配偶者短期居住権と配偶者居住権の違いを正確に理解する
配偶者短期居住権を登記しなくても問題ないと思っていると、売却後に居住権を主張できず翌月退去を迫られます。mito.vbest+1
配偶者短期居住権とは何か:令和2年の民法改正で新設された基本要件
配偶者短期居住権は、令和2年(2020年)4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。 夫や妻が亡くなったとき、残された配偶者が自宅に一定期間、無条件かつ無償で住み続けられることを保障します。suginami-souzoku+1
この権利が成立するための要件は、大きく2点です。
参考)【相続対策】配偶者居住権&配偶者短期居住権とその違いについて…
- 📌 相続開始時点で、対象建物に配偶者が無償で居住していたこと
- 📌 居住建物が被相続人の相続財産(遺産)に含まれていること
「無償」という点がポイントです。 もし被相続人と配偶者の間に賃貸借契約が存在し、毎月賃料を払っていた場合は、配偶者短期居住権は成立しません。
参考)配偶者居住権と配偶者短期居住権の違い|最適な利用シーンを解説
また、法律婚の配偶者のみが対象で、事実婚・内縁関係は適用外です。 不動産業務の現場でも、内縁関係の方から「住み続けられますよね」と聞かれるケースがありますが、残念ながらこの権利の対象外になります。souzokushi+1
さらに注目すべき点として、被相続人が「死亡後に配偶者に住ませたくない」と意思表示していても、要件さえ満たせば自動的に権利が発生します。 これは要件を満たせば被相続人の意向に関係なく成立するということです。
参考:民法第1037条(配偶者短期居住権の内容)について、法務局の公式解説はこちらで確認できます。
法務局(前橋地方法務局):配偶者居住権・配偶者短期居住権とは何ですか?(PDF)
配偶者居住権とは何か:不動産業従事者が押さえる成立要件と存続期間
配偶者居住権は、配偶者が亡くなるまでの間、被相続人の自宅に無償で住み続けられる長期の権利です。 こちらも令和2年の民法改正で新設されました。
短期居住権と異なる点は、自動的には発生しないという点です。 配偶者居住権を取得するには、以下のいずれかの方法が必要です。
- 遺産分割協議で取得する
- 家庭裁判所の審判で取得する
- 被相続人が遺言で遺贈する
つまり手続きが必須ということです。
成立要件は短期居住権と共通する部分もありますが、大きな違いが1つあります。 配偶者居住権は、建物が配偶者以外の第三者と共有されている場合は認められません。たとえば二世帯住宅で子どもと共有名義になっている建物は、配偶者居住権の対象外になるケースがあります。
参考)配偶者居住権とは|共有不動産でも配偶者居住権は成立する?
一方の配偶者短期居住権は、被相続人と第三者が共有している建物でも成立します。 不動産業従事者にとって実務で見落としやすいポイントです。
存続期間は原則として「終身」ですが、遺産分割協議や遺言で期間を定めることも可能です。 終身が原則です。
配偶者短期居住権と配偶者居住権の違いを比較表で整理する
2つの権利の主な違いを一覧にします。suginami-souzoku+2
| 項目 | 配偶者短期居住権 | 配偶者居住権 |
|---|---|---|
| 存続期間 | 遺産分割成立まで(最低6か月) | 原則終身 |
| 発生のタイミング | 要件を満たせば自動発生 | 遺産分割・遺言・審判が必要 |
| 登記 | ❌ 不可 | ✅ 可(対抗要件として必要) |
| 対象範囲 | 居住部分のみ | 建物全体 |
| 相続税 | かからない | かかる(相続財産として評価) |
| 第三者共有の建物 | ✅ 成立する | ❌ 成立しない(原則) |
| 事実婚・内縁 | ❌ 適用外 | ❌ 適用外 |
ここが混同されやすい部分ですね。
特に「相続税がかかるかどうか」は、依頼者への説明で重要な違いです。 配偶者短期居住権は相続財産にカウントされないため申告不要ですが、配偶者居住権は相続税評価の対象となります。
参考)配偶者短期居住権とは?配偶者居住権との違い・相続時の注意点・…
たとえば、建物評価額1,000万円・75歳女性(平均余命16年)のケースでは、建物の配偶者居住権評価額が811万円になる計算例があります。 残りの所有権部分が189万円まで圧縮される形です。これは大きな数字ですね。
参考)配偶者居住権の相続税評価額の計算方法をわかりやすく解説しまし…
参考:配偶者居住権の相続税評価計算方法の詳細はこちらで確認できます(国税庁公式)。
配偶者居住権の登記費用と実務手続き:不動産業従事者が知るべき費用感
配偶者居住権は登記が必要です。 登記をしなければ、建物が第三者に売却されたときに居住権を主張できなくなる可能性があります。
登記費用の目安は以下の通りです。office-nagata+2
- 💰 登録免許税:固定資産税評価額の1,000分の2(評価額500万円の建物なら1万円)
- 💰 司法書士報酬:1件あたり4.4万円〜5万円程度(消費税込み)
- 💰 その他実費:住民票・固定資産税評価証明書など1通200〜750円程度
トータルで5万〜10万円程度が目安です。 決して安くはないですが、登記なしで起きうるリスク(居住権の喪失)と比べれば見合うコストです。
登記手続きは司法書士または弁護士に依頼できます。 ほとんどの司法書士が対応しており、相続登記と合わせて依頼すれば効率的に手続きが進められます。
依頼者から「配偶者居住権の登記って本当に必要なんですか?」と質問されたとき、この費用感と対抗力の重要性をセットで説明できると信頼度が高まります。これは使えそうです。
参考:配偶者居住権の登記に関する詳しい手続きと費用は司法書士長田法務事務所の解説ページが参考になります。
不動産業従事者が見落としがちな共有物件と配偶者短期居住権の盲点
不動産実務の現場では、共有名義の物件に絡む相続案件が少なくありません。 そのときに問題になるのが、配偶者居住権と配偶者短期居住権の「共有物件に対する扱いの違い」です。
整理するとこうなります。souzokushi+1
- 🏠 配偶者居住権:建物が第三者と共有名義の場合は原則として成立しない
- 🏠 配偶者短期居住権:被相続人と第三者が共有していた建物でも成立する
つまり、二世帯住宅で息子と共有名義だった場合、配偶者居住権(長期)の取得は難しくなります。 その際は配偶者短期居住権を主張しながら遺産分割協議を進め、配偶者が被相続人の共有持分を相続することで居住を継続する流れになります。
配偶者短期居住権が消滅したとき、配偶者が建物の共有持分を持っている場合は退去を求められません。 共有持分があれば退去不要ということです。
この点を知らずに「共有名義なので配偶者居住権は無理です」と依頼者に説明してしまうと、短期居住権のケアを怠ることになります。厳しいところですね。
共有物件と居住権の判断が複雑なケースでは、不動産・相続専門の弁護士や司法書士に早期に相談することが、依頼者への最善サポートにつながります。
参考:共有不動産における配偶者居住権の成立要件については、ダーウィン法律事務所の解説が詳しいです。
ダーウィン法律事務所:共有不動産でも配偶者居住権は成立する?

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