省エネ基準適合住宅の住宅ローン控除区分と借入限度額

省エネ基準適合住宅と住宅ローン控除の区分を徹底解説

省エネ基準適合住宅が「住宅ローン控除を受けられる最低ライン」だと思っているなら、2028年から控除対象外になる事実を知らずに顧客に説明すると損失は最大273万円になります。

🏠 この記事の3つのポイント
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住宅の区分は全部で4種類

認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他の住宅に分類され、区分ごとに借入限度額と控除期間が異なります。

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2028年以降は省エネ基準適合住宅が新築では原則対象外に

令和8年度税制改正により、2028年(令和10年)以降に入居する新築の省エネ基準適合住宅は、住宅ローン控除の対象外となります。

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BELSは控除申請書類として使えない

住宅ローン控除のZEH・省エネ区分に使える証明書は「住宅省エネルギー性能証明書」または「建設住宅性能評価書」の2種類のみです。BELSは直接使用できません。


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省エネ基準適合住宅の定義と4つの住宅区分の違い

 

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)では、取得した住宅の省エネ性能によって「住宅の区分」が4段階に分けられており、その区分ごとに借入限度額や年間控除限度額が異なります。不動産実務では、この区分の違いを正確に把握しておかないと、顧客への説明が誤ったものになってしまいます。

4つの区分は以下の通りです。

区分 省エネ性能基準 2024~2025年入居・借入限度額(新築)
①認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅) 長期優良住宅法または低炭素建築物認定 4,500万円(子育て等世帯:5,000万円)
②ZEH水準省エネ住宅 断熱等性能等級5以上+一次エネ消費量等級6以上 3,500万円(子育て等世帯:4,500万円)
③省エネ基準適合住宅 断熱等性能等級4以上+一次エネ消費量等級4以上 3,000万円(子育て等世帯:4,000万円)
④その他の住宅 上記①〜③のいずれにも該当しない 適用対象外(※例外あり)

省エネ基準適合住宅とは、国土交通省が定めた「エネルギーの使用の合理化に資する住宅」のうち、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅のいずれにも該当しない住宅です。具体的には断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上を満たすことが条件で、現行の省エネ性能の最低基準といえます。

つまり省エネ基準適合住宅が条件です。断熱等性能等級・一次エネ等級の両方が等級4以上でなければ、この区分には入りません。どちらか一方だけでは不十分なので注意が必要です。

一方、ZEH水準省エネ住宅はその一段上で、断熱等性能等級5以上かつ一次エネ消費量等級6以上という、より厳しい基準を満たした住宅です。名前だけで「ZEHは特殊」と思われがちですが、近年の新築住宅では標準的に達成される水準になってきています。

控除額の差を金額で確認しましょう。2024〜2025年に入居した場合、控除率は一律0.7%、控除期間は13年。年間控除上限額を比較すると以下のようになります。

  • 認定住宅:年31.5万円(子育て等世帯35万円)
  • ZEH水準省エネ住宅:年24.5万円(子育て等世帯31.5万円)
  • 省エネ基準適合住宅:年21万円(子育て等世帯28万円)

認定住宅と省エネ基準適合住宅では、13年間の控除上限額の合計が最大で(35万円-21万円)×13年=182万円もの差が生まれます。子育て等世帯で比較すると差はさらに大きく、これが不動産購入判断に直結するポイントです。

参考:国税庁タックスアンサー「令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」では、各区分の控除限度額が公式に確認できます。

No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

省エネ基準適合住宅の控除申請に必要な証明書類と実務上の落とし穴

住宅ローン控除でZEH水準省エネ住宅または省エネ基準適合住宅の区分を適用するには、省エネ性能を証明する書類の提出が必須です。ここを誤ると、せっかくの高性能住宅でも「その他の住宅」扱いになってしまいます。

認められる証明書は2種類だけです。

①住宅省エネルギー性能証明書

建築士事務所・指定確認検査機関・登録住宅性能評価機関・住宅瑕疵担保責任保険法人が発行できる専用の証明書です。断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方を評価します。なお、この証明書には「家屋番号」の記載欄があり、建物の表題登記が完了しないと家屋番号が付与されないため、竣工後すぐには発行できません。

②建設住宅性能評価書(の写し)

登録住宅性能評価機関が発行する評価書です。「設計」ではなく「建設」住宅性能評価書である点が重要です。さらに、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方の評価項目が記載されているものに限られます。一次エネ等級の記載がない場合は使用できません。

これは意外ですね。「省エネ基準をクリアしているのに書類が使えない」という事態は実際に起こりえます。

実務でよく起きるミスとして注意したいのが「BELSの扱い」です。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)は省エネ性能を星の数で示す評価制度ですが、住宅ローン控除の確定申告書類として直接使用することはできません。BELSを取得している住宅でも、住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書のいずれかを別途用意する必要があります。フラット35の適合証明書も同様に、住宅ローン控除の省エネ区分の証明書としては使えません。

顧客が「BELSを取得しているから大丈夫」と思い込んでいるケースがあるため、不動産従事者として事前に確認・案内できると大きなトラブル防止につながります。

参考:国土交通省「住宅ローン減税」ページでは、ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の証明書類について公式に案内しています。

住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

2026年・2028年改正で省エネ基準適合住宅の控除はどう変わるか

令和8年度(2026年度)税制改正によって、住宅ローン控除の仕組みは大きく変わります。不動産従事者として今すぐ把握しておくべき変更点を整理します。

2026〜2027年入居(令和8〜9年)の主な変更点

省エネ基準適合住宅の新築の借入限度額が、2024〜2025年入居時の3,000万円(子育て等世帯4,000万円)から、2,000万円(子育て等世帯3,000万円)に引き下げられます。これは1,000万円の減額です。

住宅区分 2024〜2025年 2026〜2027年 2028〜2030年
認定住宅(新築) 4,500万円 4,500万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅(新築) 3,500万円 3,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅(新築) 3,000万円 2,000万円 原則適用対象外
その他の住宅(新築) 適用対象外 適用対象外 適用対象外

※上記は子育て等世帯以外の場合。子育て等世帯は各区分で借入限度額が上乗せされます。

2028年(令和10年)以降:省エネ基準適合住宅が新築で原則適用外に

最大の変更点がこちらです。2030年(令和12年)以降は省エネ基準適合住宅の新築自体が認められなくなる予定であり、それに先立って2028年以降の入居については住宅ローン控除の対象外となります。

ただし、2027年(令和9年)末までに建築確認を受けた省エネ基準適合住宅、または登記簿上の建築日付が2028年6月30日以前のものは経過措置として対象となり(借入限度額2,000万円・控除期間10年)、2028〜2030年に入居する場合でも適用されます。これが条件です。

一方、ZEH水準省エネ住宅と認定住宅については2028〜2030年でも控除が維持され、借入限度額も変わりません。顧客に提案する住宅の性能水準を選ぶ際、ZEH水準以上を積極的に勧める理由はここにあります。

また、2028年以降の新築住宅には新たに「立地要件」も追加されます。土砂災害特別警戒区域(災害レッドゾーン)などの災害リスクが高い区域内に建てられた新築住宅は原則適用外となる点も、今後の土地仕入れや提案に影響します。

参考:令和8年度税制改正の詳細は国土交通省の報道発表資料でも確認できます。

国土交通省|報道資料|住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!~既存住宅、コンパクトな住宅への支援が拡充されます~
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ措置と省エネ区分の組み合わせ効果

住宅ローン控除の区分で見逃せないのが「子育て等世帯」への上乗せ措置です。この措置を省エネ基準適合住宅や上位区分と組み合わせると、控除額に大きな差が生まれます。

子育て等世帯とは、以下のいずれかに該当する世帯のことです。

  • 子育て世帯:19歳未満の扶養族を有する世帯
  • 若者婦世帯:夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

いずれも入居年の12月31日時点で判定されます。年の途中に配偶者や扶養親族が亡くなった場合はその死亡時点で判定されます。

2026〜2027年入居時の上乗せ効果を確認しましょう。

住宅区分 通常世帯・借入限度額 子育て等世帯・借入限度額 差額
認定住宅 4,500万円 5,000万円 +500万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 4,500万円 +1,000万円
省エネ基準適合住宅 2,000万円 3,000万円 +1,000万円

省エネ基準適合住宅を取得する子育て世帯の場合、借入限度額は通常世帯の2,000万円に対して3,000万円と1,000万円の差があります。年間控除額の上限で言えば2,000万円×0.7%=14万円に対して3,000万円×0.7%=21万円、13年間の合計では最大91万円の差になります。これは使えそうです。

顧客が子育て世帯・若者夫婦世帯に該当するかどうかを早めに確認し、上乗せ措置の適用可否を資金計画に織り込むことが実務上重要です。また、40歳の誕生日がいつかによって適用可否が変わる可能性があるため、入居時期と誕生日の関係も確認が必要です。

なお、2026年以降の改正では中古住宅も省エネ性能が高い場合には控除期間が10年から13年へ延長され、借入限度額も引き上げられました。省エネ性能の高い中古住宅の流通促進が政策の方向性です。既存住宅の省エネリノベーション提案にも、この控除拡充を絡めた説明が顧客の意思決定を後押しします。

不動産実務で押さえるべき「その他の住宅」の例外適用と注意点

省エネ基準を満たさない「その他の住宅」については、2024年以降に建築確認を受けた新築は原則として住宅ローン控除の対象外です。ただし、経過措置が設けられており、実務では正確な理解が必要です。

「その他の住宅」が例外的に控除対象になる条件

2024〜2025年に入居する場合でも、以下のいずれかを満たせば借入限度額2,000万円・控除期間10年で控除を受けられます。

  • 2023年(令和5年)12月31日以前に建築確認を受けていること(確認済証または検査済証の写しで証明)
  • 2024年(令和6年)6月30日以前に建築されたこと(登記事項証明書で証明)

この2つが条件です。どちらも証明できない場合は、2024年以降に建築確認を受けたその他の住宅として控除は受けられません。

不動産従事者として特に注意すべき点が、床面積40㎡以上50㎡未満の「小規模居住用家屋」の扱いです。この規模の住宅については、「その他の住宅」に該当する場合は2023年12月31日以前の建築確認が必要で、2024年6月30日以前の建築という経過措置は適用されません。規模によって経過措置の要件が異なるため、個別の確認が欠かせません。

また、合計所得要件についても整理しておきましょう。住宅ローン控除の適用を受けられるのは、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下の場合です。床面積40〜50㎡未満の小規模住宅(特例居住用家屋・特例認定住宅等)については所得要件が1,000万円以下とさらに厳しくなります。高所得の顧客への提案では、この所得要件の確認も事前に行っておく必要があります。

厳しいところですね。「省エネ基準を満たしているのに控除が受けられない」というケースや「書類が足りなかった」という事態は、実務上のトラブルとして顧客からのクレームに直結します。確定申告書の提出前に証明書の準備状況を確認する習慣が大切です。

参考:一般社団法人住宅安心保証「住宅ローン減税を受けるには?借入限度額による違いを解説」では、各区分の証明書類と手続きを詳しく解説しています。

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省エネ基準適合住宅の区分確認から顧客提案までの実務フロー【独自視点】

ここまで制度の内容を解説してきましたが、実務における「区分確認から顧客提案」の流れを整理すると、制度の知識がより使いやすくなります。不動産仲介・売買実務では、次のような手順が効率的です。

ステップ1:建築確認日・建築日の確認

まず取引対象住宅が「2024年1月以降に建築確認を受けた新築か否か」を確認します。2023年12月31日以前の建築確認であれば、省エネ基準を満たさない場合でも「その他の住宅」として借入限度額2,000万円・10年の控除が適用可能です。物件概要書や確認済証の日付を必ず確認しましょう。

ステップ2:省エネ性能証明書類の有無を確認

住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書の有無を確認します。証明書がある場合は、記載されている断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の数値から、ZEH水準か省エネ基準適合かを判別します。

  • 断熱等性能等級5以上+一次エネ消費量等級6以上 → ZEH水準省エネ住宅
  • 断熱等性能等級4以上+一次エネ消費量等級4以上 → 省エネ基準適合住宅

この2段階で区分が決まります。

ステップ3:顧客属性の確認(子育て世帯・若者夫婦世帯)

顧客が子育て等世帯に該当するかを確認します。入居年の12月31日時点で「19歳未満の扶養親族の有無」と「夫婦のいずれかが40歳未満か否か」を確認してください。該当する場合は上乗せ措置が適用され、借入限度額が増加します。

ステップ4:控除シミュレーションの提示

確認した区分と顧客属性をもとに、「借入限度額×0.7%×13年」で13年間の控除上限合計額を算出し、資金計画に反映します。たとえばZEH水準で子育て世帯の場合、4,500万円×0.7%×13年=409.5万円が控除上限の目安となります(実際の控除額は年末残高に依存)。

不動産に注意すれば大丈夫です。こうしたシミュレーションを早期に提示できると、顧客の住宅性能へのこだわりと資金計画を結びつけた納得度の高い提案が可能になります。

また、2026年以降の法改正を踏まえると「今から建てるならZEH水準以上を選ぶほうが長期的なメリットが大きい」という提案の根拠を数字で示せます。特に現在検討中の顧客に対しては、入居時期と住宅性能の組み合わせで控除額が大きく変わることを、具体的な金額で伝えることが信頼構築につながります。

参考:国土交通省「令和8年度住宅税制改正概要(報道発表)」では、2026年以降の住宅ローン控除の全体像を確認できます。

https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000241.html

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