地上権設定登記の登録免許税と計算方法と税率早見表

地上権設定登記の登録免許税を正しく理解する

地上権付き土地を売買すると、所有権移転の登録免許税が通常の半額になります。

この記事のポイント3選
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地上権設定登記の登録免許税は「固定資産税評価額×1%」

設定または転貸の登記における税率は1,000分の10(1%)。課税標準は固定資産税評価額で、売買価格や取引価格は一切関係しません。

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登記原因によって税率が大きく異なる

相続・法人合併は0.2%、共有物分割も0.2%、売買などその他の移転は2%と、登記原因別で最大10倍の差があります。

地上権付き土地の所有権移転には税率半額の特例あり

地上権の登記名義人がその土地を取得する際の所有権移転登記は、登録免許税法17条4項により税率が通常の50/100になります。

地上権設定登記の登録免許税における基本税率と課税標準

 

地上権の設定登記に課される登録免許税の計算式は、シンプルに「固定資産税評価額 × 1%(1,000分の10)」です。ここでいう課税標準とは、市区町村が固定資産課税台帳に登録している不動産の価格、つまり固定資産税評価額を指します。売買価格や市場の実勢価格ではありません。つまり、実際の取引金額が2,000万円の土地であっても、固定資産税評価額が1,200万円であれば、課税標準は1,200万円として計算します。

この点は宅建実務において非常に重要です。意外と「取引価格で計算するのでは?」と誤解している方も多く、重要事項説明の場面で顧客への説明が曖昧になるケースがあります。固定資産税評価額は一般的に実勢価格の60〜70%程度とされているため、税額は実際の取引価格よりも低く算出されることがほとんどです。

具体的に計算してみましょう。土地の固定資産税評価額が2,000万円の場合、地上権設定登記にかかる登録免許税は以下の通りです。

計算要素 内容
課税標準(固定資産税評価額) 2,000万円
税率 1,000分の10(1%)
登録免許税額 20万円

実務では、登録免許税の計算において端数処理にも注意が必要です。端数処理のルールが2段階になっています。

  • 課税標準の端数処理:固定資産税評価額に1,000円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。
  • 税額の端数処理:計算した登録免許税額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。なお、計算した額が1,000円未満の場合は1,000円になります。

端数処理が2段階というのは意外と見落としやすいポイントです。例えば固定資産税評価額が1,234万5,678円の土地であれば、課税標準は1,234万5,000円(1,000円未満切り捨て)となり、税率1%を乗じて123,450円、さらに100円未満の端数を切り捨てて123,400円が最終的な登録免許税額となります。

固定資産税評価額は毎年4月1日に新された新年度の価格が使用されます。3月31日以前に申請するか4月1日以降に申請するかで課税標準が変わる可能性があるため、申請タイミングも確認しておくのが賢明です。

国税庁|No.7191 登録免許税の税額表(令和7年4月1日現在)

地上権設定登記の登録免許税:登記原因別の税率早見表

地上権に関する登録免許税は、「設定の登記」だけでなく、「移転の登記」の場合にも課税されます。登記原因ごとに税率が異なるため、実務では混同しないよう整理しておくことが不可欠です。税率の違いを正確に把握していないと、顧客への費用概算説明に誤りが生じ、信頼を損なうことにもなりかねません。

以下に登記原因別の税率をまとめます。

登記の種類 課税標準 税率
設定または転貸の登記 固定資産税評価額 1,000分の10(1%)
相続・法人の合併による移転 固定資産税評価額 1,000分の2(0.2%)
共有に係る権利の分割による移転 固定資産税評価額 1,000分の2(0.2%)
その他の原因による移転(売買・贈与等) 固定資産税評価額 1,000分の10(1%)

設定と売買移転はどちらも1%です。一方で、相続や法人合併による移転の場合は0.2%と、設定時の5分の1になります。これは大きな差です。

例えば固定資産税評価額が3,000万円の土地に設定された地上権を相続した場合、登録免許税は「3,000万円 × 0.2% = 6万円」です。同じ土地の地上権を売買で取得した場合は「3,000万円 × 1% = 30万円」となり、相続と売買では5倍の差が生じます。

相続による移転が0.2%に抑えられているのは、相続という不可避のイベントに対して過大な税負担が生じないよう配慮した政策的な判断によるものです。宅建事業従事者として相続案件を扱う際は、この有利な税率を顧客に正確に説明できるようにしておきましょう。

また、賃借権の設定登記と地上権の設定登記は、どちらも税率1,000分の10(1%)で同じです。地上権は物権として権利が強力ですが、登録免許税のコストは賃借権と変わらない点も覚えておくと混乱しません。税率は同じということですね。

税務研究会|不動産の登記に関する登録免許税の課税標準・税率一覧

地上権付き土地の所有権移転登記で税率が半額になる特例

これを知らないと数十万円の損をする可能性があります。登録免許税法第17条第4項には、重要な特例が定められています。内容はこうです。「地上権または賃借権の登記名義人が、その土地の取得に伴い所有権の移転登記を受ける場合、税率が通常の50/100(半分)になる」というものです。

具体的な場面で説明します。たとえば、AがB所有の土地について地上権設定登記を受けており、自分がその土地の地上権者として登録されているとします。後にAがBからその土地を売買により取得した場合、通常の土地売買の所有権移転登記であれば税率は1,000分の20(2%)です(※令和8年3月末までの軽減税率期間中は1,000分の15)。しかし、この場合Aはすでに地上権の登記名義人であるため、税率が50/100となり、本則では1,000分の10(1%)に軽減されます。

ケース 適用税率 固定資産税評価額5,000万円のときの税額
通常の土地売買(所有権移転) 1,000分の20(2%) 100万円
地上権名義人が同じ土地を購入(所有権移転) 1,000分の10(1%) 50万円
差額 50万円の節税

固定資産税評価額が5,000万円の土地であれば、特例適用で50万円もの差が生じます。これは使えそうです。

さらに注意すべき論点があります。この特例で課税標準となる「土地の価額」は、地上権が設定されていないものとした場合の価格(つまり更地評価額)となります。地上権の価額を控除した金額ではありません。地上権が付いているから土地の評価が下がると考えて、その差額を課税標準にしようとするのは誤りです。登録免許税法第10条第1項の規定により、不動産の上に権利が存在していても、その権利がないものとした場合の価額を課税標準とするのが原則です。

この誤解はよくあるものです。平成8年度の宅建本試験でも出題されており、受験生の多くが迷った論点として知られています。宅建試験に向けた学習だけでなく、実務においても正確に把握しておきたい知識です。

過去問解説(平成08年問29)|地上権付き土地の所有権移転と登録免許税の税率特例

地上権設定登記に必要な書類と登録免許税の納付方法

地上権設定登記は、地上権者(権利者)と地上権設定者・土地所有者(義務者)が共同で申請するのが原則です。単独申請はできません。宅建事業従事者として顧客から「なぜ二人一緒に手続きするのか?」と聞かれた際にも、この仕組みを説明できるようにしておきましょう。

登記申請に必要な書類は以下の通りです。

書類名 説明
登記申請書 法務局の書式を使用。登記の目的・原因・権利者・義務者等を記載
登記原因証明情報 地上権設定契約書または報告形式で作成した証明情報
登記識別情報権利証 土地所有者(地上権設定者)が保有する書類
印鑑証明書 地上権設定者(義務者)のもの。発行から3ヶ月以内のものに限る
固定資産評価証明書 登録免許税の課税標準算定のために必要。管轄の市区町村役場または都税事務所で取得
代理権限証書 司法書士に依頼する場合の委任状
地上権設定契約書 登記原因証明情報として使用することも可能

登録免許税の納付方法は、申請する税額に応じて2種類から選択します。

  • 収入印紙による納付:税額が3万円未満の場合に使用可能。法務局内などで購入し、申請書に貼付します。
  • 現金による納付(銀行振込):税額が3万円以上の場合は原則として銀行等で現金納付し、領収証書を申請書に貼付します。

収入印紙で納付する場合、印紙に消印をしないよう注意が必要です。登録免許税の収入印紙は消印不要で、そのまま申請書に貼付して提出します。知らずに消印してしまうと再購入が必要になるため、気をつけましょう。

地上権設定登記の申請は、対象土地を管轄する法務局(登記所)に対して行います。登録免許税の納税地も同様で、申請人の住所地ではなく、登記事務を管轄する登記所の所在地が納税地となります。この点は試験でも問われる論点です。

登録免許税の計算や申請書類の作成に不安がある場合は、司法書士に依頼するのが確実です。司法書士報酬は土地の規模や筆数によって変わりますが、目安として5万円〜10万円程度が一般的とされています。

法務局|登録免許税の計算方法(PDFガイド)

地上権設定登記の登録免許税で見落としがちな独自チェックポイント

ここでは検索上位の解説記事ではあまり触れられていない、実務上の落とし穴となりやすいポイントを取り上げます。

① 固定資産税評価額が台帳未登録の場合の課税標準

新築建物や造成直後の土地など、固定資産課税台帳にまだ登録価格がない不動産については、固定資産税評価額が存在しません。この場合の課税標準は「登記官が認定した価額」となります。具体的には、法務局が類似する不動産の登録価格をもとに価格を認定します。認定された価格に不服がある場合でも、登記申請のタイミングでは事前に異議申し立てができないことが多いため、管轄の法務局に事前確認しておくことをお勧めします。

② 地上権設定登記が後から抹消された場合の登録免許税

地上権設定登記を完了した後、契約解除や合意解除などによって地上権を抹消する場合、抹消登記にも登録免許税がかかります。抹消登記の課税標準は「不動産の個数」で、1個あたり1,000円です。設定登記のような固定資産税評価額ベースの計算とはまったく別の体系です。これは原則です。設定時に高額な登録免許税を払った後、すぐに解除になっても、抹消登記の登録免許税は最低1,000円(不動産1個につき)で済みます。

③ 地上権設定登記が共同申請できない場合のリスク

地上権設定登記は、地上権者と地上権設定者の共同申請が必要です。もし土地所有者が登記協力を拒否した場合、地上権者は登記を受けることができません。登記なしの状態では、地上権を第三者に対抗することができず、土地所有者が第三者に土地を売却した場合、新所有者への対抗力を失います。この点で損害を受けるリスクは非常に大きいものがあります。

ただし、建物所有を目的とする地上権(借地権)の場合は、借地借家法の規定により、借地上の建物に自己名義の登記があれば第三者に対抗できます。つまり、地上権そのものを登記していなくても建物の登記で代替できるケースがあります。ただし、最高裁判所昭和47年6月22日判決によれば、建物の登記名義は借地権者本人でなければならず、家族名義の建物登記では対抗力が認められません。この点は見落としやすいため、注意が必要です。

仮登記の場合の登録免許税

地上権設定の仮登記の場合も登録免許税が課されます。仮登記の登録免許税は本登記の2分の1(1,000分の5)です。後から本登記に切り替える際は、残りの2分の1を納付することになります。仮登記→本登記という流れを取ることで、本登記に必要な条件が整うまでの権利保全が可能となります。

宅建実務において地上権が絡む取引は比較的少ないかもしれませんが、太陽光発電用地や区分地上権(地下鉄・高架線など)の案件では今後も登場し得ます。登録免許税の計算を正確にできるかどうかは、顧客からの信頼に直結します。知識として持っておくと得をする場面は必ずあります。

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