断熱等性能等級6の仕様基準を正しく理解するための完全ガイド
断熱等級6の家を建てようとしている人が、実は「仕様基準を満たしているつもりで満たしていない」ケースが全体の少なくない割合で発生しています。
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断熱等性能等級6の基本的なしくみとUA値の意味
断熱等性能等級6とは、2022年10月に新設された住宅の断熱性能を示す等級です。従来の最高基準だった等級4(平成28年省エネ基準)をはるかに上回り、HEAT20(一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が定めるG2グレードに相当します。
等級6の核心となる数値が「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。UA値とは、屋根・壁・窓・床など住宅の外皮全体から、1時間あたりどれだけの熱が逃げるかを平均化した数値で、小さいほど高断熱を意味します。ゴルフのスコアと同じ考え方です。
断熱等級1〜7の比較をまとめると以下の通りです。
| 断熱等級 | UA値上限(6地域) | 性能レベルの目安 |
|---|---|---|
| 等級7 | 0.26 | HEAT20 G3相当・世界最高水準 |
| 等級6 | 0.46 | HEAT20 G2相当・ZEH超え |
| 等級5 | 0.60 | ZEH基準・大手HMの標準 |
| 等級4 | 0.87 | 2025年義務化の最低基準 |
| 等級3 | 1.54 | 旧基準・現在は非推奨 |
等級6のUA値「0.46」は、旧来の等級4(0.87)と比較すると約半分の数値です。熱の逃げにくさが約2倍に改善されています。魔法瓶のフタをしっかり閉めた状態に近いイメージです。
重要なのは、UA値だけでなく「ηAC値(イータ・エーシー値)」も同時に満たす必要がある点です。ηAC値は夏の冷房期に窓から入る日射熱の取得量を示し、等級6では2.8以下(6地域)が基準になります。つまり夏の暑さ対策も含めた総合的な基準ということです。
日本は全国を8つの地域区分に分類しており、等級6のUA値基準は以下のように地域によって異なります。
| 地域区分 | 代表都市 | 断熱等級6のUA値 |
|---|---|---|
| 1・2地域 | 旭川・札幌 | 0.28以下 |
| 3地域 | 盛岡 | 0.28以下 |
| 4地域 | 仙台 | 0.34以下 |
| 5〜7地域 | 東京・大阪・長崎 | 0.46以下 |
北海道(1・2地域)では0.28以下という非常に厳しい基準が設けられており、同じ「等級6」でも寒冷地と温暖地では要求される断熱仕様が大きく異なります。つまり地域区分の確認が第一歩です。
国土交通省|住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設(公式情報:等級6・7の創設背景と数値基準)
断熱等性能等級6の仕様基準:断熱材の種類・厚みを部位別に解説
UA値0.46という数値を実現するためには、住宅の各部位(天井・外壁・床・窓)に適切な断熱材を選び、正しい厚みで施工する必要があります。国土交通省が公表している6地域(東京等)向けの仕様例は以下の通りです。
| 外皮の部位 | 断熱材の仕様例(等級6・6地域) |
|---|---|
| 天井 | 吹込み用グラスウール18K 270mm |
| 外壁(内側) | 高性能グラスウール16K 105mm |
| 外壁(外側) | 押出法ポリスチレンフォーム3種 25mm |
| 床 | 押出法ポリスチレンフォーム3種 95mm |
| 窓 | 樹脂製サッシ+Low-E複層ガラス(G12) |
天井の270mmというのは、A4用紙(縦)のほぼ全長分(297mm)に近い厚さです。一般的な断熱等級4の住宅の天井断熱材が100〜155mm程度であることと比べると、その分厚さがよくわかります。
外壁については「充填断熱+外張り断熱」の二重構造になっている点に注目してください。柱と柱の間に断熱材を詰める充填断熱(内側105mm)と、外壁の外側にさらに断熱材を貼る付加断熱(外側25mm)を組み合わせることで、熱橋(ヒートブリッジ)と呼ばれる熱が逃げやすい部分を極力なくしています。
床断熱の95mmも重要です。足元からの冷え込みを防ぐために、押出法ポリスチレンフォームという吸水しにくく圧縮強度が高い断熱材を使用します。
等級6の仕様は1通りではなく、使用する断熱材の種類に応じて複数のルートが存在します。
- 🧶 グラスウール系:コストを抑えやすく、軸組工法・枠組工法ともに対応可能な定番素材
- 🌲 セルローズファイバー:環境負荷が低く調湿性があり、壁内結露リスクを抑える特性あり
- 🔬 フェノールフォーム:熱伝導率が極めて低いため薄い厚みで高い性能を実現できる高性能断熱材
- 💧 ウレタンフォーム(発泡):隙間なく充填でき、気密性と断熱性を同時に確保しやすいが専門技術が必要
断熱材は性能と費用が比例します。フェノールフォームはグラスウールより断熱性が高い一方、価格も高めです。どの断熱材を選ぶかは、予算・工法・地域・施工会社の得意分野によって総合的に判断することになります。
断熱研究会|断熱等性能等級6の戸建て木造住宅向け仕様例(製品リスト)(軸組・枠組工法別の具体的な断熱材製品リストを確認できる)
断熱等性能等級6で窓・サッシの仕様が果たす重要な役割
断熱等級6の仕様基準において、見落とされがちなのが「窓・サッシ」の選択です。実は住宅全体の熱損失のうち、窓からの熱の逃げ割合は壁・天井・床より圧倒的に大きいことが知られています。
等級6の標準的な仕様基準では「樹脂製サッシ+Low-E複層ガラス」が必要とされています。これが重要です。アルミサッシは熱の伝わりやすさが樹脂サッシの約1,000倍とも言われており、どれだけ壁に分厚い断熱材を入れても、アルミサッシのままでは窓から熱がどんどん逃げてしまいます。
主なサッシ・ガラスの組み合わせと性能の違いを整理すると以下の通りです。