マンション空き家管理費滞納リスクと対策

マンション空き家管理費の実務知識

空き家でも管理費免除されません

この記事の3つのポイント
💰

支払い義務は継続

空き家状態でも管理費・修繕積立金の支払い義務は所有者に発生し続けます

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滞納時の法的措置

督促から競売まで段階的な法的措置が実行され、資産を失う可能性があります

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適正な管理費相場

管理費と修繕積立金の合計は月額2〜3万円が平均的な金額です


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マンション空き家でも管理費支払い義務が発生する理由

 

マンションが空き家状態であっても、管理費・修繕積立金の支払い義務は所有者に継続して発生します。これは居住の有無に関わらず、マンションの共用部分が常に維持管理されているためです。

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具体的には廊下の清掃、共用部分の電気代、管理人の人件費など多くのコストが日々発生しています。長期的には外壁工事やエレベーターのリニューアルなど大規模な修繕工事も必要になります。

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つまり建物維持が目的です。

管理費の平均金額は月額12,211円、修繕積立金は月額10,683円で、合計22,894円が一般的な相場となっています。これに加えて固定資産税・都市計画税で年間約110,618円が所有コストとしてかかってきます。

所有者全員で負担する仕組みのため、空き家であっても支払い義務から逃れることはできません。不動産従事者として顧客に説明する際は、「所有権がある限り共用部分の維持管理費用を分担する義務がある」という点を明確に伝える必要があります。

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賃貸に出している場合でも所有者が支払う必要があることは重要なポイントです。

マンション管理費滞納時の段階的な法的措置

管理費を滞納すると、まず管理組合から電話や書面で督促が届きます。場合によっては担当者が訪問するケースもあります。

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督促を無視していると内容証明が届き、再度支払いを求められます。この段階で遅延損害金も発生し、滞納日数が長引くほど金額も大きくなっていきます。

法的措置が本格化します。

督促状も無視していると法的措置に進み、「少額訴訟」や裁判所を通した「支払督促」が行われます。最悪の場合は部屋が差し押さえられて競売にかけられる可能性もあります。

参考)管理費を滞納した区分所有者を追い出せる?競売請求が認められる…

区分所有法59条に基づく競売請求が認められた場合、滞納管理費等の支払義務は新所有者に承継されます。管理組合は新所有者から滞納管理費等を回収できる仕組みです。

注意すべきは競売後のリスクです。

売却価格から滞納分や遅延損害金、訴訟費用を充当できない場合、引き続き支払義務は残り続けます。マンションという資産は強制的に失われたのに、支払義務という負債だけは残り続ける最悪の結末となる可能性があるわけです。

マンション空き家管理費と修繕積立金の適正相場

管理費と修繕積立金を合わせた金額は、月額2〜3万円程度が平均的な金額です。ローンの支払い以外に、毎月2〜3万円のランニングコストがかかることになります。

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修繕積立金の相場は総戸数によって変動します。31〜50戸で月額11,203円、51〜75戸で11,587円、76〜100戸で12,273円となっています。

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規模で金額が変わります。

501戸以上の大規模マンションでは月額16,509円と大幅に高くなります。大規模なマンションは設備が充実している物件が多いため、月額に差が出ると予想できます。

国土交通省のガイドラインによると、床面積5,000〜10,000㎡の20階建て以下のマンションでは、一戸当たり月々170〜320円/㎡が適正金額とされています。専有面積70㎡とすると11,900〜22,400円が適正範囲です。

管理組合によって設定は異なりますが、概ね5,000円〜15,000円前後が相場となっています。マンションの戸数が少ないと管理費用は高くなり、戸数が多いと管理費用は低く抑えられる傾向があります。

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マンション空き家の巡回管理サービスと費用

空き家マンション管理サービスの利用金額は、月額5,000円〜10,000円(税抜)程度が多いようです。いずれは戻って住む予定がある方は、放置して劣化が進まないようこのようなサービスの利用がおすすめです。

日本空き家サポートのマンション管理プランは、月1回の巡回管理を代行してくれるサービスです。管理作業はポスト確認・清掃、契約駐車場の見回り・清掃、全室換気、通水、清掃、雨漏り・カビ確認です。

月額5,000円が目安です。

サービスの月額利用金額は5,000円(税抜)で、専門家による定期的な巡回により建物の劣化を防げます。ALSOKのるすたくサービスでは、1カ月に1回巡回し、屋外の指定箇所(10カ所まで)に発生した異常(破損、盗難、ゴミの投棄など)の有無をEメールで報告してくれます。

参考)空き家管理・留守宅管理はHOME ALSOK るすたくサービ…

管理サービス利用料を含めた空き家の年間維持費用は、一般的に10万円〜30万円程度が必要となります。固定資産税・都市計画税が5万円〜15万円、電気・水道基本料が2万円〜3万円、火災保険・地震保険が2万円〜5万円、管理サービス利用料が6万円〜12万円という内訳です。

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遠方に住んでいる所有者ほど管理の手間が増えるため、委託の選択肢を取るケースが多くなります。顧客に対して管理サービスの提案を行う際は、将来的な修繕費の急増リスクも併せて説明することが重要です。

参考)空き家の管理費はいくら必要?年間コストの実例

マンション空き家管理費滞納を防ぐ顧客対応術

不動産従事者として顧客に空き家マンションのリスクを説明する際は、具体的な数字を用いた説明が効果的です。平均的なマンションでは管理費と修繕積立金で年間275,000円、固定資産税・都市計画税で110,618円が所有するコストとしてかかります。

これは東京ドーム約5個分の面積を維持する費用を、各戸が分担しているイメージに近いです。さらに管理サービスを利用すると年間66,000〜132,000円の費用増となります。

年間約40万円の出費です。

空き家マンション問題では、相続人が判明せず所有者不明となるケースが増加しています。2023年で900万戸に上る空き家のうち503万戸が該当します。

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相続放棄された場合は相続財産清算人の選任が必要となり、清算人に対して正式に債権者として届け出を行い支払いを請求する流れになります。売却により新たな所有者が決まることで、空き家問題が根本的に解決します。

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顧客対応で押さえるべきは売却タイミングです。

競売における最低売却価額には、滞納している管理費等を差し引いて価格設定がされているのが一般的です。滞納している管理費等は競売における落札の条件とみることができ、購入に要した費用に該当すると考えられるため、マンションの取得価額に計上することになります。

参考)不動産を競売で落札した場合、特定承継人が払う管理費は取得費に…

顧客に対しては、空室が長期化する前に売却を検討するよう提案することで、滞納リスクを未然に防ぐことができます。また、賃貸として活用する選択肢も提示し、管理費を賃料収入でカバーする方法を説明することも有効です。

マンション管理組合向けの空き住戸対応マニュアル(マンション管理センター)では、滞納発生時の具体的な対応手順が詳しく解説されています。

週刊エコノミスト 2023年 8/29号【特集:空き家&老朽マンション】