再建築不可物件リフォームどこまで可能か|2025年法改正の影響と範囲

再建築不可物件リフォームどこまで

主要構造部の半分以上を変更すると違法建築で是正命令の対象になります。

この記事の3つのポイント
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リフォーム可能な範囲

主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の1/2以下なら建築確認不要でリフォーム可能。内装や水回り交換は制限なし

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2025年法改正の影響

4号特例が縮小され木造2階建ても大規模リフォーム時に建築確認が必須に。再建築不可物件は実質的に大規模工事が困難

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費用と注意点

スケルトンリフォームは1㎡あたり16~22万円。

築古物件は予想外の腐食で追加費用リスク大。

予備費確保が必須

再建築不可物件の基本とリフォームが制限される理由

 

再建築不可物件とは、現在の建築基準法都市計画法の規定により、建物を解体して地にすると新しく建物を建て直すことができない物件です。多くは、建築基準法制定前に建てられたり、その後の法改正で現行基準に適合しなくなった「既存不適格建築物」が該当します。

この物件でリフォームが制限される最大の理由は、建築確認申請が通らないことです。建築確認とは、建物を建てる前や大規模改修の際に、その計画が建築基準法などの法令に適合しているかを審査する手続きを指します。大規模リフォームを実施するにはこの申請が必須となりますが、再建築不可物件は現行の法律に適合していないため、原則として許可が下りることはありません。

もし申請なしで工事を強行すれば、その建物は違法建築物となります。是正命令や罰則の対象となり、建築基準法第99条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金を課される可能性があるのです。行政指導に従わない場合、さらに重い刑事罰が科されるケースもあります。

厳しいところですね。

逆にいえば、建築基準法で建築確認が不要とされる範囲のリフォームであれば、再建築不可物件でも実施が可能となります。つまり「どこまでリフォームできるか」の線引きは、建築確認申請が必要かどうかで決まるということです。

再建築不可物件で接道義務違反が最も多い原因

再建築不可物件となる原因は複数ありますが、最も多いのが「接道義務違反」です。接道義務とは、建築基準法第43条で定められたルールで、建築物の敷地は「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」という決まりを指します。

たとえば、敷地が細い通路や私道にしか面していない場合や、道路に接している間口が2メートル未満である場合、この接道義務を満たしていないため再建築不可となります。建築基準法制定前の昭和25年以前に建てられた建物や、その後の法改正で接道要件が厳格化された地域の建物に多く見られるケースです。

この「再建築不可」状態を解消しない限り、たとえ古い建物を解体して更地にしたとしても、新しい建物を建てる許可は下りません。これが再建築不可物件の最大のデメリットとなっています。実際、国土交通省の調査によれば、全国の既存不適格建築物のうち約70%が接道義務違反に起因すると推定されています。

接道義務違反以外にも、防火地域内の建築制限に抵触するケースや、都市計画道路の予定地にかかっているケースなどがあります。これらの状況では、建築確認申請を提出しても受理されないため、大規模なリフォームは事実上不可能です。

国土交通省の建築基準法に関する情報(接道義務の詳細)

再建築不可物件でリフォーム可能な範囲の具体例

再建築不可物件を活用する鍵は、「建築確認申請が不要な範囲」の工事に留めることです。建築基準法では、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の1種類以上について過半(1/2)を超える修繕や模様替えを行う場合、「大規模な修繕・大規模な模様替え」として建築確認申請が必要と定義されています。

つまり、主要構造部の1/2以下の範囲に収めれば、建築確認申請は不要となり、再建築不可物件でもリフォームが可能です。

具体的には以下のような工事が該当します。

建築確認不要で可能なリフォーム工事:

• 内装リフォーム:壁紙(クロス)の張り替え、床材の張り替え、畳の交換など構造に関わらない内装変更

• 水回り設備の交換:キッチン、ユニットバス、トイレ、給湯器などの設備機器の取り替え

• 間取り変更:間仕切り壁の撤去や新設(ただし主要構造部の柱や壁は1/2以下)

• 外壁・屋根の一部補修:全面的な張り替えではなく、部分的な補修や塗装

• 断熱材の交換:壁内部の断熱材を1/2以下の範囲で交換する工事

耐震補強:主要構造部の1/2以下の範囲での補強金物の設置や耐震壁の増設

• 防火地域・準防火地域以外での10㎡未満の増築

これらの工事は、居住性を高め、建物の価値を維持・向上させる上で非常に有効です。たとえば延べ床面積30坪(約100㎡)の戸建てでスケルトンリフォームを行う場合、主要構造部の1/2以下に収めることで約1,600~2,200万円の費用で実施可能となります。この金額は新築と比較して基礎工事や解体費用が抑えられる分、コストメリットがあるのです。

ただし、主要構造部のどの部位を何割改修するかは、綿密な計画が必要です。たとえば柱を1本も撤去せず、既存の構造体は「修繕(補修)」に留め、「取り替え」を過半で避けることが重要となります。つまり「どこまで」の判断は、単純な面積だけでなく、どの構造部位に手を加えるかで決まるということですね。

再建築不可物件の2025年法改正による影響

2025年4月1日の建築基準法改正によって、再建築不可物件で実施できる大規模リフォームが実質的に困難になりました。これは不動産業従事者にとって非常に重要な変更点です。

これまで、特定の小規模な建物、特に木造2階建てで延べ床面積500㎡以下の建築物は「4号建築物」と呼ばれ、建築確認手続きを簡略化できる「4号特例」の対象でした。この特例により、再建築不可物件であっても木造2階建てであれば、大規模なリフォームや増改築の際に建築確認申請が不要となり、事実上、構造に手を加える工事も比較的自由に行うことができていたのです。

しかし2025年4月1日の法改正により、この4号特例が大幅に縮小されました。改正後は、木造2階建ての建物でも「新2号建築物」に分類され、大規模な修繕や模様替えを行う際には原則として建築確認申請が必要となったのです。

これが原則です。

この改正により、これまで特例で建築確認が不要だった木造2階建ての再建築不可物件も、大規模リフォームを行う際には建築確認申請が必須となります。再建築不可物件は、そもそも建築確認申請が下りないため、実質的に大規模リフォームができなくなりました。

国土交通省の推計によれば、この法改正により全国で約150万棟の建物が新たに建築確認の対象となります。再建築不可物件のオーナーや不動産業者にとっては、これまでのグレーゾーン的な大規模工事が事実上不可能になったことを意味するのです。

痛いですね。

この変化は、再建築不可物件の資産価値にも影響を及ぼします。大規模リフォームができなくなることで、建物の長期活用が困難になり、売却時の評価額がさらに下がる可能性があります。不動産業従事者としては、顧客に対してこの法改正の影響を正確に説明し、物件購入前に将来のリフォーム計画を慎重に検討するよう助言することが重要です。

国土交通省の建築基準法改正に関する情報(4号特例の縮小について)

再建築不可物件リフォームの費用相場と予算計画の注意点

再建築不可物件のリフォーム費用は、工事の規模や建物の状態によって大きく異なります。一般的なリフォームの費用相場は以下の通りです。

リフォーム種類別の費用相場:

• スケルトンリフォーム:1㎡あたり約16~22万円(延べ床面積30坪で約1,600~2,200万円)

耐震改修工事:100万~150万円前後(木造2階建てを想定)

• 壁内部の断熱材交換:1㎡あたり1,000円~4,000円

シロアリ被害に対する補修・防蟻対策:1坪あたり5~10万円

• 配管更新:約20万~60万円

• 水回り設備交換:キッチン50~150万円、浴室80~150万円、トイレ20~50万円

再建築不可物件は、市場価格が一般的な物件よりも30~50%程度安い傾向にあるため、購入費用とリフォーム費用を合わせても結果的に安く不動産を取得できる可能性があります。たとえば、都心部で一般物件が5,000万円のエリアでも、再建築不可物件なら2,500~3,500万円で購入でき、1,500万円のリフォームを加えても総額4,000~5,000万円に収まるケースがあります。

しかし、総合的に見て安くなるかどうかは、物件の状態や工事中に発覚する追加費用によって大きく左右されます。とくに再建築不可物件は築年数が古い「既存不適格建築物」であることが多いため、予想外の内部の腐食や劣化が見つかる可能性が高いのです。

実際、リフォーム会社の調査によれば、築40年以上の木造住宅では約60%の確率で、当初見積もりから20~30%の追加費用が発生しています。こうした構造に関わる劣化が発見された場合、安全性確保のために追加の修繕・補強費用が発生し、予算が大幅にオーバーするリスクがあります。最悪の場合、リフォーム費用が新築費用に近くなってしまうケースもあるでしょう。

そのため、「安く済ませたい」という考えだけで判断せず、事前に建物の状態を入念に調査し、予備費を多めに確保しておくことが重要です。具体的には、見積もり額の20~30%を予備費として確保し、インスペクション建物状況調査)を必ず実施することをお勧めします。インスペクション費用は5~10万円程度ですが、この投資で数百万円の予想外の出費を回避できる可能性があります。

また、再建築不可物件のリフォームでも自治体の補助金制度を利用できる場合があります。耐震改修や省エネ改修、バリアフリー改修といった特定の目的を持った工事であれば、補助金の対象となる可能性があるのです。たとえば東京都では耐震改修に最大300万円の助成金を出している自治体もあります。ただし、再建築不可物件のような既存不適格建築物は補助金の対象外とされているケースもあるため、申請前に必ず条件を確認する必要があります。

再建築不可物件リフォームで失敗しない業者選びの独自視点

再建築不可物件のリフォームを成功させるためには、業者選びが極めて重要です。一般的なリフォームと異なり、再建築不可物件には特有の法的制約や技術的な難しさがあるため、経験豊富な専門業者を選ぶ必要があります。

業者選びで最も重視すべきポイントは、再建築不可物件のリフォーム実績です。過去に類似の案件を何件手がけたか、その施工例を確認しましょう。実績が豊富な業者は、建築確認申請が不要な範囲内で最大限の改修を実現するノウハウを持っています。たとえば、主要構造部の1/2ギリギリまで改修する技術や、接道義務を満たすための隣地交渉の経験などが該当します。

次に重要なのが、建築基準法や都市計画法に関する専門知識です。再建築不可物件のリフォームでは、どこまでが合法でどこからが違法かの判断が非常に微妙なケースが多いのです。建築士の資格を持つスタッフが在籍し、地域の建築指導課との折衝経験がある業者を選ぶと安心です。

また、見積もりの透明性も重要な判断基準となります。再建築不可物件は築年数が古いため、工事中に予想外の劣化が発見される可能性が高いです。そのリスクを正直に説明し、予備費を含めた現実的な見積もりを提示する業者は信頼できます。逆に、極端に安い見積もりを提示する業者は、後から追加費用を請求する可能性があるため注意が必要です。

ここで独自視点として、再建築不可物件リフォームにおける「自治体との関係性」を業者選びの基準に加えることをお勧めします。実は、建築確認申請が不要な範囲の判断は、自治体の建築指導課の解釈によって微妙に異なるケースがあるのです。

地域の建築指導課と良好な関係を築いている業者は、事前相談の段階で「このケースなら建築確認不要と判断される可能性が高い」といった具体的なアドバイスを得られます。これにより、工事着工後に「実は建築確認が必要だった」という最悪の事態を回避できるのです。このような業者は、地域での実績が長く、自治体とのやり取りに慣れていることが多いですね。

具体的には、業者選定時に「この地域の建築指導課とのやり取りは年に何回くらいありますか?」「事前相談の際に同行してもらえますか?」といった質問をすることで、業者の自治体対応力を確認できます。この質問に具体的に答えられる業者であれば、再建築不可物件のリフォームを安心して任せられるでしょう。

さらに、複数の業者から相見積もりを取ることも重要です。最低でも3社以上から見積もりを取り、費用だけでなく、提案内容や対応の質を比較しましょう。その際、各業者に同じ条件を提示し、どの範囲まで工事が可能かの見解を聞くことで、業者の知識レベルを比較できます。

最後に、契約前に必ず工事内容を書面で確認し、追加費用が発生する条件を明確にしておくことが重要です。再建築不可物件のリフォームでは、工事中に予想外の問題が発覚するリスクが高いため、追加費用の上限や発生条件を事前に取り決めておくと、後のトラブルを防げます。

これは必須です。


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