抵当権抹消登記の費用と司法書士報酬
司法書士報酬は2万円でも書類紛失なら8万円超になります。
抵当権抹消登記の司法書士報酬は地域で異なる
住宅ローン完済後の抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、報酬の相場は地域によって差があります。日本司法書士会連合会が実施した2018年の報酬アンケート結果によると、全国平均で約4万5,000円程度となっていますが、これは抵当権設定登記を含む複雑な案件も含まれた数字です。
単純な抵当権抹消登記だけであれば、1万円から2万円程度が一般的な相場です。関東地区や近畿地区では報酬が高めに設定される傾向があり、2万円から3万円程度になることもあります。一方、地方では1万5,000円前後で依頼できる事務所も多く見られます。
不動産業従事者として顧客にアドバイスする際は、地域の相場を把握しておくことが重要です。複数の司法書士事務所に見積もりを取ることで、適正な価格を判断できます。報酬には事務所の専門性や対応の速さも反映されるため、単純に安ければ良いというわけではありません。
顧客が売却を急いでいる場合は、迅速に対応できる司法書士を選ぶべきです。決済日までに抹消登記が完了しないと、取引全体が遅れるリスクがあります。信頼できる司法書士との連携体制を構築しておくと、スムーズな取引が可能になります。
抵当権抹消登記の登録免許税と実費の内訳
抵当権抹消登記には司法書士報酬以外に、登録免許税と各種実費が必ず発生します。登録免許税は不動産1個につき1,000円と法律で定められており、これは全国一律です。戸建て住宅の場合、土地と建物で別々にカウントされるため、最低でも2,000円が必要になります。
マンションの場合も同様で、敷地権と区分所有建物で2個とカウントされます。ただし、土地が複数筆に分かれている場合は、それぞれに1,000円ずつかかるため注意が必要です。たとえば土地2筆と建物1棟なら、登録免許税は3,000円になります。
実費としては、登記事項証明書の取得費用が発生します。事前調査と事後確認で2通必要になるため、窓口請求なら1,200円、オンライン請求(窓口受取)なら960円です。郵送費用も実費として請求されることが多く、往復で1,000円から2,000円程度を見込んでおくべきです。
住所変更登記が必要な場合は、さらに登録免許税が不動産1個につき1,000円加算されます。戸建てなら追加で2,000円、住民票や戸籍附票の取得費用として300円から450円程度が必要です。こうした実費は司法書士報酬とは別に請求されるため、顧客への説明時には総額を明示することが大切です。
抵当権抹消登記を自分でする場合の費用比較
抵当権抹消登記は所有者自身が行うことも可能で、その場合は司法書士報酬が不要になります。登録免許税2,000円、登記事項証明書の取得費用1,200円程度、郵送費や交通費で1,000円程度の合計4,000円から5,000円で手続きできます。司法書士に依頼する場合と比べて、1万5,000円から3万円程度の節約になるわけです。
ただし、自分で手続きする場合は平日に法務局へ足を運ぶ必要があります。不動産業従事者が顧客にアドバイスする際は、時間的コストも考慮に入れるべきです。書類作成に不慣れな場合、法務局の窓口で何度も訂正を求められることがあり、かえって時間がかかる可能性があります。
不動産売却に伴う抵当権抹消の場合は、司法書士への依頼がほぼ必須です。売買代金でローンを完済する同時決済では、所有権移転登記と抵当権抹消登記を同日に行う必要があり、手続きの正確性とスピードが求められます。買主側の金融機関も、司法書士による確実な手続きを条件とするケースがほとんどです。
一方、住宅ローン完済後に時間的余裕がある場合は、自分で手続きする選択肢もあります。法務局のホームページには申請書のひな形や記載例が公開されており、それらを参考にすれば書類作成は可能です。不動産業従事者としては、顧客の状況に応じて適切な選択肢を提示することが求められます。
抵当権抹消を放置した場合の費用リスク
抵当権抹消登記を放置すると、後から手続きする際に追加費用が発生するリスクが高まります。金融機関から受け取った解除証書や委任状には有効期限はありませんが、紛失してしまうと再発行手数料が必要になります。金融機関によって異なりますが、3,000円から1万円程度の手数料を請求されることが一般的です。
さらに深刻なのは、金融機関が合併や統廃合で消滅してしまうケースです。承継先の金融機関を調査し、旧金融機関の登記情報を取得する必要があり、司法書士報酬が通常の2倍から3倍に膨れ上がることがあります。場合によっては供託手続きや訴訟手続きが必要となり、8万円から15万円程度の費用がかかるケースも報告されています。
所有者の住所変更が複数回あった場合も、追加費用が発生します。住民票では住所の履歴が1回前までしか記載されないため、戸籍附票を取得する必要があります。さらに戸籍附票の保存期間を超えている場合は、権利証(登記識別情報)を使った手続きが必要となり、司法書士の作業量が増えて報酬も上がります。
相続が発生してから抵当権抹消を行う場合は、相続登記の費用も加わります。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で、評価額3,000万円の不動産なら12万円です。これに戸籍謄本等の取得費用や司法書士報酬を合わせると、総額で20万円から30万円程度になることも珍しくありません。
つまり抹消が基本です。
抵当権抹消登記で不動産業者が注意すべき費用説明のポイント
不動産売買の仲介において、抵当権抹消費用の説明は売主への重要な情報提供です。多くの売主は司法書士報酬だけを費用と考えがちですが、実際には登録免許税や実費も発生します。見積書を提示する際は、内訳を明確に示すことでトラブルを防げます。
特に注意が必要なのは、売買契約から決済までの間に発生する追加費用です。住所変更登記が必要な場合、当初の見積もりに含まれていないことがあります。契約時に登記簿謄本を確認し、売主の現住所と登記上の住所が一致しているか必ずチェックすべきです。不一致がある場合は、追加で2,000円から3,000円程度の費用がかかることを事前に説明しましょう。
複数の抵当権が設定されている場合も、費用が増加します。1本目の抵当権抹消で基本報酬を設定し、2本目以降は追加報酬が発生する料金体系が一般的です。2本の抵当権を抹消する場合、司法書士報酬が1.5倍から2倍になることを想定しておく必要があります。
決済当日の流れについても、売主に丁寧に説明することが大切です。金融機関から解除証書等を受け取り、その場で司法書士に渡すという一連の流れを理解してもらうことで、スムーズな取引が実現します。書類の不備があると決済が延期になり、買主との信頼関係にも影響するため、事前の確認を徹底しましょう。

