賃貸不動産経営管理士と宅建の一本化/講習や試験

賃貸不動産経営管理士の宅建の一本化

賃貸不動産経営管理士の宅建の一本化

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(新法)が2020年に成立しました。新法では、賃貸住宅の管理業務を適正に行うために、管理業務者になる要件を定め、管理業務の登録制度を導入しています。

管理業務者になる要件は、以下のとおりです。

  • 一定の講習を受けた「賃貸不動産経営管理士」または「宅地建物取引士」であること。
  • 一定の経験を有していること。
  • 一定の財産的基礎を有していること。

管理業務の登録制度では、管理業務を営もうとする者は、国土交通省に登録する必要があります。

賃貸不動産経営管理士協議会は国家資格化の要望書を提出していて、賃貸住宅管理業法の業務管理者の要件を賃貸不動産経営管理士に一本化する動きがあります。

賃貸不動産経営管理士は将来的には国家資格となる予定だと考えておきましょう。なので、賃貸不動産経営管理士の取得を目指す人は資格取得のタイミングに注意する必要があると言えるでしょう。まあ、注意のしようがない…とも言えますが。

登録した管理会社がおこなう4つの業務

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に基づき、登録した管理会社は以下の4つの業務を行う必要があります。

  • 管理事務所に1人以上の業務管理者を設置する。
  • 管理委託契約締結前に重要事項説明を行う。
  • 家賃等の分別管理を行う。
  • 賃貸人に対する定期報告を行う。

賃貸不動産経営管理士の取得は賃貸管理業務の適正化に貢献すると期待されていて、全宅連や日管協などの業界団体によって推奨されています。

それぞれについて詳しく説明します。

管理事務所に1人以上の業務管理者を設置する。
管理業務を適切に行うためには、管理事務所に1人以上の業務管理者を設置する必要があります。業務管理者は、管理業務の適正な運営に責任を負います。業務管理者は、賃貸住宅管理士の資格を有していなくても構いませんが、一定の研修を受けている必要があります。

管理委託契約締結前に重要事項説明を行う。
管理会社は、管理委託契約を締結する前に、賃貸人に対して重要事項説明を行う必要があります。重要事項説明は、管理業務の内容や費用、契約の解除方法などについて説明するものです。重要事項説明は、書面で行う必要があります。

家賃等の分別管理を行う。
管理会社は、家賃等を分別して管理する必要があります。家賃等とは、賃料、敷金、礼金、更新料などです。管理会社は、これらの費用を別々の口座に預け入れ、帳簿に記載する必要があります。

賃貸人に対する定期報告を行う。
管理会社は、賃貸人に対して定期的に報告を行う必要があります。報告内容は、家賃の収納状況、建物の維持保全状況、入居者の退去状況などです。報告は、書面で行う必要があります。

この4つの業務は、賃貸住宅の管理業務を適正に行うために必要なものです。登録した管理会社は、これらの業務を怠ると、罰則を受ける可能性があります。

賃貸不動産経営管理士を宅建士ルートで取るメリット

賃貸不動産経営管理士を宅建士ルートで取るメリット

宅建士の取得者の約70%が賃貸不動産経営管理士も取得しています。

宅建士を取得してから、賃貸不動産経営管理士のダブルライセンス取得をすることは、大きなメリットがあります。

  • 宅建士を取得している人が、賃貸不動産経営管理士を取得すると、学習範囲が重なる部分があるため、効率的に合格が狙えます。
  • 宅建士 + 賃貸不動産経営管理士を持っていると、賃貸物件のオーナーや入居者のやり取りに関する知識、支援業務に関する知識を身に着けた専門家として活躍することができます。
  • なによりも、宅建士が管理業務者の要件を満たすために、賃貸不動産経営管理士を取得すると指定講習が不要になります。

以下に、それぞれのメリットについて詳しく説明します。

学習範囲が重なる部分があるため、効率的に合格が狙える。
宅建士と賃貸不動産経営管理士の試験には、共通する知識や問題が数多くあります。そのため、宅建士を取得している人は、賃貸不動産経営管理士の試験勉強を効率的に進めることができます。

賃貸物件のオーナーや入居者のやり取りに関する知識、支援業務に関する知識を身に着けた専門家として活躍することができる。
宅建士は、不動産の売買や賃貸に関する法律や知識を身に着けた専門家です。賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に関する法律や知識を身に着けた専門家です。両方の資格を取得することで、賃貸物件のオーナーや入居者のやり取りに関する知識、支援業務に関する知識を身に着けることができます。

指定講習が不要になる。
宅建士が管理業務者の要件を満たすためには、指定講習を受講する必要があります。しかし、賃貸不動産経営管理士を取得している場合は、指定講習を受講する必要はありません。

宅建士と賃貸不動産経営管理士のダブルライセンス取得は、不動産業界で活躍したい人に大きなメリットがあります。

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賃貸不動産経営管理士の将来性

賃貸不動産経営管理士の将来性

賃貸不動産経営管理士の資格は、比較的新しい資格です。そのため、知名度は宅地建物取引士(宅建士)に比べると低いと言えます。しかし、賃貸住宅の管理業務の需要は年々増加しており、賃貸不動産経営管理士の資格は将来性のある資格と言えます。

今後も増えることが予想される賃貸住居者のトラブル解決や、今後もさらに複雑化する賃貸住宅の管理業務のニーズにより、賃貸不動産経営管理士の活躍の場は広がっていくことが予想されます。また、賃貸不動産経営管理士の資格を取得することで、年収や資格手当が上がる可能性もあります。

ただし、現在のところは賃貸不動産経営管理士の年収は、300万円から600万円程度と、一般のサラリーマンに比べても特別高いというわけではありません。また、賃貸不動産経営管理士の資格手当は、月額5,000円から10,000円程度と、それほど高評価ではない印象です。

賃貸不動産経営管理士は、将来性のある資格ですが、年収や資格手当などの待遇面では、宅建士に劣ると言えます。

そのため、需要はあるけどお金にあまり反映されない…ということもありえるかも。

宅建士だけ持っている人はたくさんいるので、差別化のために賃貸不動産経営管理士も同時に持っておく、というのはアリかも知れませんね。

賃貸不動産経営管理士も、宅建士と同様に通信講座が揃っています。最安のやつでも質問サポートがついているので、独学での合格も問題ないでしょう。

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