取り壊し費用 取得価額算入の判断基準
1年以内に取り壊すと土地の取得価額に算入されます。
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取り壊し費用の取得価額算入が必須となるケース
土地付き建物を購入後おおむね1年以内に取り壊した場合、その建物の帳簿価額と取り壊し費用の合計額は、土地の取得価額に算入しなければなりません。これは、当初から土地を利用する目的で建物を取得したとみなされるためです。取得価額に算入すると、土地は減価償却ができないため、売却するまでその費用を経費として計上することができません。
参考)建物の取り壊し費用は取得価額に含める?税制上の取り扱いについ…
1年以内という基準は形式的な目安ですが、たとえ1年経過後であっても、当初から土地だけを利用する目的であることが明らかな場合には、建物の取得価額と取り壊し費用を土地の取得価額に含める必要があります。
つまり1年だけが基準ではないということですね。
参考)土地とともに取得した建物をすぐに取壊した場合の会計処理
具体的には、土地付き建物を500万円で購入し、そのうち建物部分が200万円、取り壊し費用が100万円かかった場合、土地の取得価額は600万円(土地300万円+建物200万円+取り壊し費用100万円)となります。廃材等の処分によって得た金額がある場合は、その金額を控除した額を取得価額に算入します。
参考)No.5401 土地とともに取得した建物を取り壊した場合の土…
取り壊し費用を損金算入できる例外的な状況
初めは建物を事業に使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより使用をあきらめなければならないような場合には、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊したときであっても、建物の帳簿価額と取り壊し費用の合計額を土地の取得価額に含めず、取り壊したときの損金の額に算入することができます。
参考)建物付きの土地を取得した場合の建物等の取壊し費について – …
やむを得ない理由には、建物が古く改修工事も困難なため取り壊さざるを得なかったケースや、突然の大震災などを理由に取得後1年以内に取り壊し・建て直さなくてはいけなくなった場合などが該当します。当初から土地利用目的で建物を取得したわけではないことが明確であれば、この取り扱いが適用されます。
参考)建物付き土地の購入と1年以内の建物の取壊の注意点(税務調査)
また、すでに保有していた事業用建物(店舗、事務所、賃貸物件など)を取り壊す場合は、その解体費用を必要経費として計上できます。取り壊した建物に帳簿上の価値(未償却残高)がある場合は、「固定資産除却損」としてあわせて経費に含めることも可能です。つまり新規取得と既存保有では扱いが違うということですね。
取り壊し費用の勘定科目と仕訳パターン
取り壊し費用の勘定科目は、取り壊しの目的によって使い分ける必要があります。更地にする目的の場合は「固定資産除却損」、建て替えのための取り壊しであれば「建設仮勘定」、原状復旧のための取り壊しなら「修繕費」、災害により撤去する場合は「災害損失」を使用します。
建て替えの場合、解体費用は一旦「前払金」または「建設仮勘定」として資産計上し、新しい建物が完成した時点で建物の取得価額に含めます。例えば、500万円の解体費用で古い建物を取り壊し、新築費用が1,000万円の建物へ建て替えた場合、解体費用を支払った際に「前払金500万円/現金500万円」と仕訳し、新しい建物完成時に「建物1,500万円/現金1,000万円・前払金500万円」と仕訳します。
参考)建物解体費用は取得価額に入るのか|現場ブログ|昭島市・八王子…
更地にする目的で取り壊す場合は「固定資産除却損」として費用処理します。この場合、取り壊した期の損金の額に算入できます。ただし、不動産所得が事業的規模に満たない場合、除却損については除却損を計上する前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入できます。
それが原則です。
参考)建物取壊費用の取り扱い
取り壊し費用を譲渡費用として控除する条件
土地を売却する目的で建物を取り壊した場合、その取り壊し費用は譲渡費用として売却益から控除することができます。譲渡費用として認められれば、その分譲渡所得税が減ることになります。
参考)土地売却時の解体費用は控除対象?1年以内の売却が必須?|ナカ…
ただし、取り壊しが土地を譲渡するために行われたことが明らかである場合に限られます。税法上の明確な基準はありませんが、解体後1年以内に売却契約を結ぶことで、譲渡費用として認められやすくなります。他の税制の適用条件で「1年以内」という記述があるため、同様に考えられることが多いようです。
参考)https://www.tm-tax.com/mailmag/fudosan/fudosan200228/
倒壊の危険があるため取り壊し後に土地を売却した場合や、建て替えのために解体したが予定変更により土地を売却した場合、事業用地として利用するため取り壊し後に事業終了して売却した場合などは、取り壊しの直接的な理由が売却ではないと判断され、譲渡費用に含めるのは難しくなります。取り壊しから売却までの期間が1年を超えると、この特例は適用できません。
計画的な売却活動が必要です。
取り壊し費用の処理誤りによる税務リスク
建物の取得価額や取り壊し費用は金額的に大きくなるため、税務調査でのチェックポイントとなります。処理を誤ると、延滞税や重加算税などのペナルティが発生するリスクがあります。
参考)「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【…
実際の税理士損害賠償請求の事例では、建物の取得価額と取り壊し費用を取り壊した期の損金の額に算入できたにもかかわらず、土地の取得価額に算入して棚卸資産として繰越処理をしたため、損金に算入できた期と土地を売却できた期との実効税率の差により、過大納付となった物件が複数あることが判明したケースがあります。このケースでは、顧客が税理士に対して損害賠償請求を行っています。
取り壊し費用の処理を適切に行うためには、取得の目的、取り壊しのタイミング、取り壊し後の土地の利用方法などを総合的に判断する必要があります。判断が難しい場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。特に1年以内ルールと例外規定の適用については、客観的な証拠を残しておくことが重要です。税務調査に備えて、取得時の契約書、取り壊しの経緯を示す書類、やむを得ない理由を証明する資料などを保管しておくと安心です。
参考)https://www.hirakawa-tax.com/demolition-cost/
国税庁の公式サイトには、土地とともに取得した建物を取り壊した場合の取得価額について詳しい解説があります。以下のリンクで基本的なルールを確認できます。
国税庁 No.5401 土地とともに取得した建物を取り壊した場合の取得価額
小谷野会計グループのサイトでは、固定資産の取り壊し費用の取り扱いについて、より詳細な事例が紹介されています。実務での判断に役立つ情報が掲載されています。