一次エネルギー消費量等級の調べ方と活用法完全ガイド

一次エネルギー消費量等級の調べ方と基準を徹底解説

等級6を取得しても断熱等性能等級が低いと補助金の対象外になることがあります。

この記事でわかること
🔍

一次エネルギー消費量等級とは?

住宅が1年間に消費するエネルギー量をBEI値で数値化した国の評価指標。等級4〜8に分類されます。

📋

等級の調べ方3ステップ

BELS評価書・住宅性能評価書・省エネ性能ラベルの3つから確認できます。新築・既存住宅で確認方法が異なります。

💰

等級と補助金・ローン控除の関係

等級が高いほど受けられる補助金が増え、住宅ローン控除の上限額も変わります。最大160万円の補助金制度も存在します。


<% index %>

一次エネルギー消費量等級とは何か|BEIの仕組みを理解する

一次エネルギー消費量等級は、住宅性能表示制度(品確法)によって定められた省エネ性能の評価指標のひとつです。住宅が1年間に消費するエネルギー量を数値化し、その効率性をランク付けするために使われています。ここでいう「一次エネルギー」とは、石油・天然ガス・石炭・原子力・太陽光・風力・地熱など、自然界から直接採取されるエネルギーの総称です。
この等級を判定するのが「BEI(Building Energy Index)」という数値です。BEIは以下の式で算出されます。
$$\text{BEI} = \frac{\text{設計一次エネルギー消費量}}{\text{基準一次エネルギー消費量}}$$
BEIが1.0であれば基準と同等、0.8であれば基準より20%省エネという意味です。数値が低いほど省エネ性能が高い、という理解で問題ありません。
一次エネルギー消費量には、エアコンなどの空調・換気設備・給湯・照明のエネルギーが含まれます。乗算で使うエネルギーをひとまとめに評価するため、設備の性能が直接スコアに影響します。2025年12月時点の等級別BEI基準値と削減率の目安は以下のとおりです。

等級 BEI基準値 省エネ基準比削減率 主な位置づけ
等級4 1.0以下 0%以上 2025年省エネ義務基準
等級5 0.9以下 10%以上 認定低炭素住宅水準
等級6 0.8以下 20%以上 ZEH水準(太陽光除く)
等級7 0.7以下 30%以上 2025年12月1日新設
等級8 0.65以下 35%以上 2025年12月1日新設・最高等級

注意したいのは、等級7・8は2025年12月に新設されたばかりという点です。それまでは等級6が最高等級でした。意外ですね。
2025年4月からすべての新築住宅に等級4の取得が義務化されています。これが「省エネ義務化」と呼ばれる制度改正です。等級4が最低ラインです。
参考:住宅の省エネ基準・等級体系の最新情報(国土交通省)
国土交通省|住宅ローン減税・省エネ基準の詳細情報(等級や証明書類についても解説)

一次エネルギー消費量等級の調べ方|BELS・住宅性能評価書の確認手順

自分の家や検討中の住宅の一次エネルギー消費量等級を知るには、いくつかの方法があります。「断熱性能は確認したけれど、エネルギー消費の等級は見ていない」という方は要注意です。省エネ性能の評価には断熱と設備の両方が必要です。
新築住宅の場合、次の2つの書類を確認するのがもっとも確実な方法です。

  • 住宅性能評価書(設計・建設):登録住宅性能評価機関が発行する書類。断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級など複数の性能を一括で確認できます。評価書の「省エネルギー対策」の項目に、等級の番号(4・5・6・7・8)に丸印がつく形式で表示されます。
  • BELS評価書(建築物省エネルギー性能表示制度):省エネ性能を星の数(☆〜☆☆☆☆☆☆)で示す第三者認証の評価書。一次エネルギー消費量等級の削減率が星の数に対応しています。現時点では評価書上に等級の数字は直接記載されず、削減率と星数で表示される仕様です。

建売住宅を購入する場合、すでに評価書が取得済みのケースと費用負担が必要なケースとがあります。どちらも検査機関への委託費用が発生するため、購入前に売主に確認しましょう。費用の目安としては、BELS評価(住戸のみ)で戸建て1件あたり5,500円〜という機関が多いです。
既存住宅中古住宅)の場合は少し手順が異なります。証明書類がなければ築年数をもとに、その年代の省エネ基準を参照して大まかな性能を推測する方法があります。ただし正確な等級を得るためには、現況の設備を入力して計算し直す必要があります。
一次エネルギー消費量等級の確認が重要な理由のひとつが、住宅ローン控除の適用要件です。2024年以降、住宅ローン控除の対象は省エネ基準適合住宅CEECコラム|省エネ基準適合住宅とは?証明書類や住宅ローン減税の申請方法まで詳しく解説

一次エネルギー消費量等級のBEI計算方法|Webプログラムの使い方

BEI値は、手計算ではなく専用のWebプログラムで算出するのが一般的です。国立研究開発法人 建築研究所が「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を無料で公開しており、計算に利用できます。BEI計算には費用がかかりません。
計算プログラムに入力する主な項目は次のとおりです。

  • 🏠 住宅の所在地域(地域区分1〜8)
  • 🌡️ 空調(エアコン)の機種・効率
  • 💧 給湯器の種類と効率(エコキュート・エコジョーズ等)
  • 💡 照明の種類(LED/蛍光灯/白熱球)
  • 🌀 換気設備の種類(熱交換換気の有無)
  • 📐 各室の床面積・吹き抜けの有無

計算の結果、「設計一次エネルギー消費量」と「基準一次エネルギー消費量」が数値で出力されます。その比率がBEIです。BEI 0.8以下なら等級6、0.7以下なら等級7といった形で等級が決まります。
ここで注意が必要です。仕様基準(簡易判定)の場合は「省エネ基準適合(等級4相当)」「ZEH水準(等級6相当)」程度の判定しかできません。個別の等級数値(等級7・8)を確認したい場合は、必ずWEBプログラムによる計算が必要です。これは意外と知られていない落とし穴です。
また等級7・8(2025年12月新設)では、太陽光発電設備による創エネ量は評価に含めない点もポイントです。再生可能エネルギーなしの純粋な省エネ性能で評価されます。太陽光があっても等級7を名乗れるわけではない、ということです。
参考:住宅の一次エネルギー消費量計算Webプログラム(無料)
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム|建築研究所(BEI計算・外皮性能計算が無料で利用可能)

一次エネルギー消費量等級と断熱等性能等級の違い|省エネ補助金への影響

住宅の省エネ性能を調べる際に、「一次エネルギー消費量等級」と「断熱等性能等級」のふたつが登場します。似た名前ですが、評価の対象がまったく異なります。ここは重要なポイントです。

評価指標 評価対象 数値基準 最高等級
一次エネルギー消費量等級 空調・給湯・照明・換気などの設備の効率 BEI値 等級8(2025年12月〜)
断熱等性能等級 壁・窓・屋根・床などの断熱性能 UA値・ηAC値 等級7

断熱等性能等級は「建物の外皮がどれだけ熱を逃がさないか」を示します。一方、一次エネルギー消費量等級は「住まいの設備全体がどれだけ効率的にエネルギーを使うか」を示します。どちらか一方が高くても、もう一方が低ければ補助金の対象から外れることがあります。両方そろえることが基本です。
2025年に閣議決定された「みらいエコ住宅2026事業」では、新築住宅への補助金条件が整理されています。

  • 💴 ZEH水準住宅(断熱等級5+一次エネ等級6):最大55万円/戸(子育て・若年婦世帯)
  • 💴 長期優良住宅(断熱等級5+一次エネ等級6):最大95万円/戸
  • 💴 GX志向型住宅(断熱等級6+一次エネ削減率35%以上):110万円/戸(寒冷地125万円)

GX志向型住宅は一次エネルギー消費量等級8相当(再エネ含まない削減率35%)が求められます。最大補助額を狙うなら一次エネ等級8が条件です。知っておくと得します。
住宅ローン控除との関係で言えば、ZEH水準省エネ住宅(一次エネ等級6以上)は年末ローン残高の0.7%が13年間控除され、借入限度額が省エネ基準適合住宅より500万円高い設定になっています。これは長期にわたる大きな金銭的メリットです。
ECOPLUSコラム|住宅ローン控除ZEH水準省エネ住宅とは?断熱等性能等級・一次エネ等級の組み合わせ要件を図解

一次エネルギー消費量等級を上げる方法|設備選びと独自視点の「隠れた落とし穴」

一次エネルギー消費量等級を高めるには、断熱性能だけでなく「設備の効率」を総合的に見直すことが欠かせません。多くの方が「断熱さえしっかりすれば等級は上がる」と思いがちですが、それは断熱等性能等級の話です。
実際には、同じ断熱仕様でも設備選びによって一次エネルギー消費量等級が大きく変わります。例えば東京(6地域)の戸建住宅で、従来型の電気温水器からエコキュート(高効率ヒートポンプ給湯機)に変するだけで、BEI値が0.1〜0.15程度改善するケースがあります。これは等級を1段階上げる大きな変化です。
一次エネルギー消費量等級を改善するための主な手段は以下です。

  • 🌡️ 高効率給湯器の導入:エコキュート・エコジョーズ・家庭用燃料電池(エネファーム)のいずれかに変更。給湯は家庭全体の一次エネルギー消費量の約3割を占めるため、効果が大きいです。
  • 💡 LED照明+調光センサーの設置:白熱電球比で消費電力を約80%削減できます。LED化だけで一次エネ消費量を20%以上削減できるという試算もあります。
  • 🌀 リフォーム時にも取得・更新できる」点が意外と知られていません。例えば、築20年の既存住宅でも、給湯器をエコキュートに換えて窓を複層ガラスに交換する「省エネ改修」を行えば、改修後に改めてBELS評価を取得し、等級を更新することができます。これにより「省エネ部位ラベル」という既存住宅向けのラベルを発行し、住宅を売却・賃貸する際の価値アップにつなげることも可能です。
    リフォームで等級を改善した場合、前述のみらいエコ住宅2026事業の補助金(高断熱窓の設置で最大100万円、高効率給湯器の設置で10〜17万円等)も活用できます。新築を建て替えなくても省エネ補助金が受け取れるということです。これは使えそうです。
    等級を上げる計画を立てる際は、まず現状のBEIをWEBプログラムで試算し、どの設備の変更が最もBEIを下げる効果があるかを確認することをおすすめします。施工会社や省エネ計算の代行業者に依頼すれば、数万円の費用で仮計算を出してもらえます。
    国立研究開発法人 建築研究所|建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報(一次エネルギー計算の根拠資料・算定方法の解説)