担保権 登記 確認
担保権の登記確認は登記事項証明書の乙区で何を見るか
担保権の有無を最短で確認するなら、まず「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、権利部(乙区)を見ます。乙区には所有権以外の権利が載るため、抵当権・根抵当権などの担保権の情報がここに集まるのが基本です。
実務で推奨されるのは「全部事項証明書」です。過去から現在までの履歴が載るので、抹消済み・変更済みの痕跡も追いやすく、当事者の説明と登記の整合性を取りやすくなります。
乙区で最低限チェックしたい観点は、次のとおりです。
- 抵当権/根抵当権が「存在するか」(そもそも設定されているか)。
- 現在も効力が残っているか(抹消されていないか)。
- 担保権者・債務者が誰か(名義や関係者が想定どおりか)。
- 同一不動産に複数の担保権が併存していないか(後順位が付いていないか)。
「乙区に抵当権がある=即アウト」と短絡しない点も重要です。たとえば不動産担保ローンの審査では、抵当権の順位や担保余力によっては追加融資が可能な商品もある、と整理されています。
ただし売買の局面では、抵当権が残ったままだと買主が敬遠しやすく、結局は抹消を前提に進むことが多いので、営業・契約の初期段階で乙区確認をルーチン化しておくと事故が減ります。
参考:登記事項証明書の構成(表題部・甲区・乙区・共同担保目録)と、担保確認は乙区と共同担保目録が要点であること

担保権の登記確認で共同担保目録を必ず付ける理由(見落としやすい)
担保権の確認で「意外に」抜けやすいのが共同担保目録です。共同担保目録は、1つの債権に対して複数の不動産が担保にされている場合、それらが一覧化される登記情報で、登記簿の一部として付いてきます。
実務上の怖さは、対象不動産“だけ”を見たつもりでいて、実は別の不動産(例:建物と土地、別地番、私道持分など)まで同じ債権の担保に入っているケースがある点です。
共同担保目録の確認が必要になる代表局面は、次のとおりです。
- 売却:共同担保目録に載る「すべての担保不動産」について抵当権抹消が必要になりやすい。
- 相続:被相続人名義不動産が、借入の担保になっていないかの確認で共同担保目録が手がかりになる。
- 融資・担保評価:他にどの不動産が同じ担保に入っているかで担保価値の見え方が変わる。
ここでの注意点として、「登記事項証明書を請求しただけでは共同担保目録が自動で付かない」運用があることが実務トラブルの芽になります。共同担保目録が必要なら、請求書側で“共同担保目録も必要”を明示する必要がある、と説明されています。
またオンライン請求では共同担保目録の指定に制約がある旨も触れられており、急ぎ・確実性優先なら窓口取得が無難、という判断軸が持てます。
参考:共同担保目録の役割、見方、取得時の注意点(請求時に明示が必要)

担保権の登記確認で順位番号が意味する実務リスク(優先弁済の順番)
担保権の登記確認で「順位番号」を読む目的は、単なる整理ではなく、いざというときに誰が先に回収するか(優先弁済)を見極めるためです。抵当権は登記の早い順番で順位が決まり、複数あると順位が早い抵当権者から優先して弁済を受ける、という説明がされています。
このため、同一不動産に先順位の担保権が残っている場合、後順位で新規融資を付けたい金融機関は回収可能性が下がり、融資条件が厳しくなったり、否決になったりする可能性がある、という実務判断につながります。
順位番号の読み取りで混乱が起きやすいのは、次のような場面です。
- 「2番抵当権がある=1番が消えている」と思い込む誤解(担保権は併存できるため、消滅とは限らない)。
- 共同担保目録側に出る順位番号と、乙区の順位番号の関係を見ずに、担保の“広がり”だけ確認して終わる。
- 抹消済みの表示(例:抹消線の有無など)を読み落とし、現存担保を誤判定する。
不動産会社の現場では、査定・媒介取得・重要事項説明の前段階で「乙区の担保権の数」「最先順位」「共同担保の有無」をセットで確認し、売却スキーム(抹消条件、決済同時抹消、金融機関の段取り)まで先に描くと、後戻りが減ります。
特に共同担保が絡むと、売却対象1物件だけを抹消して済む話ではなくなりやすいため、順位番号の確認は“抵当権があるか”以上に重要になります。
担保権の登記確認と根抵当権の債務者変更(変更できない状態がある)
担保権の登記確認では、抵当権だけでなく根抵当権も実務頻出です。根抵当権は取引継続を前提に使われることが多く、状況によって「債務者の変更」を登記で反映させる必要があると説明されています。
この論点が重要なのは、不動産取引・事業承継・相続などで“実態の債務者”が変わっているのに、登記(乙区の債務者欄)が旧情報のままということが起きうるためです。
現場で押さえるべきポイントは、次のとおりです。
- 債務者変更は合意を前提に、必要書類を整えて法務局へ申請し、登記に反映させる流れになる。
- 根抵当権では「元本確定」すると、一定の変更登記が申請できなくなる、という実務上の制約があると指摘されています。
- したがって、売却・借換・承継の検討時は、乙区の根抵当権の記載が“変更可能な状態か”も含めて早期に見立てる必要がある。
この領域は、一般的な「担保権の確認」記事では深掘りされにくい一方、取引スケジュールに直撃します。根抵当権が付いた物件を扱うなら、乙区の記載を見て「いつ・誰が・どの範囲で使っている根抵当権か」を言語化できるだけで、上席や司法書士との連携がスムーズになります。
担保権の登記確認を速くする不動産会社のチェックリスト(独自視点)
担保権の登記確認は、知識よりも「抜けない手順」が成果を左右します。登記事項証明書は誰でも取得でき、窓口・郵送・インターネットで請求できる一方、共同担保目録の扱いなど“取り方の差”が確認精度に直結します。
そこで、不動産従事者向けに、売買・媒介の初動で使えるチェックリスト形式に落とし込みます(社内で共有しやすい形を想定)。
- 取得物:全部事項証明書を基本にする(履歴込みで読み違いを減らす)。
- 乙区:担保権の件数、最先順位、担保権者、債務者を抜き出す。
- 共同担保目録:付いているか、番号があるか、対象不動産がどこまで広がるかを特定する。
- 抹消線・変更:抹消済みか、変更履歴があるかを確認し、“現存する権利だけ”を整理する。
- リスクメモ:売却なら抹消の段取り、融資なら順位と担保余力、相続なら担保の有無を要約して案件メモに残す。
あまり知られていない落とし穴として、「対象不動産の登記事項証明書を1通だけ取って終わる」運用があります。共同担保があると、別の不動産側の登記にも同じ共同担保がぶら下がることがあるため、案件によっては“土地側・建物側の双方”の取得を前提にしたほうが安全です。
また、登記情報提供サービスのPDFは便利ですが、証明文や公印は付かない点が明確にされているので、社内稟議・決済段取り・金融機関提出など「正式書面」が要る局面では登記事項証明書を使い分けると実務が崩れません。

