農地付き空き家を買えない
農地転用せず売買すると300万円の罰金を科されます。
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農地付き空き家が買えない法的理由
農地付き空き家が一般の方に売却できないのは、農地法第3条による厳格な規制があるためです。
参考)【農地付き空き家の罠】その空き家、あなたには購入できないかも…
農地は「耕作の目的に供される土地」と定義され、田や畑といった地目の土地は農業従事者しか購入できません。この規制の背景には、限られた農地資源を保護し、食料の安定供給を維持する国の方針があります。
参考)「農地」や「農地付き空き家」が簡単に取引できない背景と、法改…
農地法第3条の許可要件には、以下のような条件が含まれています。
参考)空き家のあれこれ「農地付き空き家」|いえかつ糸魚川 BLOG
- 農地の全てを効率的に利用すること
- 必要な農作業に常時従事すること(年間150日以上)
- 周辺の農地利用に支障がないこと
つまり農業を営む予定がない方は、この要件を満たせません。
従来は下限面積要件として、原則40アール(4,000㎡)以上の農地取得が必要でした。小規模な農地付き空き家を購入したい非農家の方は、この要件をクリアできず、購入を断念するケースが多発していました。
売却する側も、買い手は「農業者」でなければならないため、一般の方への売却は原則として不可能です。
農地付き空き家を例外的に取得する方法
令和3年4月1日の農地法改正により、下限面積要件が撤廃されました。
これにより、空き家とセットで農地を取得する場合、各自治体の農業委員会が「別段面積」を設定できるようになっています。福島市では、空き家バンクに登録された「空き家に付随した農地」について、下限面積を0.01アール(1㎡)まで引き下げました。
参考)農地取得に係る「下限面積要件」の撤廃/福島市公式ホームページ
黒石市でも平成30年9月1日より、空き家バンク登録物件に付随した農地を空き家とともに取得する場合、下限面積要件を1㎡まで引き下げています。
別段面積制度が適用される条件は以下の通りです。
参考)https://www.shizuseiren.jp/pdf/ach_nouchi03.pdf
- 空き家バンクに登録された物件であること
- 遊休農地が相当程度存在する区域であること
- 空き家と農地をセットで取得すること
この制度により、菜園等で小規模な農業をしたい移住者が、空き家に隣接する「屋敷畑」を取得しやすくなりました。
参考)https://www.city.nabari.lg.jp/s066/100/020/akiyabanku.pdf
注意点として、空き家に隣接していない離れた場所の農地でも取得可能になるケースがあります。農業委員会への申請は毎月22日から28日が受付期間で、総会で許可・不許可が決定されます。
参考)「空き家に付随した農地」の権利移動/福島市公式ホームページ
農地付き空き家の転用時のリスクと罰則
農地を農地以外の用途に変更する場合、農地法第4条または第5条の転用許可が必要です。
転用許可を受けずに農地を宅地化した場合、知事は工事の中止や原状回復を命じることができます。さらに、農地法違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
法人が違反した場合は、1億円の罰金という厳しい罰則も設けられています。
痛い出費です。
農地転用が可能かどうかは、対象農地の区分によって異なります。第3種農地であれば転用許可がおりやすいですが、優良農地である第1種農地や甲種農地は転用が原則不可です。
無許可で転用を行うと、原状回復命令に従わない場合も罰則の対象になります。転用を検討する際は、農地委員会を経由して都道府県知事の許可を得る必要があります。
農地付き空き家の融資と担保評価の実態
農地付き空き家の購入には、通常の住宅ローンが利用しにくいという問題があります。
農地は農地法により取得や売買が制限されているため、銀行などの金融機関は担保価値を低く評価します。農地を担保に融資を受ける場合、多くは「農業関係者が農業に関わる設備や運転資金」を目的とした農地担保融資に限られます。
ただし、所有する農地を農地転用することで、不動産担保融資を受けられるケースもあります。農地転用許可申請書に必要書類を添付し、農業委員会を経由して都道府県知事の許可を得れば、その土地を担保に不動産担保ローンを申し込むことが可能です。
空き家活用ローンという選択肢もあります。このローンは空き家解体費用や空き家を賃貸するための改築・改装費用に利用でき、融資金額は10万円以上500万円以下、融資期間は6か月以上10年以内です。
参考)空き家活用ローン
担保は不要ですが、該当物件が本人、配偶者、親または子の所有物件であることが条件です。また、事業性や転売目的の利用は除かれ、戸建てまたは分譲マンションが対象となります。
農地付き空き家取引で不動産業者が注意すべきポイント
不動産業者が農地付き空き家を取り扱う際、農地法の規制を正確に理解していないと、取引が破談になるリスクがあります。
実際に、農地について黙っている業者も存在するため、顧客から質問されるまで農地法の制限を説明しないケースも報告されています。
これは業者の説明責任として問題です。
物件の地目を確認することが最優先です。登記事項証明書の「地目」欄に「田」「畑」と記載があれば、その土地は農地法の規制対象となります。
空き家バンクに登録する際は、以下の手順が必要です。
- 農地法第3条の許可申請を農業委員会事務局に提出
- 農業委員会総会で議決
- 許可書の交付
- 所有権移転登記(売買の場合)
- 空き家バンクの登録申込
空き家バンク登録と並行して手続きを進められます。
売主が農地の別段面積指定を受けるには、「別段面積及び区域の指定申請書」を農業委員会に提出する必要があります。農業委員会が現地確認を行い、翌月の総会で適用するか否かを判断し、告示します。
顧客が非農家の場合、空き家バンクに登録された物件かどうかを確認し、別段面積制度の適用可否を早期に調査することが取引成立の鍵となります。登記簿と現況が異なるケースもあり、売却前の調査が不可欠です。
参考)田舎の【農地付き「空き家」約600坪】は、売れるのか?!(中…
農地付き空き家の維持管理コストと税務リスク
農地付き空き家を所有すると、継続的な維持管理費用が発生します。
参考)農地付き空き家とは?メリット・デメリットと売却手順を解説
建物の老朽化により、耐震性の問題、雨漏り、シロアリ被害などの劣化が進行します。リフォーム費用が想定以上にかかるケースも少なくありません。
農地の管理も負担です。耕作放棄すれば雑草が生い茂り、近隣に迷惑をかける可能性があります。
厳しいですね。
固定資産税も発生します。特に、市街化調整区域内にある農地や、宅地と一体となっている農地は、評価額や課税額が複雑です。
農地を適切に管理せず放置すると「遊休農地」と見なされ、追加で課税されたり、利用計画の変更を命じられたり、農地の利用権設定(貸し付け)の対象となるリスクがあります。
遊休農地の課税強化により、所有者には年間最大で通常の1.8倍の固定資産税が課される可能性もあります。具体的には、農業委員会から利用意向調査が送付され、回答しない場合や適切な利用がない場合に課税が強化されます。
このリスクを回避するには、定期的な草刈りや最低限の耕作を継続する、または農地中間管理機構への貸し付けを検討する方法があります。農地中間管理機構を通じて貸し付ければ、所有者は管理負担を軽減しつつ、税制面でも優遇措置を受けられる場合があります。
<参考リンク>
農地付き空き家の取得要件と手続きの詳細については、国土交通省の公式ガイドが参考になります。
