専任登録と宅建の要件・罰則・手続きを徹底解説
退職した前職の会社に、あなたの名前がまだ専任登録されたままになっているかもしれません。
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専任登録とは何か:宅建業免許に必要な設置義務の基本
宅建業を営む事業者は、事務所ごとに「業務に従事する者5名につき1名以上」の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。これは宅建業法第31条の3に定められた義務です。
たとえば従業員が1人だけの小さな事務所でも、必ず1名の専任の宅建士が必要です。業務に従事する者が6名に増えれば、専任の宅建士も2名必要になります。計算式としては「従事者数 ÷ 5」の切り上げで必要人数が決まります。
重要なのは「業務に従事する者」の数え方です。パートやアルバイトは原則として「業務に従事する者」の人数に含まれないため、分母から外れます。一方で、専任の宅建士自身も従事者の人数に加算されます。たとえば業務委託の外部スタッフ10名がいる場合でも、正規雇用の常勤従業員が2名だけなら、専任の宅建士は1名で足りるケースもあります。つまり「10人いれば2人必要」と単純計算するのは誤りです。
また、新規で宅建業免許を申請する際には、申請時点で専任の宅建士が確定していることが必須です。「免許を取ってから探す」という順番では申請書類が提出できません。これを知らずに開業準備を進めてしまい、直前で手続きが止まるケースも現場では起きています。
| 事務所の従事者数 | 必要な専任宅建士の最低人数 |
|---|---|
| 1〜5名 | 1名以上 |
| 6〜10名 | 2名以上 |
| 11〜15名 | 3名以上 |
| 案内所(契約締結あり) | 1名以上(規模問わず) |
設置義務が基本です。
参考:専任の宅地建物取引士を設置せずに営業するリスク(宅建業免許ネット)
https://takkengyo.net/sennin-torihikishi-risk/
専任登録の「常勤性」と「専従性」:宅建士に求められる2つの要件
専任の宅建士として認められるには、「常勤性」と「専従性」の2つを同時に満たすことが条件です。どちらか一方が欠けても、専任登録は認められません。
常勤性とは、宅建業者の通常の勤務時間に当該事務所で継続的に勤務していることを意味します。具体的には、正社員・契約社員(フルタイム)・常勤役員などが該当します。一方で、以下のケースは常勤性が認められません。
- 他社の代表取締役・常勤役員・正社員を兼務している場合
- 通勤時間が片道おおむね1時間半〜2時間を超える遠方に居住している場合
- 週3日や週4日などのパートタイム勤務の場合(会社の通常勤務日程が週3日という例外ケースを除く)
- テレワークを理由として遠隔地から登録させる場合(本来常勤できる人のテレワーク活用はOK)
住民票の住所が実態と異なる場合も注意が必要です。実際には東京に住んでいても、住民票が地方に残ったままだと「通勤不可能」と判断されることがあります。
専従性とは、専ら当該事務所の宅建業務に従事していることを指します。他の業務を主たる仕事にしていないことが求められます。監査役の立場は「経営チェック役」であり、日常業務に専従しているとはみなされないため、専任の宅建士として登録できません。厳しいですね。
他士業との兼業については、原則NGとする自治体が多いです。ただし、同一法人・同一事務所内で業務量に支障がないと認められる場合は例外的に兼務が認められることもあります(大阪府など)。これは自治体によって判断が異なるため、必ず事前に確認することが必要です。
注目すべき点として、東京都では令和6年11月1日から、通常勤務時間外(夜間・休日)の副業が条件付きで認められるようになりました。宅建業者が副業を承認していること、通常勤務中は宅建業に専念していることが条件です。これは使えそうです。
参考:専任の宅地建物取引士の「専任性」の考え方と実務解説
宅建士の専任登録で最も多いミス:変更手続きの抜け漏れと二重登録問題
実務上で最も発生しやすいトラブルの一つが、退職後の従事先変更登録の忘れです。これが見落とされがちなのは、変更登録が「本人からの申請がないと動かない仕組み」になっているからです。
前職の会社が廃業届や変更届を行政に出したとしても、それによって宅建士個人の「資格登録簿の従事先」は自動的に更新されません。つまり、本人が都道府県へ変更登録申請を出さない限り、登録簿には古い勤務先が記載されたままになります。
この状態で新しい会社に転職し、専任の宅建士として登録しようとすると「すでに他社に従事先登録がある」として受け付けてもらえないことがあります。二重登録状態が新会社の免許申請の障害になるわけです。これは多くの不動産従事者が経験するトラブルです。
変更登録の流れを整理すると、以下の2つの手続きが別々に必要です。
会社側の届出があっても、本人が申請しなければ登録簿は変わりません。この2つは別々の手続きで、どちらも必要です。退職・就任のいずれの場面でも両方の手続きが必要だということを必ず覚えておけばOKです。
また、新会社に就任する際は事前に「資格登録簿の従事先が空欄であること」を確認しておく必要があります。前職の従事先登録がまだ残っている場合は、まず変更登録を完了させてから、新会社への登録手続きに進みます。
参考:宅地建物取引士資格登録簿 登録事項の変更登録申請(東京都住宅政策本部)
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/application/sinseiyousiki/henkou
名義貸しの実態と罰則:専任登録を巡る宅建業法違反の具体例
「名義貸し」とは、実際には勤務していない会社に専任の宅建士として登録することです。宅建業法第13条が明示的に禁止しており、違反した場合の罰則は非常に重いです。
インターネット上では「月3〜5万円で名義を貸してください」といった求人が現在も確認できます。コスト削減を考える業者側と、副収入を得たい宅建士側の利害が一致して成立してしまうケースがあります。しかし、これは双方にとって重大な法的リスクを背負う行為です。
罰則の内容をまとめると以下のとおりです。
| 違反者 | 違反の種類 | 罰則内容 |
|---|---|---|
| 宅建士(名義を貸した側) | 名義貸しによる営業行為 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり) |
| 宅建士(名義を貸した側) | 名義貸しによる広告掲載 | 100万円以下の罰金 |
| 宅建業者(名義を借りた側) | 名義貸しを受けて営業 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり) |
| 宅建業者(名義を借りた側) | 設置義務違反 | 業務停止処分(最大1年)・免許取消 |
業務停止処分を受けた場合、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトに業者名と違反内容が公表されます。一度公表されると、取引先や顧客への信頼が大きく損なわれます。
さらに最高裁の判例では、名義貸しによる利益分配の合意は公序良俗に反し無効と判断されています。「報酬をもらって貸しているから民事上は問題ない」という考えは通りません。お金をもらっても合意そのものが無効になるということですね。
また、設置義務違反として専任の宅建士が不足した状態が続いた場合、100万円以下の罰金の対象にもなります。専任の宅建士が退職等で欠けた場合は2週間以内に補充等の措置を講じることが義務で、これを怠ると業務停止の対象となります。痛いですね。
参考:名義貸し禁止と宅建業法13条の解説(公益社団法人 全日本不動産協会)
専任登録における独自視点:テレワーク・副業・自治体差異という現代的な盲点
近年の働き方の変化によって、専任の宅建士をめぐる実務解釈にも新しい論点が生まれています。これらは検索上位の記事ではあまり深く取り上げられていない、現場で悩む不動産従事者にとっての盲点です。
テレワークの扱いについて、国土交通省は「ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、通常の勤務時間に勤務する場合はテレワークでも常勤性が認められる」との見解を示しています。ただし、これはあくまで「本来は常勤できる人がテレワークを活用する」という話です。遠隔地の住民を便宜上専任として登録するためにテレワークを理由にすることはNGです。
🔑 テレワーク活用が認められるためには、①通常の勤務時間に業務を行っている、②IT環境で適切な業務体制が確保されている、③あくまでその事務所に常勤できる人物であるという3点が揃っていることが条件です。
副業の扱いについては自治体間で差があります。東京都は令和6年11月以降、夜間・休日の副業を条件付きで解禁しました。一方、他都道府県では依然として副業全般を専従性違反とみなすケースもあります。副業をしている宅建士は、必ず自分が登録している都道府県の最新ルールを確認することが必要です。
自治体差異は特に複数会社の代表取締役兼務の場面で顕著です。東京都・神奈川県では原則NGですが、埼玉県では「非常勤証明書」を添付することで認められるケースがあります。これは「どの都道府県で免許を申請するか」によって結論が変わるということです。つまり同一の事実でも、申請先で合否が変わる可能性があるということですね。
実務上の対応策として、自治体ごとの最新ルールを確認したい場合は、各都道府県の宅建業担当窓口への事前相談が最も確実です。行政書士に相談する際は、申請予定の自治体の運用実績に詳しい事務所を選ぶと、無駄な差し戻しを防げます。
| 論点 | 東京都 | 埼玉県 | 大阪府 |
|---|---|---|---|
| 複数会社の代表取締役兼務 | 原則NG | 非常勤証明書で対応可 | 要確認 |
| 他士業との兼業 | 原則NG | 要確認 | 同一法人・同一場所なら可能性あり |
| 夜間・休日副業 | 令和6年11月〜条件付きOK | 要確認 | 要確認 |
全体として「専任性の判断は都道府県ごとに異なる」が原則です。
参考:宅地建物取引士の専任性の考え方の明確化に関する参考資料(全国宅地建物取引業協会連合会)
https://www.zentaku.or.jp/cms/(専任性考え方の明確化PDF)

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