公課証明書と評価証明書の違いと不動産実務での使い分け

公課証明書と評価証明書の違いと不動産実務での正しい使い方

評価証明書だけ取得すれば登記申請も融資も全部通ると思っていると、窓口で差し戻されて1日が無駄になります。

📋 この記事の3ポイント要約
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証明書の目的が違う

公課証明書は「税額」を証明し、評価証明書は「評価額」を証明する。用途が異なるため、提出先に応じた使い分けが必須です。

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記載内容が異なる

公課証明書には固定資産税・都市計画税の税額が記載される一方、評価証明書には固定資産評価額のみが記載されます。

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提出先によって必要な証明書が変わる

登記申請には評価証明書、融資審査や固定資産税の照会には公課証明書が求められるケースが多く、混同すると手続きがやり直しになります。

公課証明書と評価証明書の基本的な定義と違い

不動産実務において、「公課証明書」と「評価証明書」は混同されやすい書類です。どちらも市区町村が発行する固定資産に関する公的証明書ですが、その目的と記載内容は明確に異なります。

評価証明書とは、固定資産(土地・建物)の「固定資産評価額」を証明する書類です。登記申請の際に必要な登録免許税の算定根拠として使われることが最も多く、法務局への提出書類として定番です。評価額が基本です。

公課証明書は、固定資産評価額に加えて、固定資産税都市計画税の「税額」まで記載された証明書です。つまり「いくら税金がかかっているか」を公的に証明するための書類です。金融機関が融資審査の際に物件の税負担を確認するために求めるほか、売買交渉の場面でも実際の税コストを把握するために活用されます。

両者の最大の違いは「税額の記載があるかどうか」です。

評価額だけであれば評価証明書で足り、税額まで必要なら公課証明書が必要になる、と覚えると整理しやすいです。なお、自治体によっては「固定資産評価証明書」と「固定資産公課証明書」という名称で発行されており、呼称が多少異なることもあります。

項目 評価証明書 公課証明書
固定資産評価額 ✅ 記載あり
固定資産税額 ❌ 記載なし ✅ 記載あり
都市計画税額 ❌ 記載なし ✅ 記載あり
主な使用場面 登記申請・相続税申告 融資審査・売買交渉・税照会

公課証明書と評価証明書の不動産取引での使い分け

不動産取引の現場では、同じ物件について両方の証明書が必要になる場面が少なくありません。どの場面でどちらを使うかを整理しておくと、手続きのロスが大幅に減ります。

登記申請(所有権移転・抵当権設定など)では、登録免許税の計算根拠として固定資産評価額が必要になるため、評価証明書が使われます。法務局は税額の記載を必要としないため、評価証明書で十分です。評価証明書が基本です。

金融機関への融資申請では、銀行・信用金庫が担保物件の固定資産税・都市計画税の実負担額を確認するために、公課証明書の提出を求めるケースが多いです。融資審査では「評価額だけでなく、毎年いくら税金がかかるか」も重要な判断材料になるためです。

不動産売買の価格交渉においても、売主・買主ともに実際の税負担を把握するために公課証明書を参照することがあります。例えば、年間の固定資産税が30万円を超える物件と10万円以下の物件では、表面価格が同じでも実際の維持コストが大きく異なります。これは使えそうです。

また、相続税申告の場面では税理士が評価証明書を基に財産評価を行いますが、相続後の税負担シミュレーションに公課証明書を活用することも多いです。

実務では「登記=評価証明書」「融資・税照会=公課証明書」と覚えておくと、取り違えるリスクが下がります。

公課証明書の取得方法と申請時に注意すべき年度の問題

公課証明書・評価証明書はいずれも、その不動産が所在する市区町村の窓口(東京23区は都税事務所)で取得します。郵送申請やコンビニ交付(マイナンバーカード利用)に対応している自治体も増えています。

取得にあたっては「年度の指定」が非常に重要です。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、年度が変わると評価額・税額が変わることがあります。登記申請に使う場合は「登記申請をする年度の証明書」を取得する必要があり、前年度のものは原則として使えません。年度には注意が必要です。

証明書の取得には本人確認書類が必要で、代理人が取得する場合は委任状が必要です。不動産業者が顧客から委任を受けて代理取得するケースでは、委任状の不備で窓口で受け付けてもらえないことがあります。委任状の書式は自治体によって異なる場合があるため、事前に各市区町村のウェブサイトで確認しておくと安心です。

手数料は自治体によって異なりますが、多くの場合1通あたり200〜400円程度です。東京都23区内では1通300円が標準的です。

なお、同一物件について公課証明書と評価証明書の両方が必要な場合、自治体によっては「公課証明書」1種類だけで両方の情報をカバーできることがあります。事前に自治体に確認することで、余分な手間を省けます。これは覚えておけばOKです。

評価証明書を登記申請で使う際の「年度ズレ」リスクと対処法

不動産業者が実務でよく陥るミスの一つが「評価証明書の年度ズレ」です。たとえば、3月に取得した前年度の評価証明書を、4月以降の登記申請にそのまま流用してしまうケースがあります。

法務局は登記申請の受付日が属する年度(4月1日〜翌3月31日)の評価証明書を求めます。4月1日以降に申請するのであれば、その年度の4月以降に発行された証明書が必要です。前年度の証明書は使えません。

これは特に年度末・年度初めの繁忙期に注意が必要です。3月中に取得した証明書を4月に提出しようとすると、法務局から補正を求められ、再取得が必要になります。登記のスケジュールが1〜2日ずれると、引き渡し日の調整が発生し、当事者全員に影響が出ます。痛いですね。

対処法としては、登記申請日が確定したらその日が属する年度を確認し、その年度内に発行された証明書を取得することを徹底することです。また、3月末〜4月初めの決済案件では、証明書の年度を事前に司法書士と確認する習慣をつけると、この種のトラブルを防げます。

証明書の「発行年月日」と「対象年度」は別物です。発行日が新しくても、対象年度が前年度のままのケースがあるため、証明書を受け取ったら必ず「年度」の記載を確認するようにしましょう。確認が必須です。

公課証明書・評価証明書に関して不動産業者が見落としがちな独自視点:非課税物件と免税点以下物件の落とし穴

一般的な解説ではほとんど触れられない盲点があります。それは「非課税物件」と「免税点以下の物件」に関する証明書の扱いです。

固定資産税には免税点という制度があり、土地は課税標準額30万円未満、建物は20万円未満であれば固定資産税が課されません(地方税法第351条)。こうした免税点以下の物件では、公課証明書に税額が記載されない、または「課税なし」と記載されることがあります。

融資の審査担当者がこの証明書を見て「税額の記載がない=書類不備」と誤解し、追加書類を求めてくるケースが実際に起きています。これは意外ですね。

対処法は事前説明です。融資申請時に「当該物件は固定資産税の免税点以下のため税額記載がありません」と一言添えるだけで、担当者の混乱を防ぐことができます。口頭だけでなく、自治体が発行する「非課税証明書」や「課税台帳の写し」を合わせて提出するとよりスムーズです。

また、公有地・社寺境内地・墓地など、固定資産税が非課税とされる土地では、評価証明書の発行自体ができないケースがあります。このような物件を扱う際は、市区町村の固定資産税担当課に事前に確認することをお勧めします。つまり「証明書が取れない場合がある」ということです。

参考として、固定資産税に関する法的根拠を確認したい場合は、総務省の地方税制度に関するページが有用です。

総務省|固定資産税に関する地方税制度の解説(固定資産税の課税・免税点・評価の仕組みを確認できます)

また、登記申請に必要な書類の公式情報は法務局のウェブサイトで確認できます。

法務局|不動産登記の申請書様式と必要書類の一覧(どの登記にどの証明書が必要かを確認できます)