専任媒介不動産の契約仕組み
専任媒介で自分が見つけた買主と契約すると、違約金23万円を請求されることがあります。
<% index %>
専任媒介契約の定義と法的位置づけ
専任媒介契約とは、不動産の売却活動を1社の不動産会社にのみ依頼する契約形態です。国土交通省が定めた標準媒介約款によると、依頼者は目的物件の売買または交換の媒介を、契約した会社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。
この契約の特徴は、依頼者が自ら発見した相手方とは売買契約を締結できる点にあります。つまり自己発見取引が認められているということですね。ただし、契約書に「自己発見取引の特約」がない場合は違約金を請求される可能性があるため注意が必要です。
参考)専任媒介とは?特徴・メリット・デメリットをわかりやすく解説 …
宅地建物取引業法に基づき、専任媒介契約を締結した不動産会社には2つの法的義務が課せられます。1つ目はレインズ(指定流通機構)への登録義務で、媒介契約締結日の翌日から7営業日以内に登録しなければなりません。2つ目は売主への活動状況報告義務で、2週間に1回以上の頻度で報告する必要があります。
参考)媒介契約制度
専任媒介と一般媒介・専属専任媒介の違い
不動産売却における媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの契約形態には明確な違いがあり、売却物件の特性や売主の状況によって最適な選択が異なります。
参考)不動産売却でよく使う!基本の不動産用語一覧【初心者向け】|ズ…
一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に売却活動を依頼できる契約です。レインズへの登録義務や売主への報告義務はありませんが、複数社との連絡調整が必要になるため手間がかかります。人気物件を早く高く売りたい場合に向いていますね。
参考)一般媒介と専任媒介どっちを選ぶ?違いやメリット、割合を比較
専属専任媒介契約は、専任媒介契約と同様に1社のみに依頼する契約ですが、自己発見取引が認められていません。売主自身が買主を見つけても、契約した不動産会社を介さずに売却できない点が最大の特徴です。レインズへの登録は5営業日以内、報告義務は1週間に1回以上と、専任媒介より厳しい条件が設定されています。
参考)レインズへの登録期限は5日以内?7日以内?登録の流れや業務効…
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | 可能 | 不可 | 不可 |
| 自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
| レインズ登録期限 | 任意 | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
| 報告義務 | なし | 2週間に1回以上
|
1週間に1回以上 |
専任媒介契約は、1社だけに物件の売却を依頼しながらも自分で買い手を探せる媒介契約です。自分で買い手を探せない専属専任媒介契約に比べて売り方の自由度が高く、複数の不動産会社に依頼する一般媒介契約に比べて手間が少ないことが特徴です。
専任媒介契約のレインズ登録義務とその意義
専任媒介契約を締結した不動産会社は、媒介契約締結日の翌日から起算して7営業日以内にレインズへ登録しなければなりません。例えば6月2日(月)に契約を締結した場合、翌日の6月3日(火)から起算して7日以内、つまり6月9日(月)が登録期限となります。
不動産会社の定休日は日数に含まれません。
参考)【2026年度版】レインズ登録義務違反の罰則は?最新の法改正…
レインズ(Real Estate Information Network System)とは、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」が運営する不動産情報ネットワークシステムです。全国で4つの公益社団法人または公益財団法人によって運営されており、全国の不動産業者が加入しています。つまり、レインズに登録することで物件情報が全国の不動産会社に共有されるということですね。
この登録義務に違反すると、監督官庁から指示処分や業務停止処分、最悪の場合は免許取消処分に至る可能性があります。売主にとっても、レインズへの登録は売却機会を広げる重要な手段となるため、契約後は必ずレインズ登録証明書の提示を求めましょう。
参考)専任媒介契約は囲い込み?国土交通省の見解と業者の見分け方
レインズ登録のメリットは、物件情報が広範囲に拡散され、多くの買主候補にアプローチできる点にあります。登録証明書を受け取ったら、レインズの売主専用サイトで自分の物件情報がどのように掲載されているかを確認できます。
専任媒介契約の報告義務と内容の確認ポイント
専任媒介契約では、不動産会社は2週間に1回以上の頻度で売主に販売状況を報告する義務があります。定期報告は電話、メール、対面、書面などの手段で行われますが、報告内容については法律で厳密に定められていません。
問い合わせや内覧の数のみを報告する不動産会社もあれば、より詳細な情報を提供する会社もあります。優良な不動産会社であれば、以下のような内容を報告してくれます:
- 📊 問い合わせ件数と内訳(電話・メール・来店など)
- 👥 内覧の実施回数と来場者の反応
- 🌐 掲載している広告媒体とアクセス数
- 🏢 他社からの問い合わせ状況
報告が曖昧な業者は要注意です。「特に動きはありません」「問い合わせはありませんでした」といった曖昧な報告しかしない場合、囲い込みの可能性があります。具体的な広告活動の内容や他社からの問い合わせ状況を報告しない業者は、売却活動を適切に行っていない可能性が高いですね。
売主として確認すべきポイントは、他社からの問い合わせに対してどのように対応しているかです。「他社からの問い合わせはどのくらいありましたか?」と定期報告時に必ず質問しましょう。この質問に対して明確に答えられない、または他社からの問い合わせがゼロという報告が続く場合は、囲い込みの疑いがあります。
専任媒介契約における自己発見取引の扱い方
専任媒介契約では、売主が自分で買主を見つけて売買契約を成立させる「自己発見取引」が原則として認められています。親戚・友人・知人などに直接売却する場合、不動産会社を仲介人とする必要はありません。
参考)不動産の媒介契約で誤解されていること。専任だとその業者からし…
しかし契約書に「自己発見取引の特約」がない場合は、話が大きく変わります。特約がない状態で自己発見取引を行うと契約違反となり、違約金として仲介手数料相当額を請求される可能性があるのです。例えば売却価格が500万円の物件なら、約23万円の違約金を請求されるケースがあります。
痛い出費です。
参考)自己発見取引で違約金?契約前に知るべき媒介契約の落とし穴
実際の事例として、専任媒介契約を結んだ後に職場の同僚から「買いたい」と言われたCさん(55歳・公務員)は、「自分で見つけたのだから手数料は不要だろう」と考え業者に連絡せず直接取引を進めようとしました。しかし業者から「契約書に自己発見取引の特約がないため、違約金を請求します」と連絡があり、約23万円の違約金を請求されたのです。
自己発見取引を行う可能性がある場合、契約前に以下の点を確認しましょう。
- ✅ 契約書に「自己発見取引の特約」が明記されているか
- ✅ 特約がある場合、業者への報告義務の有無と方法
- ✅ 特約がない場合の違約金の金額と計算方法
契約書にサインする前に、自己発見取引に関する条項を必ず確認してください。不明な点があれば、契約前に不動産会社の担当者に質問し、書面での回答を求めることをおすすめします。
専任媒介契約のメリットと活用シーン
専任媒介契約の最大のメリットは、不動産会社が積極的な販売活動を行う動機付けがある点です。1社専属で契約するため、不動産会社は確実に仲介手数料を得られる見込みがあり、広告費をかけた販売活動や丁寧な営業活動が期待できます。
参考)専任媒介契約とは?メリット・デメリットや向いている人を解説|…
窓口を一本化できるため、複数の不動産会社とやりとりを交わす一般媒介契約に比べて、連絡やスケジュール調整の手間が大幅に減ります。特に仕事が忙しい売主や、不動産取引に不慣れな方にとっては大きな利点ですね。
レインズへの登録義務と定期報告義務があるため、売却活動の透明性が確保されます。一般媒介契約には報告義務がないため、専任媒介契約の方が売却活動の進捗状況を把握しやすいのです。また、自己発見取引も認められているため、専属専任媒介契約よりも自由度が高いという特徴があります。
専任媒介契約が向いているケースは以下の通りです。
- 🏠 売却活動に時間と手間をかけたくない場合
- 📍 立地がやや不利で積極的な営業活動が必要な物件
- 🤝 信頼できる不動産会社が既に見つかっている場合
- 💼 仕事が忙しく窓口を一本化したい場合
ただし不動産会社選びが成否を分けます。1社にすべてを任せるため、選んだ不動産会社や担当者の力量が売却の成否に直結するのです。
参考)不動産売却で失敗しない!専任媒介契約の仕組みと他の契約との違…
専任媒介契約のデメリットと注意点
専任媒介契約には「囲い込み」というリスクが存在します。囲い込みとは、不動産会社が自社で買主も見つけて両手仲介(売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ること)を狙うために、他社からの問い合わせを意図的に断る行為です。
参考)専属専任媒介契約とは?メリット・デメリット・向いている人につ…
具体的な囲い込みの手口として、レインズに登録しても他社からの問い合わせに対して「すでに商談中です」と虚偽の回答をしたり、物件情報を「非公開」にしたりして実質的に他社を排除する方法があります。定期報告義務があるにもかかわらず、「特に動きはありません」「問い合わせはありませんでした」といった曖昧な報告しかしない業者も要注意です。
厳しいですね。
業者の力量に左右される点もデメリットです。専任媒介契約は1社にすべてを任せるため、選んだ不動産会社や担当者の力量が不足している場合、売却が思うように進まないリスクがあります。契約期間中(最長3カ月)は他社に依頼できないため、不動産会社選びに失敗したときのリスクが大きいのです。
契約期間内に他の不動産会社に依頼すると、契約違反となり違約金を請求される可能性があります。標準媒介約款第12条によると、専任媒介契約の有効期間内に他社に媒介を依頼した場合、約定報酬額に相当する違約金を支払わなければなりません。
囲い込みを防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 📝 レインズ登録証明書を必ず受け取り、内容を確認する
- 🔍 レインズの売主専用サイトで物件の公開状況を定期的にチェックする
- 📞 他社からの問い合わせ状況を毎回の報告時に質問する
- 📊 具体的な広告活動の内容と効果の報告を求める
囲い込みのサインとして、3カ月経っても売れない・問い合わせがないと言われる、レインズ登録証明書を見せてくれない、売却活動の報告が曖昧または来ない、他社からの問い合わせ状況を教えてくれないなどの状況が続く場合は注意が必要です。
専任媒介契約で避けるべき業者の特徴と見分け方
専任媒介契約を結ぶ前に、信頼できる業者かどうかを見極めることが重要です。避けるべき業者の特徴として、「専任媒介契約なら高く売れます」と言いながら具体的な根拠を示さない業者が挙げられます。「うちだけに任せてもらえれば、責任を持って売却します」といった言葉自体は間違っていませんが、問題は本当にその通りに行動するかです。
両手仲介を優先する姿勢が見える業者は、囲い込みのリスクが高いため注意が必要です。以下のような発言をする業者は要注意ですね:
- ❌ 「基本的にうちで買主を見つけます」
- ❌ 「他社には出さない方が高く売れます」
- ❌ 「他社からの問い合わせは少ないと思います」
- ❌ 「両手の方が広告費をかけられます」
- ❌ 「うちで買主を見つけた方が早いです」
他社を排除しようとする姿勢が見える業者は、囲い込みのリスクが高いです。信頼できる業者を見分けるための4つの質問として、「レインズに登録した後、他社からの問い合わせにはどのように対応しますか?」「両手仲介と片手仲介、どちらを優先しますか?」「売却活動の報告では、どのような内容を教えてもらえますか?」「過去3カ月の成約実績を教えてください」といった質問が有効です。
望ましい回答として、「他社からの問い合わせは積極的に受け入れます」「売主様の利益を最優先に考えます」「問い合わせ状況、広告活動、他社からの反応など詳細に報告します」「直近の成約件数と平均売却期間を具体的に示せる」などが挙げられます。これらの質問に明確に答えられない業者や、曖昧な回答をする業者は避けた方が安全です。
契約前の面談で、担当者の対応をしっかり観察しましょう。質問に対して誠実に答えるか、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれるか、売主の希望を丁寧に聞いてくれるかなどをチェックすることが大切です。
専任媒介契約の詳細な比較と選び方について、こちらの記事で各媒介契約のメリット・デメリットを詳しく解説しています
囲い込み対策の具体的な方法と国土交通省の見解については、こちらの専門記事で詳細に説明されています

宅建 宅建業法_専属専任媒介契約 深掘り編
