登記原因証明情報の書式を法務局書式で完全攻略

登記原因証明情報の書式と法務局への正しい提出方法

売買契約書をそのまま出すと、あなたの売買代金が利害関係人に全額バレます。

📋 登記原因証明情報の書式:3つの重要ポイント
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書式は「報告形式」が実務標準

法務局公式ひな形に基づく報告形式で作成すれば、売買代金などの情報が第三者に公開されるリスクを避けられます。

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登記原因によって書式が変わる

売買・贈与・財産分与・相続それぞれで記載内容が異なります。原因ごとの書き方を押さえることが実務の要です。

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添付不要なケースは3つだけ

所有権保存登記・処分禁止後れ登記の抹消・混同による権利抹消。これ以外は原則として全登記に添付が必要です。

登記原因証明情報とは:法務局が求める書式の基本

 

登記原因証明情報とは、どういった原因でどのように権利が変動したかを登記官に証明するために添付する書類です。 不動産登記法第61条は「権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提出しなければならない」と定めています。 つまり、権利に関する登記であれば原則すべてに添付が必要です。sell.yeay+1

平成17年3月施行の新不動産登記法で初めて「登記原因証明情報の提供制度」が導入されました。 それ以前は「原因証書」を添付していましたが、新法施行後は書面で情報がなかったケースでも登記原因証明情報を提供することになりました。 これが原則です。

参考)登記原因証明情報とは?書式と書き方までわかりやすく解説

法務局は、売買・贈与・抵当権設定など登記の種類ごとに申請書書式の記載例を公開しています。 実務では、まず法務局の公式サイトで該当する登記の記載例を確認してから書式を用意するのが最も確実です。

参考)不動産登記の申請書様式について:法務局

法務局が公開している不動産登記申請書の様式・記載例一覧はこちらで確認できます。

不動産登記の申請書様式について(法務局公式)

登記原因証明情報の書式:「報告形式」と「既存文書活用型」の違い

登記原因証明情報の書式には大きく2種類あります。 1つは「既存文書活用型」で、売買契約書や贈与契約書など既に存在する書類をそのまま提出する方法です。もう1つは「報告形式」で、登記原因となった事実を新たに文書化して提出する方法です。

どちらでも受理されます。 ただし、既存文書活用型で売買契約書をそのまま提出すると、売買代金や特約など契約書の内容が利害関係人に閲覧される状態になります。 これは意外と見落とされがちな点です。

そのため、実務では報告形式が標準です。 報告形式なら必要事項のみ記載できるため、売買金額や個人情報の不要な公開を防げます。法務局が公開している記載例も報告形式をベースにしており、実務担当者はまずこちらの書式を使うと間違いありません。

  • 📄 既存文書活用型売買契約書+代金領収書、贈与契約書など既存書類をそのまま提出
  • 📝 報告形式:登記申請情報の要項+原因となる事実・法律行為+当事者の署名押印で構成した新規文書

原本還付請求が可能なのは既存文書活用型のみです。 売買契約書を原本として提出した場合は、申請後に原本の返還を請求できます。

登記原因証明情報の書式:売買・贈与・相続ごとの書き方

登記の原因によって書式の記載内容が異なります。 ここが実務でミスしやすいポイントです。

【売買による所有権移転の記載例】

参考)登記原因証明情報のひな形 売買・贈与による所有権移転 – 池…

  • 登記の目的:所有権移転
  • 登記の原因:令和〇年〇月〇日 売買(決済日を記載)
  • 当事者:権利者=買主、義務者=売主
  • 原因となる事実:①売買契約締結、②所有権移転時期の特約、③代金支払い、④所有権移転の4点を記載

【贈与による所有権移転の記載例】

  • 登記の原因:令和〇年〇月〇日 贈与
  • 原因となる事実:「甲は乙に対し、令和〇年〇月〇日、本件不動産を贈与する意思を表示し、乙はこれを受諾した」「よって本件不動産の所有権は同日甲から乙に移転した」の2点を記載

【相続の場合】

相続登記の場合、登記原因証明情報には相続関係説明図と遺産分割協議書が該当します。遺産分割協議書を使う場合は法定相続人全員の印鑑証明書も必要になります。これが条件です。

どの書式も、最後に「上記の登記原因のとおり相違なく、その証として本書を差し入れます」という文言と、当事者双方の住所・氏名・押印(実印でなくても可)を記載します。

売買・贈与・相続の登記申請書見本・ひな形を詳しく確認したい場合はこちら。

売買による所有権移転登記申請書の見本・書式(司法書士監修)

登記原因証明情報の添付が不要な例外3ケース

原則として全ての権利関係の登記に添付が必要ですが、例外が3つだけあります。 この3つを覚えておくと、不必要な書類作成の手間を省けます。

参考)承諾を証する情報まとめ&登記原因証明情報が不要な場合

ケース 根拠条文 実務上のポイント
所有権保存登記敷地権付き区分建物の74条2項保存を除く) 不動産登記令7条3項 新築建物の初回登記が典型例。添付不要
②処分禁止の登記(仮処分)に遅れる登記の抹消 不動産登記令7条3項 裁判手続き関連の抹消。登記記録上明らか
③混同を原因とする権利抹消で、登記記録上混同が明らかな場合 不動産登記令7条3項 登記記録を見れば確認できるため添付不要

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また、法人の住所変更登記・住所更正登記で会社法人等番号を提供した場合も添付が不要になります。 会社法人等番号さえ記載すれば履歴事項全部証明書の現物添付を省略でき、「登記原因証明情報(会社法人等番号〇〇〇〇-〇〇-〇〇〇〇)」と記載するだけで対応できます。これは使えそうです。imamoto-office+1

実務で差がつく:閲覧制度と書類の30年保存ルール

登記原因証明情報は法務局に30年間保存されます。 これはあまり知られていない点です。登記申請書の付属書類は30年間保存され、当事者または利害関係人であれば閲覧を申請できます(不動産登記法第121条)。

旧法では原因証書が申請人に還付されていたため、法務局に写しも残らず調査が不可能でした。 新法によってその過去30年分の権利変動の経緯を追跡できるようになっています。不動産取引の安全性が格段に高まったということですね。

参考)変更点の概要~登記原因証明情報の添付~|司法書士法人 公道

閲覧申請は郵送やオンラインでは受け付けておらず、必ず該当の法務局窓口に出向く必要があります。 手数料は1件450円(令和時点の基準)で、コピーは不可ですが写真撮影は可能です。カメラかスマートフォンを必ず持参しましょう。

  • 📍 申請先:その登記を受け付けした法務局の窓口(郵送・オンライン不可)
  • 💴 手数料:1件450円
  • 📸 閲覧のみ可(コピー不可、写真撮影はOK)
  • 🪪 本人確認書類または利害関係を証する書面が必要

不動産業従事者にとっては、売却依頼を受けた物件の過去の権利変動を遡る際に、この閲覧制度が有効な調査手段になります。 30年以内の登記であれば、どのような原因・経緯で名義が変わったかを確認できます。これが条件です。

不動産登記に関する法務局の公式Q&A(添付書類・手続き詳細)はこちら。

不動産登記のよくあるご質問等(法務局公式)

渉外不動産登記の法律と実務2―相続、売買、準拠法に関する実例解説―