ステータス公開で変わる不動産業界の透明性と囲い込み対策

ステータス公開で囲い込み防止

ステータス登録を怠ると指示処分の対象になる。

📊 この記事の3ポイント要約
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2025年1月から義務化された新ルール

レインズへのステータス登録が義務化され、虚偽登録は宅建業法第65条に基づく指示処分の対象に。登録証明書へのQRコード掲載で売主の確認も容易になった

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3種類のステータスと正確な管理

「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つを事実に基づき登録。変更は事象発生の翌日から2日以内(休業日除く)が原則

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売主への説明責任が強化

登録証明書交付時にステータス管理機能を分かりやすく説明する義務が発生。説明を怠ると指示処分のリスクがある

ステータス公開義務化の背景と目的

不動産業界で長年問題視されてきた「囲い込み」を防止するため、2025年1月1日から宅地建物取引業施行規則が改正されました。レインズ(指定流通機構)に登録した物件の取引状況を正確に登録することが義務付けられ、違反した場合は宅建業法第65条第1項に基づく指示処分の対象となる明確な法的根拠が整備されたのです。

囲い込みとは、専任媒介契約や専属専任媒介契約で売却を依頼された不動産会社が、自社で買主も見つけて両手取引(売主・買主双方から仲介手数料を受け取る)を狙い、他社からの問い合わせを意図的に拒否する行為を指します。例えば3000万円の物件なら、片手取引では96万円(税別)の手数料ですが、両手取引なら192万円になります。

つまり仲介手数料が2倍です。

この利益を得るため、レインズに登録していても「すでに申込みが入っている」と虚偽の説明をしたり、ステータスを「書面による購入申込みあり」に変して他社の紹介を事実上ストップさせる手法が横行していました。

国土交通省の公式発表(レインズ機能強化リーフレット)によると、売主が自身の物件の取引状況を確実かつ簡単に確認できるよう、2025年1月4日からレインズの登録証明書に2次元コード(QRコード)を掲載する改修が実施されました。売主はこのQRコードから専用画面にアクセスし、物件のステータスをリアルタイムで確認できます。

つまり不透明だった取引の実態が可視化されたということですね。

不動産業従事者にとって重要なのは、この改正が単なる情報公開の強化ではなく、処分リスクを伴う法的義務になったという点です。専属専任媒介契約および専任媒介契約で預かった物件の販売状況とレインズの登録ステータスに相違がある場合、監督行政庁による指示処分が下される可能性があります。指示処分に従わない場合は業務停止処分、さらに悪質なケースでは免許取消処分に至ることもあるため、社内の業務フロー全体を見直す必要があります。

ステータス公開の3種類と正確な使い分け

レインズに登録する物件のステータスは、以下の3種類から選択して設定します。状況に応じた正確な登録が求められ、虚偽の登録は処分対象となるため、現場の営業担当者から管理者まで全員が正しく理解しておく必要があります。

📌 公開中

他の不動産会社から購入申込みを受けられる状態を示すステータスです。専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結してレインズに登録した物件は、原則としてこの状態になります。「公開中」のステータス時は、原則として他社からの紹介依頼を拒否できません。正当な理由なく拒否した場合、囲い込みとみなされる可能性があります。

📌 書面による購入申込みあり

客付業者から書面による購入申込みを実際に受けた状態を示します。このステータスに変更する際は、レインズの「取引状況の補足」欄への入力が必須です。2018年1月4日以降、この補足欄が未入力の場合はエラーとなり登録できない仕様になっています。

注意すべきは、口頭での申込みや検討段階の顧客がいる程度では、このステータスに変更できないという点です。

あくまで書面による正式な申込みが必要です。

虚偽の申込みをでっち上げてこのステータスに変更し、他社の紹介を止める行為は明確な違反になります。

📌 売主都合で一時紹介停止中

売却依頼主の事情により一時的に物件を紹介できない状況を表します。例えば、売主が急な事情で一時的に内覧対応ができなくなった場合や、売却方針を再検討している期間などが該当します。このステータスでも「取引状況の補足」欄への入力が必須となっています。

このステータスを悪用し、正当な理由がないのに「一時紹介停止中」に変更して囲い込みを行うケースも過去に見られました。

厳しいところですね。

ステータスの変更タイミングも重要です。原則として売主に確認のうえ、事象発生の翌日から2日以内(休業日を除く)に変更することが求められています。例えば月曜日に書面による購入申込みを受けた場合、水曜日までにはステータスを「書面による購入申込みあり」に更新する必要があります。

迅速な対応が基本です。

売主は登録証明書のQRコードから専用画面にアクセスし、これらのステータスをいつでも確認できます。つまり、不正確な登録はすぐに発覚するリスクがあるということです。社内で物件ごとのステータス管理台帳を作成し、申込み状況や変更履歴を記録しておくと、トラブル防止に役立ちます。

ステータス公開における登録証明書の交付義務

専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結した宅建業者は、レインズに物件を登録した後、売主に対して登録証明書を交付する義務があります。この登録証明書は、レインズに物件が確実に登録されたことを証明する書面(またはデータ)であり、請求の有無にかかわらず交付しなければなりません。

登録証明書には以下の情報が記載されています。

✅ 物件の登録番号

✅ 登録年月日

✅ レインズの売主専用確認画面にアクセスするためのURL

✅ 物件ごとに付与されたID(確認用ID)

✅ パスワード(確認用パスワード)

✅ 2025年1月4日以降は、専用画面へ直接アクセスできる2次元コード(QRコード)

2025年1月4日からシステム改修が実施され、登録証明書下部のステータス管理機能説明部分にQRコードが追加されました。売主はスマートフォンでこのQRコードを読み取るだけで、専用画面に簡単にアクセスできます。従来はURLを手入力し、IDとパスワードを入力する必要がありましたが、QRコード導入により利便性が大幅に向上しました。

これは使えそうです。

登録証明書の交付期限も定められています。専属専任媒介契約の場合は媒介契約締結日の翌日から休業日を除いた5日以内、専任媒介契約の場合は7日以内です。例えば月曜日に専任媒介契約を締結した場合、土日を除いて翌週の水曜日までに登録証明書を交付する必要があります。

この期限を守らない場合、レインズへの登録義務違反として監督官庁から指示処分を受ける可能性があります。さらに、悪質なケースでは業務停止処分や免許取消処分に至ることもあるため、社内で契約日と登録期限を管理するチェックリストを作成し、漏れがないよう徹底することが重要です。

登録証明書は紙での交付だけでなく、PDFなどの電子データでの交付も認められています。メールで送信する場合は、売主が確実に受信したことを確認し、受信確認の記録を残しておくと安心です。万が一、売主から「登録証明書を受け取っていない」と指摘された場合に備え、交付日時と方法を記録しておくことをおすすめします。

ステータス公開に関する売主への説明義務

2025年1月1日の宅地建物取引業法施行規則改正により、レインズの登録証明書を売主に交付する際、ステータス管理機能について分かりやすく説明する義務が新たに課されました。この説明を怠った場合、宅地建物取引業法第65条に基づく指示処分の対象となる可能性があります。

説明すべき内容は主に以下の4点です。

🔵 レインズのステータス管理機能の概要

レインズには物件の取引状況を示すステータス管理機能があり、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類から物件の状況を登録していることを説明します。

🔵 売主専用画面での確認方法

登録証明書に記載されたQRコード、URL、ID、パスワードを使って、売主自身が物件のステータスをいつでも確認できることを伝えます。QRコードをスマートフォンで読み取るだけでアクセスできる点を実演して見せると、売主の理解が深まります。

🔵 確認画面で閲覧できる情報

売主専用画面では、物件のステータスだけでなく、登録内容(価格、面積、写真など)や、他の不動産会社からの閲覧回数なども確認できることを説明します。つまり取引の透明性が確保されているということですね。

🔵 ステータス変更のタイミング

購入申込みを受けた場合や、売主の都合で一時的に紹介を停止する場合など、ステータスが変更されるタイミングとその理由を事前に説明しておくと、売主の不安を軽減できます。変更は事象発生の翌日から2日以内に行うことも伝えておきましょう。

国土交通省と指定流通機構は、売主向けのリーフレットを作成しています。このリーフレットには、レインズやステータス管理機能の概要がわかりやすく図解されており、実際の取引フロー図や、物件の取引状況を確認する意義も説明されています。登録証明書を交付する際にこのリーフレットも一緒に渡すと、売主の理解が深まります。

説明の際は専門用語をできるだけ避け、売主にとってのメリットを強調することが効果的です。例えば「この機能により、物件が本当に他の不動産会社に紹介されているか、ご自身で確認できます」「不透明な取引を防ぎ、より早く、より良い条件での売却が期待できます」といった具体的な利点を伝えることで、売主の協力も得やすくなります。

説明した内容と日時を記録に残しておくと、後々のトラブル防止になります。媒介契約書や重要事項説明書のチェックリストに「ステータス管理機能の説明実施」という項目を追加し、担当者のサインを残す運用にすると確実です。

ステータス公開違反のリスクと処分事例

レインズのステータスを事実と異なる内容で登録した場合、宅地建物取引業法第65条第1項に基づく指示処分の対象となります。指示処分とは、監督行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)が宅建業者に対して、違反行為の是正や改善を命じる行政処分です。指示処分を受けると、その内容が公表され、業者の信用に大きな影響を及ぼします。

指示処分に従わない場合、または違反行為が重大・悪質な場合は、さらに重い処分が科されます。

⚠️ 業務停止命令

一定期間(最長1年)、宅地建物取引業の全部または一部の業務を停止させられます。業務停止期間中は新規の契約ができず、収益が途絶えるため、経営に致命的なダメージとなります。

⚠️ 免許取消処分

最も重い処分で、宅地建物取引業の免許そのものが取り消されます。免許取消後は5年間、新たな免許申請ができません。

会社の存続に関わる重大な処分です。

⚠️ 罰金

宅建業法違反には、50万円以下の罰金が科されるケースもあります。法人の場合、行為者だけでなく法人にも罰金が科される両罰規定が適用されることがあります。

具体的にどのような行為が違反となるのでしょうか。

❌ 虚偽のステータス登録

実際には購入申込みがないにもかかわらず、「書面による購入申込みあり」に変更して他社の紹介を止める行為は、明確な違反です。売主が確認画面で確認できるため、発覚リスクが非常に高くなっています。

❌ ステータスの更新を怠る

購入申込みを受けたのにステータスを「公開中」のまま放置する、または契約が流れて公開中に戻るべきなのに変更しない場合も違反となります。事象発生から2日以内の更新が原則ですが、これを守らないと指導対象になります。

❌ 正当な理由のない紹介停止

売主の明確な意思や正当な事情がないのに「売主都合で一時紹介停止中」に設定し、他社からの問い合わせを拒否する行為も囲い込みとみなされます。

❌ 登録証明書の説明義務違反

登録証明書を交付する際、ステータス管理機能について分かりやすく説明しなかった場合も、2025年1月以降は指示処分の対象となる可能性があります。

2025年1月の法改正以前から、レインズへの登録を怠った業者が指示処分を受けた事例は複数報告されています。ある業者は専任媒介契約を締結したにもかかわらず、レインズへの登録手続きを失念し、契約締結日から7日以内の登録義務を怠ったことが発覚しました。監督行政庁から事情聴取を受け、違反を認めたため指示処分が下されています。

行政処分を受けると、国土交通省や都道府県のウェブサイトに業者名、処分内容、処分理由が公表されます。この情報は誰でも閲覧できるため、会社の評判に深刻な影響を与えます。顧客からの信頼を失い、新規の契約が取れなくなるケースも少なくありません。

痛いですね。

処分を避けるためには、社内での業務フロー整備が不可欠です。物件ごとのステータス管理台帳を作成し、申込み状況、ステータス変更日、変更理由を記録する仕組みを構築しましょう。また、定期的に社内研修を実施し、全従業員がステータス管理の重要性と正確な登録方法を理解している状態を維持することが重要です。

ステータス公開における業務フロー見直しのポイント

2025年1月の法改正を受け、不動産業従事者は業務フローの全面的な見直しが必要になっています。従来の慣行を続けていると、知らず知らずのうちに違反状態に陥るリスクがあるため、以下のポイントを押さえた業務体制を構築することが重要です。

契約締結から登録までのタイムライン管理

専属専任媒介契約は媒介契約締結日の翌日から休業日を除いた5日以内、専任媒介契約は7日以内にレインズへの登録が必要です。このタイムラインを厳格に管理するため、契約日を起点とした期限管理表を作成しましょう。カレンダーアプリやタスク管理ツールに期限を登録し、アラート機能を活用すると漏れを防げます。

ステータス変更の社内承認フロー

現場の営業担当者が独断でステータスを変更すると、虚偽登録のリスクが高まります。ステータスを「書面による購入申込みあり」や「売主都合で一時紹介停止中」に変更する際は、申込書や売主との連絡記録などのエビデンスを添付し、上司や管理者の承認を得る社内ルールを設けることをおすすめします。

売主への定期報告の強化

専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の業務報告が義務付けられています。この報告の際に、現在のステータスとその理由も併せて伝えると、売主の理解と信頼が深まります。また、売主自身がステータスを確認しているか尋ね、確認方法がわからない場合はサポートすることも重要です。

社内研修と教育体制の整備

法改正の内容や新しい業務フローについて、全従業員が正しく理解している状態を維持する必要があります。定期的に社内研修を実施し、ケーススタディを用いた実践的なトレーニングを行いましょう。例えば「購入希望者から口頭で関心があると言われた場合、ステータスを変更できるか?」といった具体的な質問を通じて、理解度を確認することが効果的です。

記録とエビデンスの保管

ステータス変更の根拠となる書面(購入申込書、売主からの連絡記録など)は、取引終了後も一定期間保管しておくことが重要です。万が一、売主や監督行政庁から問い合わせがあった際に、適切に対応できる体制を整えましょう。

これが条件です。

システムやツールの活用

レインズへの登録作業やステータス管理を効率化するため、不動産業務支援システムの導入を検討するのも一つの方法です。多くのシステムでは、契約日から自動的に登録期限を計算し、期限が近づくとアラートを出す機能が備わっています。また、ステータス変更履歴を自動的に記録する機能もあり、監査対応にも役立ちます。

顧客データベースとの連携

購入希望者からの問い合わせや内覧予約、申込み状況などの情報を一元管理できるデータベースを整備すると、ステータス管理の精度が向上します。例えば、ある物件に対して複数の購入希望者がいる場合、それぞれの進捗状況を記録し、書面による正式な申込みを受けた時点でステータスを変更するといった運用が可能になります。

定期的な内部監査

四半期ごとなど定期的に、レインズの登録状況とステータスの正確性を内部監査することをおすすめします。監査では、登録証明書の交付記録、ステータス変更履歴、売主への説明実施記録などをチェックし、不備があれば速やかに是正します。内部監査の記録を残しておくと、監督行政庁からの指導があった際に、適切な業務体制を構築していることを示す証拠になります。

業務フローの見直しは一時的な負担に感じられるかもしれませんが、長期的には業務の効率化と信頼性向上につながります。透明性の高い取引を実現することで、売主からの信頼も厚くなり、リピート率や紹介率の向上も期待できます。法令遵守はコストではなく、競争力を高める投資として捉えることが重要です。