対象外 宅建業法 適用除外
対象外 宅建業法 適用除外の第78条と国・地方公共団体
宅建業法の「適用除外」を語るとき、最初に押さえるべきは第78条1項です。ここでは、宅建業法の規定が「国及び地方公共団体には適用しない」とされています。つまり、取引の当事者が国や地方公共団体である場合、当該主体に対して宅建業法上の義務(免許を含む)を課さない、という構造です。根拠条文は宅地建物取引業法第78条です。
ただし、現場で起きがちな誤解は「国や自治体が相手なら、関与する宅建業者も宅建業法が外れる」という飛躍です。国土交通省系の解説資料では、国・地方公共団体等が適用対象外であるだけで、宅建業者が国等と取引する場合に宅建業者側へ宅建業法が適用されることが明確に述べられています。ここを誤ると、35条の説明・37条書面・広告規制など“業者側の義務”を落とし、行政処分・クレームの火種になります。
また、実務で重要なのは「国・地方公共団体とみなされる法人」が混ざることです。試験対策の世界では都市再生機構(UR)等の扱いが話題になりますが、現場でも「公共っぽいから対象外」と短絡しない運用が必要です。組織の法的根拠(みなし規定の有無)を確認し、対象外の前提が崩れないように案件ファイルに根拠を残すのが安全です。
参考:条文の一次情報(第78条の確認)
対象外 宅建業法 適用除外と業者間取引の第78条2項
第78条のもう一つの柱が、2項の「宅建業者相互間の取引」についての適用除外です。ここで外れるのは“宅建業法まるごと”ではなく、条文上は「第33条の2及び第37条の2から第43条まで」の規定に限られます。つまり、業者間取引だからといって、広告・誇大広告、報酬規制、免許、監督処分といった宅建業法全体が消えるわけではありません。
実務的に言うと、ここで外れる中心は、いわゆる「8種規制」(クーリング・オフ、損害賠償予定の制限、手付の制限、手付金等保全など)と、他人物売買の制限(33条の2)です。業者同士ならプロ同士の自己責任を前提に、買主保護の強い規制を外している、という理解になります。
ここで一段踏み込むと、業者間取引の境界条件が事故ポイントです。買主が「宅建業者」でも、その買主が宅建業者として買っているのか(事業用)/従業員名義や関連会社名義で買っているのか等で、実務上の説明や社内稟議の厳しさが変わります。契約書の当事者欄だけでなく、相手方の免許番号や名刺・登記情報の確認、売買目的のヒアリング記録を残す運用が有効です。
対象外 宅建業法 適用除外でも35条・37条はどうなるか
現場が一番混同しやすいのが、「業者間取引なら35条の重要事項説明も不要」という誤りです。第78条2項が外している条文群の中に35条は入っていないため、35条(重要事項説明)自体は業者間取引でも適用される、という整理が基本線になります。過去問解説系の整理でも、35条は業者間でも適用されるとされています。
一方で、説明の“やり方”は実務上軽くなる余地があります。例えば、相手も宅建実務に慣れているため、説明の深度は「争点になりやすい重要事項(越境・未登記増築・用途制限・道路・インフラ等)に時間を割く」運用が合理的です。ただし、合理化と省略は別で、説明を薄くしても紛争になりにくいだけで、説明義務が消えるわけではありません。
37条書面も同様で、「不要」ではなく「交付の運用が簡略化される」と誤認されがちです。条文・通達ベースの厳密整理は社内マニュアルに寄せ、現場ではチェックリストで“落としどころ”を統一すると、属人化を抑えられます。
参考:国交省の「解釈・運用の考え方」(業務判断の基準や運用の注意点を確認できる)
対象外 宅建業法 適用除外と8種規制(クーリング・オフ、手付等)
8種規制は「宅建業者が売主になる取引」で、買主保護を強く効かせるためのルール群として理解されます。ところが、第78条2項により、相手が宅建業者だと(宅建業者相互間の取引だと)この規制が外れるため、売主側が“普段の消費者向け契約雛形”のまま進めると、条項設計がズレます。例えば、損害賠償予定・違約金、手付解除、手付金等保全の条項は、業者間取引では法定の上限や枠組みに縛られない局面が出ます。
ここで意外に盲点なのが、「外れる=何を書いてもよい」ではない点です。宅建業法の当該制限が外れても、民法の原則、消費者契約法の適用可能性(相手が“事業者”でもケースにより検討余地)、信義則、公序良俗、そして何より取引実務上のレピュテーションリスクは残ります。特に不動産業界は継続取引が多く、相手業者との関係が悪化すると、共同仲介や情報流通にも影響が出ます。
また、他人物売買(33条の2)も業者間取引では外れますが、これも“自由化”と“無管理”は別です。入居者の明渡し未了、差押え、境界未確定など、移転不能リスクを抱えたまま転売スキームを組むと、解除・損害賠償の設計が実務の肝になります。条文の適用除外に寄りかかるより、停止条件・解除条件・表明保証・引渡し条件の設計でリスクを配分する方が、現場の事故は減ります。
対象外 宅建業法 適用除外の独自視点:監査・稟議での証跡設計
検索上位の解説は「第78条はこう」「業者間は8種規制が外れる」と条文整理で終わりがちですが、実務では“誰が見ても説明できる証跡”が残っているかが勝負です。特に、不動産会社の営業現場では案件が並走し、後から「これは対象外だったのか」「適用除外の範囲はどこまでか」が争点化しやすいからです。
おすすめは、対象外・適用除外の判断を、案件台帳に最初から埋め込むことです。例えば、次のような項目を契約前チェックに入れるだけで、トラブル対応のスピードが変わります。
- ✅ 相手方が国・地方公共団体か(根拠資料:発注主体の名称、条例・設置根拠、契約相手の押印者)
- ✅ 相手方が宅建業者か(免許番号、免許権者、名簿・自社DB照合)
- ✅ 取引類型が「宅建業者相互間」か(当事者双方が宅建業者として契約当事者になっているか)
- ✅ 適用除外の範囲メモ(第78条1項/2項のどちらか、外れる条文は何か)
- ✅ 契約条項の注意点(手付・違約金・解除条件・引渡し条件・表明保証の論点)
この運用の“意外な効用”は、行政調査や社内監査だけでなく、引継ぎにも効く点です。担当替えや退職が起きても、次の担当者が「なぜこの条項になっているか」を説明でき、交渉の再燃を防げます。結果として、対象外・適用除外を正しく使いながら、紛争コストを下げる実務になります。

