土地先行融資のデメリットと注意点を不動産業従事者が徹底解説

土地先行融資のデメリットを不動産業従事者が徹底解説

土地先行融資の金利は、建物完成後も「利息だけ」で済むと思っている担当者ほど、顧客に誤った説明をして損害賠償リスクを抱えます。

🏠 土地先行融資のデメリット 3つのポイント
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二重の金利負担

土地購入時から建物完成まで、利息のみ支払いが続く。期間が長引くと総返済額が大幅に膨らむリスクがある。

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審査の二重通過が必要

土地取得時と建物建設時の2回、金融機関の審査を通過しなければならない。1回目合格でも2回目で否決されるケースがある。

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諸費用・手数料の増加

融資が2段階になるため、登記費用・事務手数料・印紙税などが通常の住宅ローンより10〜30万円程度多くかかる場合がある。

土地先行融資の仕組みと通常の住宅ローンとの違い

 

土地先行融資とは、注文住宅を建てる際に、土地購入と建物建設を別々のタイミングで融資を受ける仕組みのことです。通常の住宅ローンは土地と建物をまとめて一括で借り入れますが、土地先行融資では「土地分の融資→建物分の融資」という2段階のプロセスを踏みます。

仕組みを整理するとこうなります。まず土地を購入するタイミングで第1回の融資実行が行われ、その後ハウスメーカーや工務店と契約して建物の着工・上棟・完成の各フェーズで追加の融資が実行される流れです。金融機関によっては着工時・上棟時・完成時の3回に分けて建物分を実行するケースもあります。

通常の住宅ローンとの最大の違いは「抵当権設定のタイミング」です。土地先行融資では土地取得時点で抵当権が設定され、建物完成後にあらためて建物にも抵当権が設定されます。つまり担保設定の手続きが2回発生するということですね。

不動産業従事者として顧客へ説明する際は、この「2回の手続き」が後述するコスト増加の根本原因であることを押さえておくことが基本です。フラット35や民間銀行の土地先行融資商品によって条件が異なるため、金融機関ごとの比較説明が重要になります。

土地先行融資のデメリット①二重金利負担の実態と総返済額への影響

土地先行融資の最大のデメリットとして挙げられるのが、建物完成までの間に発生する「利息のみの支払い」期間です。この期間中は元金が全く減らず、純粋に利息だけを払い続けることになります。

具体的な数字で見てみましょう。たとえば土地代2,000万円を年利1.5%で借り入れた場合、月々の利息は約25,000円です。建物完成まで12ヶ月かかるとすれば、それだけで約30万円を”捨てる”形になります。

これは使えそうです。逆に言えば、工期が長引くほど利息負担が直線的に増えていく構造です。

工務店の工期遅延やハウスメーカーの資材不足などで建物完成が3〜6ヶ月ズレた場合、追加の利息負担は7.5万〜15万円規模になります。顧客に「工期が遅れる可能性」を事前に伝えずにいると、後から「聞いていなかった」とクレームになるリスクがあります。

また、土地・建物それぞれで融資を受けるため、返済開始後も当初の返済スケジュールが複雑になりやすいです。顧客が月々の返済額を正確に把握できていないまま契約するトラブルも実務では発生しています。不動産業従事者としては、シミュレーション表を複数パターン用意して説明することが損害賠償リスクを下げる実践的な対策になります。

土地先行融資のデメリット②審査が2回ある厳しさと否決リスク

土地先行融資では、金融機関の審査を原則2回通過しなければなりません。これが通常の住宅ローンとの大きな違いです。

1回目の審査は土地購入時。2回目は建物建設の融資実行時です。問題は、1回目に合格していても2回目で否決されるケースが実際に存在することです。

なぜそうなるのでしょうか?土地購入から建物建設まで1〜2年かかるケースも多く、その間に顧客の収入状況や勤務先の経営状態が変化することがあるからです。具体的には「1回目審査通過後に転職した」「会社の業績悪化で年収が200万円減少した」「クレジットカードの延滞履歴が新たに発生した」などのケースで2回目審査を通過できなくなることがあります。

厳しいところですね。1回目の審査通過をもって「融資確定」と顧客に伝えてしまうのは、不動産業従事者として非常に危険な説明です。

金融機関の中には、土地先行融資において「つなぎ融資」と「本融資」で異なる審査基準を設けているところもあります。つなぎ融資は比較的通りやすくても、本融資の審査でより厳しい属性確認が行われることがある点を顧客に伝えておきましょう。審査が2段階であることと、各段階で何を見られるかを書面で説明することが重要です。

土地先行融資のデメリット③諸費用・手数料が通常より増加する理由

土地先行融資では融資が2回に分かれるため、それに伴う諸費用も2倍近くかかるケースがあります。これが意外と軽視されるコスト増加の落とし穴です。

具体的に増加するコスト項目を整理します。

  • 💴 抵当権設定登記費用:土地・建物それぞれで発生(合計10〜20万円程度)
  • 💴 ローン事務手数料:金融機関によっては1回あたり3〜5万円(2回分で6〜10万円
  • 💴 印紙税:土地・建物の金銭消費貸借契約書にそれぞれ貼付が必要
  • 💴 火災保険の設定タイミング:建物完成前から付保する場合は追加コストになることも

合計すると、通常の一括住宅ローンと比較して15〜30万円程度の追加費用が発生することが一般的です。東京ドーム1個分の広さの土地を買うほどのスケールではありませんが、家族の外食費1年分に相当する出費が”手続きコストだけ”で上乗せされるイメージです。

顧客にとっては見えにくいコストだからこそ、不動産業従事者が事前に明示する必要があります。つまり諸費用の総額を通常ローンと比較した一覧表を渡すことが信頼獲得の第一歩です。

国土交通省が公開している住宅ローンに関する参考資料も確認しておくと、説明の根拠として活用できます。

国土交通省|住宅ローンに関する情報(諸費用・手続きの概要)

土地先行融資のデメリット④建築会社倒産リスクと融資実行後の保全策

これはあまり語られないデメリットですが、土地先行融資では「建物が完成しないリスク」が通常ローンより高くなります。

土地取得後、ハウスメーカーや工務店が経営破綻した場合、土地の融資はすでに実行済みです。建物が建たないのに、土地の借金だけが残るという事態が発生します。

2010年代以降も中堅工務店の倒産は年間数十件ペースで発生しており、住宅業界では決してまれな話ではありません。顧客がこのリスクを知らずに工務店と契約した場合、後からトラブルになる可能性があります。

対策として有効なのが「住宅瑕疵担保責任保険」や「完成保証制度」の活用です。一般社団法人住宅保証機構(JIO)などが提供する完成保証サービスに加入することで、建築会社倒産時でも建物の完成または損失補填が受けられます。

住宅保証機構(JIO)|住宅瑕疵担保責任保険・完成保証の詳細

不動産業従事者として顧客に建築会社を紹介する際は、完成保証への加入状況を事前に確認することが実務上のリスクヘッジになります。これが条件です。

また、住宅金融支援機構(フラット35)の土地先行融資を利用する場合、融資実行前に建築確認済証の取得が必要になるなど、一定の手続き要件があります。金融機関の商品説明書を顧客とともに確認する習慣をつけましょう。

住宅金融支援機構|フラット35の土地先行融資について

土地先行融資のデメリットを踏まえた顧客への正確な説明ポイント

ここまで見てきたデメリットを、不動産業従事者として顧客にどう説明するかが実務の核心です。

まず最初に確認すべきは「顧客が土地先行融資と通常ローンの違いを理解しているか」です。多くの顧客は「土地を先に買える便利なローン」としか認識していないため、コスト面・審査面・リスク面の3点から丁寧に説明する必要があります。

説明で押さえるべき項目を整理します。

  • 📌 利息のみ支払い期間の月額と総額(シミュレーション必須)
  • 📌 2回の審査があること、2回目で否決される可能性があること
  • 📌 諸費用が通常ローンより増加する具体的な金額
  • 📌 工期遅延時の追加コスト
  • 📌 建築会社の完成保証加入状況

これらをA4用紙1枚の比較表にまとめて渡すと、顧客の理解度が大きく上がります。説明の記録を残すことは、後のクレーム対応においても自分を守る証拠になります。

土地先行融資が向いているケースと向いていないケースも明確にしておきましょう。建売や中古物件を検討している顧客には不要な商品ですし、資金計画に余裕のない顧客には二重コストが大きな負担になります。注文住宅で気に入った土地がすでに見つかっており、建築計画も固まっているケースに絞って提案するのが顧客満足度を高める実践的なスタンスです。

  • ✅ 向いているケース:注文住宅、土地が先に決まった、建築会社の目処がある
  • ❌ 向いていないケース:資金に余裕がない、建築会社が未定、工期が不確定

不動産業従事者として土地先行融資の全体像を正確に理解し、顧客に合った選択肢を提示することが、長期的な信頼と業績につながります。結論は「正確な情報提供が最大の顧客サービス」です。


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