借地権割合の正しい調べ方
路線価図の借地権割合は売買価格ではありません。
借地権割合を国税庁路線価図から調べる手順
借地権割合を調べる最も一般的な方法は、国税庁が毎年公表している路線価図を確認することです。この情報は税務署に行かなくても、インターネットから誰でも無料でアクセスできます。
まず国税庁のホームページにアクセスし、「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページを開きましょう。対象となる土地の都道府県を選択し、さらに市区町村を選んでいきます。該当するエリアの路線価図が表示されたら、調べたい土地が面している道路を探してください。
路線価図には、道路沿いに「215D」や「800C」といった表記が確認できます。数字の部分は1平方メートルあたりの路線価を千円単位で示しており、アルファベットが借地権割合を表しています。例えば「800C」であれば、路線価は80万円/㎡、借地権割合は70%ということですね。
路線価図の凡例部分を見れば、A~Gのアルファベットがそれぞれ何パーセントを意味するかが記載されています。Aが最も高く90%、Bが80%、Cが70%、Dが60%、Eが50%、Fが40%、Gが30%という段階になっています。一般的に都市部の商業地ほど高い割合が設定され、郊外や地方部ほど低くなる傾向があります。
この調べ方を覚えておけば、顧客からの問い合わせにもすぐに対応できます。ただし年度によって割合が変わることもあるため、最新年度の路線価図を確認することが重要です。毎年7月頃に新しい路線価が公表されますので、定期的にチェックする習慣をつけておくと良いでしょう。
借地権割合を倍率地域で調べる方法
路線価が設定されていない地域も日本には数多く存在します。主に郊外や農村部がこれに該当し、このような地域は「倍率地域」と呼ばれています。倍率地域では路線価図ではなく、評価倍率表を使って借地権割合を調べる必要があります。
評価倍率表も国税庁のホームページから確認できます。路線価図と同じページから、該当する都道府県・市区町村を選び、今度は「評価倍率表」を選択してください。表には町名や大字ごとに、固定資産税評価額に乗じる倍率と借地権割合が記載されています。
倍率地域の借地権割合は、パーセンテージで直接表示されているため分かりやすいです。ただし、借地権割合の欄が空欄になっている地域も存在します。これは借地権の取引慣行がない地域を示しており、その場合は借地権割合を20%として計算するか、または個別に評価する必要があります。
つまり空欄だからといって借地権がないわけではありません。借地借家法で保護される借地権は存在しますが、税務上の評価では取引実態がないため割合が設定されていないということですね。
評価倍率表を使った借地権の評価額は、固定資産税評価額×倍率×借地権割合で計算します。固定資産税評価額は毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されているため、そちらを参照すれば算出可能です。倍率地域の物件を扱う際には、この計算方法を理解しておくと顧客への説明がスムーズになります。
借地権割合のアルファベット記号とパーセンテージの対応表
借地権割合は7段階に分類され、それぞれアルファベットで表記されています。この対応関係を正確に把握しておくことは、不動産業従事者として必須の知識と言えるでしょう。
具体的な対応は以下の通りです。
- A:90% – 最高ランクで、東京都心部の超一等地や大阪・名古屋などの駅前商業地に多く見られます
- B:80% – 都市部の主要駅周辺や繁華街など、利用価値が非常に高い土地に設定されます
- C:70% – 都心部の住宅地や地方都市の中心商業地に多い割合です
- D:60% – 最も件数が多い設定で、都市部の一般的な住宅地や地方の商業エリアに見られます
- E:50% – 首都圏郊外の住宅地や地方都市の駅前通りなどに設定されることが多いです
- F:40% – 地方の住宅地でバス便などがある程度整備されたエリアが該当します
- G:30% – 公共交通機関が不便な地方住宅地や、利用価値が低い土地に設定されます
地価が高い地域ほど借地権割合が高くなるのは、借地人が得られる利益が大きいためです。都心の商業地で借地権割合90%なら、土地の価値のうち9割が借地人の権利、残り1割が地主の底地権ということになりますね。
逆に地方の不便な土地では借地権割合が低くなります。利用価値が限られているため、借地人が占める権利の割合も相対的に小さくなるわけです。ただし、この割合はあくまで相続税評価のためのものであり、実際の権利関係の強さを示すものではないことを覚えておきましょう。
借地権割合の調べ方における倍率地域と路線価地域の違い
日本の土地評価システムでは、地域によって「路線価地域」と「倍率地域」の2つに分類されています。この違いを理解しておくと、どの資料を参照すべきか迷うことがありません。
路線価地域は主に市街地や都市部に設定されています。道路ごとに路線価が定められており、その道路に面する土地はその路線価を基準に評価します。路線価図を見れば、道路上に数字とアルファベットが記載されているため、視覚的に分かりやすいのが特徴です。東京23区や政令指定都市の中心部は、ほぼすべてが路線価地域と考えて良いでしょう。
一方、倍率地域は郊外や農村部、山間部などに設定されています。道路ごとの路線価を設定するほど宅地開発が進んでいない地域や、取引事例が少ない地域が該当します。この場合は固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額を算出するため、評価倍率表を参照する必要があります。
重要なのは、路線価地域と倍率地域は重なることがないという点です。ある土地が路線価地域なら路線価図だけを見れば良く、倍率地域なら評価倍率表だけを確認すればOKです。
両方を同時に使うことはありません。
ただし、路線価地域と倍率地域が隣接している場合もあります。その境界付近の土地を評価する際は、どちらの地域に属するかを慎重に確認する必要があります。国税庁の路線価図では、地域の境界も明示されているため、そちらを参考にすると判断できます。物件調査の段階で、路線価地域か倍率地域かを確認しておくことが、正確な評価につながります。
借地権割合の計算で不動産業者が陥りやすい誤解
借地権割合に関して、不動産業界でも驚くほど多くの営業担当者が誤解しています。この誤解が顧客とのトラブルや、不適切な価格提示につながるケースが後を絶ちません。
最も多い誤解は、「借地権割合がそのまま売買価格の目安になる」というものです。例えば更地価格1億円、借地権割合70%の土地なら、借地権は7,000万円で売れると考えてしまうのです。しかし実際には、借地権の市場価格は借地権割合よりもはるかに低くなることが一般的です。なぜなら借地権には地主の承諾が必要、更新料の負担がある、将来的に返還義務があるなど、所有権にはない制約が多数存在するからです。
実務では、借地権割合70%の地域でも、実際の取引価格は更地価格の30~50%程度になることも珍しくありません。逆に底地については、借地権割合が70%だから底地は30%の価値しかないと考えるのも間違いです。底地は単体では非常に売りにくく、実際の取引価格は評価額よりさらに低くなる傾向があります。
もう一つの誤解は、「借地権割合が高い方が借地人に有利」という思い込みです。確かに相続税評価額は高くなりますが、それは同時に相続税負担が重くなることを意味します。借地権は自由に売却できないため、相続税を支払う現金を用意できず、最悪の場合は公売にかけられるリスクもあります。借地権割合90%の都心物件を相続した結果、多額の相続税に苦しむケースは実際に存在するのです。
顧客に説明する際は、借地権割合はあくまで税務上の評価基準であり、市場価格とは別物であることを明確に伝える必要があります。「路線価図に70%と書いてあるから7割で売れる」という安易な説明は、後々のトラブルを招く可能性が高いです。正しい知識を持って、現実的な相場観を伝えることが、信頼される不動産業者の条件と言えるでしょう。
注意!「借地権割合」の使い方でこんな間違いをしていませんか?
借地権割合を売買価格として使うことの危険性や、実務での正しい活用方法について、底地・借地専門業者が詳しく解説しています。
不動産営業の方は特に必見の内容です。

