建物表題変更登記の必要書類と申請手順を完全解説
屋根の葺き替えだけで必要書類がゼロになるケースがあります。
建物表題変更登記とはどんな手続きか:基本と対象ケース
建物表題変更登記とは、増築・減築・構造変更・用途変更などにより建物の現況が変化したとき、法務局の登記簿上の記録(表題部)を現況に合わせて更新する手続きです。 登記は自動的に変更されないため、工事後でも申請しない限り登記記録は古いままになります。つまり現況と登記が乖離するということです。
参考)増築・改築リフォームしたときの建物表題変更登記を極める|登記…
対象となる主なケースは以下のとおりです。
- 🏠 増築・減築:床面積が変わる工事(一部屋追加、2階増設、減築など)
- 🔄 用途変更:居宅→店舗・事務所、またはその逆の転換
- 🏗️ 構造変更:スレート葺きから瓦葺きへの屋根の葺き替えなど
- 🏚️ 附属建物の増減:離れ・車庫・倉庫・物置の新築または取り壊し
この登記を申請できる専門家は土地家屋調査士のみです。 不動産業従事者として案件を進める際は、調査士との連携が欠かせません。
参考)https://to-ki.jp/y-sato/building/henkou.asp
建物表題変更登記の必要書類:増築・減築の基本セット
必要書類が最も多いのは、床面積が変わる増築・減築のケースです。これが基本です。
参考)増築時に必須の建物表題変更登記とは? 手続きと実務ポイント
まず揃えるべき「基本4点セット」は以下のとおりです。
| 書類名 | 内容・取得先 |
|---|---|
| 建築確認済証・検査済証 | 建築時に確認申請を行った際に交付される書類 |
| 確認申請書副本(各階平面図含む) | 確認申請時に返却された副本一式 |
| 所有者の住民票(法人の場合は資格証明書) | 市区町村役場で取得 |
| 固定資産税評価証明書(家屋) | 市区町村役場で取得可能 |
これら4点に加えて、土地家屋調査士が作成する「建物図面・各階平面図」と「登記申請書」が必要です。 代理申請を依頼する場合、「実印を押した委任状」と「発行から3ヶ月以内の印鑑証明書」および「顔写真付き本人確認書類のコピー」も必須です。
1点でも欠けると法務局から補正指示が届き、再提出になります。 書類が揃わないまま期限が来ると10万円以下の過料リスクも高まります。ogasawara-jsoffice+1
建物表題変更登記の必要書類:書類が揃わない場合の代替対応策
確認済証や検査済証が紛失・未取得のケースは珍しくありません。この場合でも登記は可能です。
基本4点セットのうち1点でも揃わない場合、以下の代替書類を2点以上組み合わせることで対応できます。
- 📋 納税証明書(過去3年分・課税明細付き)
- 🧾 建築代金の領収書
- 📑 工事請負契約書
- 🏢 工事完了引渡証明書(施工業者の資格証明書+印鑑証明書付き)
- 🔥 火災保険証書
- 💡 電気・ガス・水道などの公共料金領収書(住所記載のもの)
- 👥 第三者証明書2名分(実印押印+印鑑証明書添付)
代替書類は2点以上の提出が必要です。 たとえば工事代金の領収書+納税証明書の組み合わせでもOKです。
重要なのは「増築の事実があり、増築部分の所有者が特定できれば登記は可能」という原則です。 状況をありのまま申述すれば、専門家と連携して道筋は必ず見つかります。書類が揃わないからといって偽造に走ることは絶対に避けるべきです。過去には書類偽造を依頼するトラブル事例も実際に起きています。
参考:書類が揃わない場合の所有権証明書の考え方について、実務事例も含めた詳しい解説が読めます。
増築・改築リフォームしたときの建物表題変更登記を極める|川戸土地家屋調査士事務所
建物表題変更登記の必要書類:屋根葺き替えや用途変更の場合
屋根の葺き替えや用途変更(種類変更)で床面積の増減がない場合、揃える必要書類はほぼゼロになります。 現地調査報告書と委任状のみで申請できるケースが多いです。
これは実務上、非常に重要なポイントです。たとえば居宅を事務所に用途変更する場合でも、増築を伴わなければ書類準備の負担は格段に軽くなります。
変更の種類ごとに必要書類の量を整理すると以下のとおりです。
| 変更の種類 | 床面積の変更 | 必要書類の量 |
|---|---|---|
| 増築・減築 | あり | 多い(基本4点セット+図面) |
| 用途変更のみ | なし | 少ない(現地調査報告書+委任状程度) |
| 屋根葺き替えのみ | なし | 少ない(現地調査報告書+委任状程度) |
| 附属建物の増設 | あり | 多い(増築と同様) |
用途変更の登記は「種類変更」として扱われ、変更理由を記した申請書と委任状さえあれば足りる場合がほとんどです。 これは節税対策や事業転換を行う顧客に対してもすぐに伝えられる実務知識です。
参考:表題変更登記の手続きと必要書類について法務局の公式情報はこちらで確認できます。
建物表題変更登記の申請期限・過料・未登記放置リスク
申請期限は「変更があった日から1ヶ月以内」です。 工事完了日が起点になります。これが原則です。
不動産登記法第164条により、期限を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性があります。 実際に過料が徴収された事例は多くないとも言われますが、法的義務である以上リスクゼロではありません。jibundetouki+1
未登記のまま放置すると、以下の連鎖的なトラブルが発生する可能性があります。
- 💰 追徴課税リスク:課税庁が航空写真や現地調査で増築を把握した場合、過去5年分の固定資産税が追徴されることがあります。延滞金・加算税を含めると数十万円規模になることも。
- 🏦 融資審査への影響:登記簿と現況が一致しないと担保価値を正確に算定できず、金融機関が融資実行を保留するケースがあります。
- 📉 売却価格の低下:契約前に未登記が発覚した場合、登記修正費用を売主負担とする条件交渉で価格が数%下がる事例も珍しくありません。
- 👨👩👧 相続紛争のリスク:増築者が死亡後に発覚した未登記は、相続人が書類を揃えられず登記完了まで半年以上かかるケースもあります。iezukuri-business.homes+1
不動産業者が売却案件を受けた際、登記簿と建物図面・各階平面図の面積が一致しているかを必ず確認することが、トラブル回避の基本です。 一致していなければ、早めに土地家屋調査士へ相談する段取りを組みましょう。
建物表題変更登記の実務:不動産業従事者が見落としやすいポイント
固定資産税が課税されていても、表題変更登記がされているとは限りません。 これは不動産業従事者が特に注意すべき点です。
自治体は毎年航空写真を撮影して増築を把握し、未登記建物でも固定資産税を課税します。 そのため「固定資産税がかかっているから登記も済んでいるだろう」という思い込みは危険です。売買・相続案件では登記事項証明書と現地建物の現況を必ず照合してください。
実務上、見落とされやすいケースを挙げます。
- 🔎 親の建物に子が増築したケース:増築部分は親の所有物とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。 持分共有にすることで贈与税を回避できますが、課税上の取り扱いが複雑です。
- 🔎 前所有者が増築して未登記のまま売却したケース:現所有者が前所有者の協力なしには書類が揃えられず、登記が難航します。
- 🔎 売却前に未登記が発覚したケース:仲介会社が重要事項説明書を作り直す手間賃を上乗せ請求してくるケースもあります。
申請後の流れも確認しておきましょう。 補正なく進めば、申請から5〜7営業日で登記完了証と登記事項証明書が交付されます。書類漏れがあると補正指示が来て再提出となり、日数が余計にかかります。チェックリストで書類を総点検することが、最も確実な時間短縮策です。
参考:増築時に必要な書類の詳細なチェックポイントと実務フロー図はこちらで確認できます。
増築時に必須の建物表題変更登記とは? 手続きと実務ポイント|HOMES住まいのお役立ち情報

わかりやすい不動産表示登記の申請手続 土地・建物の表題登記、変更・更正、分筆、合筆、滅失、区分建物等 日本法令不動産登記研究会/編
