みません。
一方NCFキャップレートは、より詳細なキャッシュフローを反映します。計算式は「{(年間家賃収入 + 礼金等)-(運営経費 + 資本的支出)}÷ 不動産価格」です。NOIとの大きな違いは、資本的支出(CAPEX)を控除する点にあります。資本的支出とは、大規模修繕費、設備更新費用、エレベーター交換費用など、物件の価値を維持・向上させるための大型投資です。
具体例で比較すると、物件価格2億円、年間家賃収入1200万円、運営経費200万円の場合、NOIキャップレートは「(1200万円 – 200万円)÷ 2億円 × 100 = 5.0%」です。ここに年間100万円の大規模修繕積立金を加えてNCFベースで計算すると「(1200万円 – 200万円 – 100万円)÷ 2億円 × 100 = 4.5%」となります。
0.5ポイントの差が生じます。
実務では、NOIキャップレートが一般的に使われます。理由は資本的支出の発生時期や金額が不規則で、将来予測が難しいためです。ただし築古物件や商業ビルなど、定期的な大規模修繕が見込まれる場合は、NCFキャップレートでより正確な評価を行うべきです。
不動産鑑定士や金融機関の融資審査では、どちらのキャップレートを使用しているか必ず確認が必要です。同じ5%でもNOIベースとNCFベースでは意味が異なり、逆算して算出される物件価格も変わってきます。売主側がNOIベースで高めの価格を提示していても、買主側の金融機関がNCFベースで審査すれば融資額が想定より少なくなる事態も起こりえます。
資本的支出は築15~20年で外壁塗装、築30年で給排水管更新など、物件タイプや築年数で予測できます。これらのコストを年間平均に換算し、NCFに織り込むことで、より保守的で現実的な投資判断が可能になります。
キャップレート地域別物件別の相場感
キャップレートは地域や物件タイプによって大きく異なり、市場の期待利回り水準を反映しています。
投資判断では相場感の把握が不可欠です。
地域別に見ると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のワンルームマンションは3.0~3.7%と最も低い水準です。これは物件価格が高く、投資家の人気が集中しているためです。東京城南エリア(品川、目黒、世田谷など)で3.8~4.2%、城東エリア(江東、墨田、江戸川など)で4.5~5.0%程度となります。
神奈川・埼玉・千葉の東京周辺市では5.5~6.1%、大阪市中心部で4.2~4.8%、名古屋市で4.8~5.3%、福岡市で5.0~5.5%が相場です。地方政令市になると6.0~7.0%、地方中核市では7.0~8.0%以上となり、地方ほど高くなる傾向があります。
物件タイプ別では、ワンルームマンションが最も低く、ファミリータイプマンションはそれより0.3~0.5ポイント高くなります。一棟アパートは5.5~7.0%、一棟マンションは5.0~6.5%が目安です。オフィスビルは立地により大きく変動し、都心Aクラスビルで3.5~4.0%、Bクラスで4.5~5.5%です。商業施設は5.0~7.0%、物流施設は4.5~5.5%程度とされます。
2024年3月の日銀マイナス金利解除後、長期金利は徐々に上昇しています。理論上は金利上昇によりキャップレートも上昇(不動産価格は下落)するはずですが、2024年時点では都心部の優良物件では横ばいまたは低下傾向が続いています。背景には、賃料上昇による収益改善と、円安を受けた海外投資家の旺盛な需要があります。
ただし今後さらなる金利上昇局面では、賃料上昇余地の乏しい郊外物件や築古物件から価格調整が始まる可能性があります。金利が1%上昇すれば、キャップレートは0.5~1.0ポイント上昇し、理論上は不動産価格が10~20%下落する計算です。この影響度は物件の競争力や立地により大きく異なります。
キャップレート相場を調べるには、一般財団法人日本不動産研究所が半期ごとに発表する「不動産投資家調査」が有用です。地域別・用途別の期待利回りが詳細に公表されており、業界標準の参考値となっています。
日本不動産研究所による不動産投資家調査の最新データ(全国主要都市の期待利回り一覧)
キャップレート実務での活用場面と注意点
キャップレートは不動産業界で多様な場面で活用されますが、適切な理解なしに使用すると誤った判断につながります。実務での活用方法と注意点を理解しておく必要があります。
最も重要な活用場面は、収益還元法による不動産価格の算定です。計算式は「NOI ÷ キャップレート = 不動産価格」です。例えば年間NOI600万円の物件で、地域相場のキャップレートが5%なら「600万円 ÷ 0.05 = 1億2000万円」が理論上の適正価格となります。売主が1億5000万円で売り出していれば、相場より高いと判断できます。
金融機関の融資審査でもキャップレートは重視されます。銀行は物件の収益性と担保価値を評価する際、地域相場のキャップレートと比較します。相場より著しく低い(物件価格が高い)場合、融資額が減額されたり、融資自体が見送られることがあります。物件価格の7~8割程度の融資が一般的ですが、キャップレートが低すぎると5~6割に下がるケースもあります。
不動産鑑定評価書では必ずキャップレートが記載されます。鑑定士は対象物件の立地、築年数、賃貸状況などを総合的に判断し、適切なキャップレートを設定します。同じエリアでも、築浅で駅近の物件は相場より0.3~0.5ポイント低く、築古で駅から遠い物件は0.5~1.0ポイント高く設定されます。
注意すべき点は、キャップレートが高ければ良い投資とは限らない点です。高キャップレートは高リスクを意味する場合が多くあります。例えば郊外の築古アパートで10%のキャップレートがあっても、空室率が高く修繕費が多額なら実際の収益は低くなります。反対に都心の新築マンションで3.5%の低キャップレートでも、安定した稼働率と将来の資産価値維持が期待できれば優良投資となりえます。
もう一つの落とし穴は、現在の賃料水準が市場相場と乖離している場合です。相場より高い賃料で稼働中の物件は見かけ上NOIが高く、キャップレートも魅力的に見えます。しかし入居者が退去して新規募集する際、相場賃料に下がればNOIは大幅に減少します。
購入前には必ず周辺相場との比較が必要です。
実務では、キャップレートだけでなく、実質利回り、CCR(自己資本配当率)、IRR(内部収益率)などの指標を併用して総合的に判断することが重要です。単一指標に頼らず、複数の視点から物件を評価することで、より精度の高い投資判断が可能になります。
キャップレートマップ(J-REITの物件別キャップレート推移と地域分析ツール)

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