改製原戸籍の取り方を本籍地以外で取得する全手順
本籍地以外で取得する際、代理人では手続きできません。
改製原戸籍とは何か:戸籍謄本との違いと不動産業務での重要性
改製原戸籍(かいせいげんこせき)とは、現行様式の戸籍に切り替わる前の旧様式で作成された戸籍のことです。「原戸籍(はらこせき)」と呼ぶ人もいますが、正式な読み方は「かいせいげんこせき」です。
不動産業務において、相続登記や売買取引の際には被相続人の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」が必要になります。現行の戸籍だけでは記録がさかのぼれないケースがあるため、改製原戸籍謄本の取得が必要になる場面が少なくありません。つまり、相続不動産の名義変更には欠かせない書類です。
戸籍謄本との違いをシンプルに整理すると、以下のとおりです。
| 書類名 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本(現行) | 現在の様式による全員の記録 | 現在の家族関係の証明 |
| 改製原戸籍謄本 | 改製前の旧様式による全員の記録 | 相続・出生から死亡の連続記録確認 |
| 除籍謄本 | 全員が除籍された後の戸籍 | 相続・死亡・転籍の証明 |
不動産業務では相続案件のたびに必要書類の収集が発生します。改製原戸籍謄本がどこで・誰が・どんな条件で取れるかを正確に把握しておくことが、業務スピードに直結します。これが基本です。
改製原戸籍の取り方:本籍地以外で使える広域交付制度の仕組み
2024年(令和6年)3月1日、戸籍法の一部改正により「戸籍謄本等の広域交付制度」がスタートしました。これにより、本籍地がどこにあっても、最寄りの市区町村役場の窓口で改製原戸籍謄本を取得できるようになりました。
それまでは、本籍地が北海道にある被相続人の改製原戸籍謄本を取得するためには、北海道の役場に郵送請求するか、実際に現地へ出向くしか方法がありませんでした。複数の本籍地を持つ被相続人の場合、郵送だけで数週間かかることもありました。意外ですね。
広域交付制度のポイントをまとめます。
- 全国どこの市区町村役場の窓口でも申請可能
- 複数の本籍地の戸籍をまとめて1か所で請求できる
- 対象書類は戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本の3種類
- 取得できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の分のみ
- 窓口への本人出頭が必須(郵送・代理人による申請は対象外)
複数の本籍地があっても1か所でまとめて取れるのは大きなメリットです。これは使えそうです。
法務省の制度詳細は以下でも確認できます(戸籍法改正の公式情報)。
法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
改製原戸籍を本籍地以外で取得する際の具体的な手順と必要書類
広域交付制度を利用して本籍地以外の役所で取得する手順は、次のとおりです。手順は必ず守る必要があります。
- 申請先の役所を確認する:最寄りの市区町村役場の戸籍担当窓口に出向きます。事前に開庁時間(多くは平日8時30分〜17時15分)を確認しておくとスムーズです。
- 申請書を記入する:窓口にある「戸籍証明書等交付申請書」に、筆頭者の氏名・本籍地・生年月日・続柄などを記入します。本籍地の番地まで正確に記入が必要なため、事前確認が重要です。
- 本人確認書類を提示する:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの顔写真付き公的身分証明書が必要です。健康保険証のみでは対応不可の窓口もあります。
- 手数料を支払う:改製原戸籍謄本1通につき750円が手数料の目安です(役所によって異なる場合あり)。
- 書類を受け取る:内容確認後、その場で交付されます(システム照会に時間がかかる場合あり)。
本籍地が分からない場合は、本籍地の記載がある住民票を取得することで確認できます。これだけ覚えておけばOKです。
取得にあたって特に注意が必要な点が1つあります。広域交付制度は「窓口での本人申請限定」であり、司法書士・行政書士・税理士などの士業が代理人として利用することは現時点では認められていません。不動産取引に関わる相続手続きで士業が戸籍収集を担当する場合は、従来どおり本籍地の役所への郵送申請か、委任状を持参しての本籍地窓口申請が必要になります。
改製原戸籍が「ない」と言われたときの対処法と不動産業務での注意点
「改製原戸籍を請求したら『存在しない』と言われた」というケースが不動産業務でもしばしば発生します。なぜそうなるのでしょうか?
理由は主に3つあります。
- そもそも改製が行われていない戸籍:戸籍改製は昭和32年・昭和42年(一部地域)・平成6年などに段階的に行われましたが、すべての戸籍が必ずしも改製されているわけではありません。
- 改製前に除籍済みだった:改製時点ですでに全員が除籍されていた場合、改製原戸籍ではなく除籍謄本として保存されていることがあります。
- 戦災・災害等による滅失:第二次世界大戦中の空襲などにより、戸籍原本が焼失・滅失しているケースが一定数存在します。この場合、役所から「戸籍の記載事項が存在しない旨の証明書(不存在証明)」を発行してもらう必要があります。
不動産相続の実務では、「改製原戸籍がない=手続きが止まる」ではなく、「なぜないのか」の理由確認と代替書類の準備が重要です。厳しいところですね。
滅失・焼失の場合は、法務局への相談が不可欠になります。相続登記の申請において戸籍が揃わない場合でも、不在籍証明・不存在証明を添付することで手続きが進められる場合があります。不動産業者として、依頼主に対してこの点を事前に説明しておくと、後のトラブル回避につながります。
改製原戸籍の取得方法と相続手続きでの活用(OAGグループ):相続税申告実務からみた戸籍収集の注意点が詳しく解説されています
改製原戸籍の取り方で不動産業者が見落としがちな「委任状」と郵送申請の落とし穴
広域交付制度が始まった今でも、不動産業務の現場では依頼主に代わって士業や業者スタッフが戸籍を収集するケースが多くあります。この場合、広域交付制度は使えません。郵送または本籍地窓口への委任状持参が原則です。
郵送申請の場合、必要なものは以下のとおりです。
- 交付申請書(各市区町村の書式、または任意書式)
- 本人確認書類のコピー
- 手数料分の定額小為替(ゆうちょ銀行で購入、1枚200円の発行手数料がかかります)
- 返信用封筒(住所・氏名記入+切手貼付)
- 委任状(代理人が申請する場合)
定額小為替の発行手数料は1枚200円です。750円の手数料を送る場合、500円券1枚+250円券1枚では不可で、1,000円分の為替が必要になるケースもあります。手数料だけで400円以上の追加負担になることも珍しくありません。痛いですね。
郵送申請は通常1〜2週間かかります。相続登記の期限(2024年4月から義務化・3年以内)を逆算すると、早めに動くことが鉄則です。ギリギリで動き始めると、戸籍収集だけで数週間が消えてしまいます。
また、本籍地が複数にまたがる被相続人(転籍を繰り返した場合など)は、1通目の戸籍を取得してから次の本籍地が判明するため、芋づる式に郵送申請を繰り返すことになります。1件の相続案件で改製原戸籍謄本を含む戸籍一式の収集に1か月以上かかるケースもあります。これが原則です。
効率化のためには、司法書士や行政書士などの専門家に戸籍収集を一括依頼する選択肢も有効です。依頼コストはかかりますが、業務の滞留リスクを大幅に減らせます。相続案件の多い不動産会社では、連携できる士業事務所を事前にリストアップしておくことをおすすめします。
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