連帯債務住宅ローン控除書き方
持分割合と負担割合が1%でもズレると、贈与税が課税されます。
連帯債務の住宅ローン控除における基本的な書き方
連帯債務型の住宅ローンでは、主債務者も連帯債務者も双方が住宅ローン控除を受けることができます。これは単独債務やペアローンとは異なる大きな特徴です。
書き方の基本は、年末残高証明書に記載された全額から、自分の負担割合に応じた金額を計算して申告書に記入することになります。例えば、年末残高が3,950万円で負担割合が50%の場合、1,975万円が控除対象となる年末残高です。
ただし、この書き方は居住開始年によって手続きが異なります。令和元年以降に居住を開始した方は、税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」に連帯債務割合が印字されているため、その割合を使って計算すれば問題ありません。証明書に記載された割合をそのまま使えるということですね。
一方、平成30年以前に居住を開始した方は、控除申告書の備考欄に連帯債務者からの記入と押印が必要になります。具体的には、「私は連帯債務者として、右上の住宅借入金等の残高○○○円のうち、○○○円を負担することとしています」という文言と、連帯債務者の氏名・住所・勤務先を記入し、押印する必要があるのです。
旧様式は手間がかかりますね。
不動産業従事者として顧客に説明する際は、居住開始年を必ず確認してから適切な書き方を案内することが重要です。間違った情報を伝えると、顧客が年末調整で控除を受けられず、確定申告のやり直しが必要になるリスクがあります。
連帯債務割合と持分割合の関係性
連帯債務の住宅ローン控除で最も注意すべきなのが、連帯債務の負担割合と不動産の持分割合の関係です。この2つの割合は原則として一致させる必要があります。
なぜ一致させる必要があるかというと、税務上の贈与の問題が発生するからです。例えば、夫婦で5,000万円の住宅を購入し、夫が持分70%、妻が持分30%で登記したとします。しかし実際の負担割合が夫50%、妻50%だった場合、夫から妻へ1,000万円分の贈与があったとみなされるのです。
これは贈与税の対象となります。
さらに問題なのは、住宅ローン控除の適用範囲も縮小してしまうことです。持分を超える部分については住宅ローン控除の対象外となるため、本来受けられるはずの控除額が減少します。例えば、持分30%なのに負担割合50%で計算してしまうと、超過分20%については控除が認められません。
厳しいルールですね。
この割合は、初年度の確定申告時に提出する「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」で決定されます。一度決定した割合は、その後の年末調整でも継続して使用することになります。つまり、初年度の申告が極めて重要だということです。
不動産業従事者としては、購入時の資金計画段階から顧客に持分割合と負担割合を一致させるよう助言することが大切です。特に夫婦共働きで収入合算する場合、それぞれの収入割合や頭金の拠出額を考慮して、適切な割合を設定する必要があります。住宅購入前の段階で税理士への相談を勧めるのも有効な対策です。
国税庁の「連帯債務に係る負担割合について当事者間で任意に取り決めている場合の記載例」では、具体的な計算方法と注意点が詳しく解説されています。
連帯債務における年末調整での記入手順
年末調整で住宅ローン控除を受ける際の具体的な記入手順を確認しましょう。2年目以降の年末調整では、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を使用します。
まず、金融機関から送付される「年末残高等証明書」の金額を確認します。連帯債務の場合、この証明書は1枚しか発行されず、ローン全体の年末残高が記載されています。この金額をそのまま申告書の「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」欄のカッコ内に記入してください。
全額を書くということです。
次に、自分の負担割合を乗じて、実際の控除対象額を計算します。令和元年以降居住者は、控除証明書に印字された連帯債務割合を使用します。例えば、年末残高3,950万円で連帯債務割合が50%の場合、3,950万円×50%=1,975万円を①欄の「住宅借入金等の年末残高」に記入します。
計算は簡単ですね。
小数点以下の処理にも注意が必要です。連帯債務割合は小数点以下2位まで記入し、年末残高の計算結果は1円未満を切り捨てます。割り切れない場合でも、この端数処理ルールに従って正確に計算してください。
備考欄の記入については、令和元年以降居住者は原則不要です。ただし、平成30年以前居住者は、前述の通り連帯債務者からの記入と押印が必要になります。夫婦で連帯債務を組んでいる場合、配偶者に記入してもらう必要があるということです。
これは忘れやすい部分ですね。
複数の金融機関から借り入れている場合は、すべての年末残高証明書の金額を合算します。それぞれの証明書について連帯債務割合を乗じた金額の合計が、最終的な控除対象額となります。
連帯債務の初年度確定申告における必要書類
住宅ローン控除の初年度は、会社員であっても必ず確定申告が必要です。連帯債務の場合、主債務者と連帯債務者それぞれが個別に確定申告を行います。
必要書類は通常の住宅ローン控除に加えて、連帯債務特有の書類が必要になります。基本的な書類として、確定申告書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、年末残高証明書、登記事項証明書、不動産売買契約書の写しなどが挙げられます。
これらは共通の書類です。
連帯債務特有の書類として最も重要なのが、「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」です。この付表で、連帯債務の負担割合を計算し、各自の控除対象額を確定させます。この計算が今後の年末調整の基準になるため、慎重に作成する必要があります。
基準となる書類ですね。
計算明細書では、取得対価の額と連帯債務の年末残高を記入し、各自の負担割合を計算します。負担割合は、原則として不動産の持分割合と一致させます。持分が夫60%、妻40%であれば、連帯債務の負担割合も60%と40%にするということです。
確定申告の時期は、住宅に居住を開始した年の翌年2月16日から3月15日までです。例えば、2025年12月に居住開始した場合、2026年2月16日から3月15日の間に確定申告を行うことになります。この期間を逃すと、その年の控除が受けられなくなるリスクがあります。
期限は厳守ですね。
e-Taxを利用すれば、自宅からオンラインで申告できます。ただし、登記事項証明書などの添付書類は、PDF化してアップロードするか、郵送で提出する必要があります。初めて確定申告する顧客には、税務署の無料相談を利用することも勧められます。
国税庁の「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書の記載例」では、連帯債務の具体的な計算例と記入方法が詳しく示されています。
連帯債務における不動産業従事者としての助言ポイント
不動産業従事者として顧客に連帯債務の住宅ローン控除について説明する際、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえておくことで、顧客の税務リスクを回避できます。
まず、購入時の資金計画段階で持分割合を適切に設定することが最重要です。頭金や諸費用の負担額、住宅ローンの負担割合、それぞれの年収などを総合的に考慮して持分を決定する必要があります。安易に「半分ずつ」と決めると、後で贈与税の問題が発生する可能性があります。
慎重な検討が必要ですね。
次に、連帯債務と連帯保証の違いを明確に説明することです。連帯保証では、保証人は住宅ローン控除を受けられません。
控除を受けられるのは主債務者のみです。
一方、連帯債務では両者とも控除を受けられます。この違いを理解していない顧客は意外と多いです。
住宅ローン控除の上限額についても説明が必要です。令和4年以降に居住した場合、新築の認定住宅等で年間最大35万円、その他の新築住宅で年間最大21万円が上限です。連帯債務では、それぞれがこの上限まで控除を受けられる可能性があります。つまり、夫婦合わせて最大70万円の控除が可能ということですね。
ただし、控除額は実際の所得税額を超えることはできません。所得税で控除しきれない分は住民税から控除されますが、住民税の控除上限は年間最大9.75万円です。年収が低い場合、満額の控除を受けられないケースがあることも伝えておくべきです。
現実的な試算が大切です。
また、繰り上げ返済を行う場合の注意点も伝えましょう。繰り上げ返済により年末残高が変わるため、年末調整の計算額も変わります。特に調書方式が導入された令和6年以降居住者は、控除証明書に記載された見込額と実際の残高が異なる場合、実際の残高で計算し直す必要があります。
繰り上げ返済の時期には注意が必要ですね。
離婚時の取り扱いについても触れておくと良いでしょう。離婚により夫婦の一方が住宅から退去した場合、その方は住宅ローン控除を受けられなくなります。ただし、連帯債務の負担割合は変わらないため、返済は継続する必要があります。このようなリスクも事前に説明しておくことで、トラブルを予防できます。
国税庁の「令和3年までに居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」ページでは、連帯債務がある場合の付表の使い方など、詳細な手続きが解説されています。

バーチャルで受かっちゃる!「宅建とるぞー!」シリーズ 物語その⑧ 保証債務・連帯債務の話
