エコジョーズとはノーリツの省エネ給湯器:仕組みと不動産活用の全知識
エコジョーズに交換するだけで、賃貸オーナーは入居者に年間4万円以上のガス代節約を提供できます。
エコジョーズとはノーリツが開発した潜熱回収型給湯器の仕組み
エコジョーズとは、ガスを燃焼してお湯を沸かす際に発生する排気熱を「二度使い」することで、エネルギー効率を大幅に高めたガス給湯器のことです。正式には「潜熱回収型ガス給湯器」と呼ばれており、ノーリツはこの分野における国内トップクラスのメーカーです。
従来型の給湯器は、ガスを燃やしてお湯を温めた後、約200℃近い高温の排気ガスをそのまま外に捨てていました。熱効率は約80%前後と言われており、言い換えると、ガス代の約20%分のエネルギーがそのまま「捨てられていた」計算になります。これはA4用紙で例えると、5枚分のうち1枚分を毎回ゴミ箱に捨てているようなイメージです。
エコジョーズはこの「捨てられていた熱」を見事に活用します。具体的な仕組みはシンプルです。
- 💧 一次熱交換器(従来型と同じ部品):ガス燃焼の直接的な熱でお湯を沸かす
- ♻️ 二次熱交換器(エコジョーズ独自の部品):排気ガスの残り熱(約200℃)を回収し、給水をあらかじめ温める
この2段階の熱交換によって、同じ量のガスでより多くのお湯を沸かせるようになり、熱効率は約95%にまで向上します。従来型80%と比較すると、約15ポイントもの改善です。
ただし、この仕組みには副産物があります。排気熱を冷やして熱を奪う過程で、水蒸気が凝結し「ドレン水(凝縮水)」が発生します。このドレン水はpH3程度の酸性であるため、そのまま流すと配管を傷める恐れがあります。ノーリツのエコジョーズには本体内部に「中和器(炭酸カルシウム)」が内蔵されており、このドレン水を中性(pH7程度)に処理してから排出する仕組みになっています。つまり、ドレン排水工事が必要なのはこのためです。
つまり「省エネ+排水処理」がセットの設計ということですね。
ノーリツはさらに、ふろの追いだき側にも二次熱交換器を搭載したモデルを展開しており、給湯だけでなく追いだき時にも高い熱効率を実現しています。リンナイなど他社のエコジョーズが給湯側のみに二次熱交換器を設ける場合が多いのに対し、ノーリツ製品の一部機種はこの点で差別化されています。不動産の設備として提案する際には、こうした細かい仕様の違いを把握しておくと、入居者や購入者への説明に役立ちます。
参考:ノーリツ公式「エコジョーズについて」(仕組みや二次熱交換器の詳細図解を掲載)

エコジョーズのノーリツ製品ラインアップと号数の選び方
ノーリツのエコジョーズは、家族構成や設置環境に応じた豊富なラインアップが揃っています。不動産の設備として適切な機種を選ぶためには、「号数」「機能タイプ」「設置場所」の3点を正しく理解することが重要です。
号数の目安
号数とは「1分間に水温+25℃のお湯を何リットル出せるか」を示す数値です。戸建て・マンション問わず、以下が目安になります。
| 号数 | 想定世帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| 16号 | 1〜2人暮らし | コンパクト、省スペース |
| 20号 | 2〜3人家族 | 標準的な使用量に対応 |
| 24号 | 3〜5人以上の家族 | 同時使用にも安定供給 |
号数が小さすぎると、複数箇所で同時にお湯を使った際に温度が安定しないというトラブルが起こります。不動産の現場でよく見られるのは、「家族が増えたのに号数を変えずに使い続けているケース」です。入居者からのクレームにつながりやすいため、設備更新のタイミングで号数の見直しも検討してください。
機能タイプの分類
- 🛁 給湯専用タイプ(GQシリーズ):本体15万円台〜。お湯を出すだけのシンプルな機種
- 🔄 オートタイプ:自動お湯はり・追いだき機能付き。本体18万円台〜
- ⭐ フルオートタイプ:自動足し湯・配管自動洗浄機能付き。本体20万円台〜
- 👑 プレミアムシリーズ(GT-C(P/V)72PWAWシリーズ):除菌機能「AQUAOZONE」・入浴見守り機能「HIITO」搭載。本体50万円台〜
(価格はメーカー希望小売価格)
賃貸設備としてコストパフォーマンスを重視するなら、フルオートタイプが選ばれるケースが多い傾向があります。自動配管洗浄機能があることで、入居者交代時の衛生面での安心感を訴求でき、募集時の差別化にもなります。
ノーリツ独自技術のポイント
ノーリツが他メーカーと差別化している技術として、「わかすアプリ」があります。スマートフォンから給湯器を遠隔操作できる機能で、外出先からのお湯はり・床暖房操作、さらには入居者の入浴状況を家族が確認できる「見まもり機能」も備えています。高齢者向け賃貸やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の設備提案では、このアプリ連携機能が強力な訴求ポイントになります。これは使えそうです。
参考:ノーリツ公式「エコジョーズの価格相場から費用・選び方まで」(号数・機能別の費用相場を詳しく解説)

エコジョーズのノーリツ製を賃貸物件に導入するメリットとデメリット
不動産従事者の視点でエコジョーズの導入を考えると、入居者側・オーナー側それぞれに関係するメリットとデメリットがあります。両面を正確に把握したうえで、オーナーへの提案精度を高めましょう。
✅ 導入メリット
① 入居者の光熱費が下がり、物件の競争力が上がる
ノーリツの試算によると、LPガスの場合、エコジョーズは従来型と比較してランニングコストが年間約43,200円削減できます。都市ガスでも約12〜15%のガス消費量削減が一般的な目安です。月換算で3,500〜3,600円程度の節約になる計算で、入居者にとっては無視できない金額です。
特にプロパンガス(LPガス)が使われている物件では効果が大きくなります。プロパンガスの料金は都市ガスの約1.5〜1.8倍と言われており、同じ量のお湯を使っても光熱費の負担が重い傾向があります。そのような物件でエコジョーズを導入すれば、入居者の実質的な住居コストを下げる効果があり、空室対策としての訴求力が増します。
② CO2削減・環境訴求ができる
ノーリツのエコジョーズは、LPガス使用時に年間約263kg-CO2を削減します。これは杉の木約19本分の年間吸収量に相当します(林野庁の概算値より)。省エネ設備であることを物件情報に明記することで、環境意識の高い層や企業借り上げ需要への訴求が可能です。
⚠️ 導入デメリット
① 初期費用が従来型より高い
本体価格・設置工事費を含めると、従来型より数万円以上の初期コストがかかります。マンションのPS(パイプスペース)設置の場合、ドレン排水工事の追加費用も発生します。ドレン排水工事単体で数万円程度の追加費用が見込まれるため、複数戸の賃貸集合住宅での一括交換では費用総額が大きくなります。
② 中和器の定期交換が必要
エコジョーズ独自の部品である「中和器」は、約10年に一度の交換が必要です。エラーコード「92」が表示されたら中和器の寿命が近いサインで、「93」に切り替わると給湯器が停止します。従来型にはない維持費であることを、オーナーにあらかじめ説明しておくことが重要です。厳しいところですね。
③ お湯の使用量が少ない物件では節約効果が限定的
月のガス使用量が非常に少ない1人暮らし向け物件(特にシャワーのみ使用など)では、東京ガスの試算で1人暮らしの節約額が月244円程度と、効果が控えめになることもあります。使用状況を踏まえた上での導入判断が求められます。
エコジョーズ交換で使えるノーリツ対応の補助金制度(2026年版)
不動産従事者にとって、補助金制度の把握は費用提案の精度を上げる重要なスキルです。2026年現在、ノーリツ製エコジョーズに対応する主な補助金は2種類あります。それぞれの対象・補助額・条件を押さえておきましょう。
📌 ① 賃貸集合給湯省エネ2026事業(経済産業省)
これは不動産オーナーに直接関係する補助金です。既存の賃貸集合住宅(2戸以上)の給湯器を従来型からエコジョーズ(またはエコフィール)に交換した場合に適用されます。
| 工事内容 | 補助額 |
|---|---|
| 追いだき機能あり(基本) | 7万円/台 |
| 追いだき機能あり(浴室へのドレン水排水工事含む) | 最大10万円/台 |
| 追いだき機能なし(基本) | 5万円/台 |
| 追いだき機能なし(共用廊下横断ドレンレール敷設の場合) | 最大8万円/台 |
補助対象期間は「令和7年11月28日以降の着工分〜令和8年12月末(予算上限に達するまで)」となっています。重要なのは、1棟あたり1台からでも申請が可能であること。小規模なアパートオーナーでも活用できる制度です。
申請は施工業者(事業者)が賃貸オーナーに代わって行います。補助金は契約代金への充当または現金で還元されるため、オーナーへの実質的な費用負担を減らすことが可能です。提出書類には工事前後の写真・銘板写真が必須で、代表1台分だけでは不可という点に注意が必要です。補助金還元が条件ということですね。
参考:ノーリツ公式「賃貸集合給湯省エネ2026事業」(補助額・対象条件・申請書類の詳細を掲載)
https://www.noritz.co.jp/product/hojokin/tintai-shuugou-kyuutou-shouene2026/
📌 ② 給湯省エネ2026事業(個人・戸建向け)
こちらは戸建て住宅や個人が対象の補助金制度です。ノーリツ製エコジョーズのうち、年間給湯効率108.0%以上(JGKAS A705規格準拠)の機種が対象となり、基本要件を満たす場合は1台あたり10万円の補助が受けられます。戸建て物件の売買・リフォーム提案の際に活用できます。
📌 自治体独自の補助金も見逃さない
国の制度に加え、各都道府県・市区町村でも独自の省エネ設備導入補助が設けられているケースがあります。特にゼロエミッション関連の補助や省エネ改修支援事業が展開されている自治体も多く、国の補助と併用できるケースもあります。管轄自治体の最新情報を確認することも大切です。
不動産従事者が見落としがちなエコジョーズ導入の独自視点:入居募集への活用法
省エネ設備は「コスト削減」として語られることが多いですが、不動産の現場で実際に役立つのは「入居者への訴求」と「長期保有コストの最適化」という視点です。ここでは、あまり語られない活用の視点を掘り下げます。
📊 「実質コスト」で他物件に差をつける
入居者が物件を比較するとき、多くの人は「家賃」だけを見て判断します。しかし実際の住居コストは「家賃+光熱費」の合計で決まります。プロパンガス仕様の物件と都市ガス+エコジョーズ仕様の物件を比較すると、ガス代だけで年間3〜10万円程度の差が生まれることもあります。
たとえば、月家賃が5,000円安い物件でも、ガス代が毎月5,000円以上高ければ実質コストは逆転します。エコジョーズ導入によってガス消費量を10〜15%削減できれば、入居者の「住んで得した感」を高めることができます。この「実質コストの見える化」を募集図面や入居者説明で活用するだけで、他の物件との差別化ポイントになります。
🔒 設備グレードの向上で家賃下落を防ぐ
築年数が経過した賃貸物件は、どうしても同エリアの新築・築浅物件と比べると家賃設定が下がりやすくなります。ここでエコジョーズへの交換は、単なる「壊れたから交換」ではなく「設備グレードアップ」として機能します。フルオートタイプへの交換であれば自動配管洗浄・自動足し湯機能が加わり、体感品質が向上します。
設備更新のタイミングでエコジョーズ導入の説明資料を作成し、オーナーに提示することは、管理受託の継続やリフォーム案件獲得にもつながります。補助金10万円の存在を合わせて提案すれば、オーナーの初期費用負担を実質的に抑えたプランとして具体的に動きやすくなります。
🧓 高齢者賃貸・サ高住との相性が特に良い
ノーリツ製フルオートタイプには、入浴状況を確認できる「見まもり機能」と、スマートフォン連携の「わかすアプリ」が搭載されています。高齢者の入居者が湯はり後に長時間応答がない場合、家族や管理者がアプリで状態を確認するという使い方ができます。
高齢化社会の進展に伴い、高齢者向け賃貸住宅や見守りサービスつき物件へのニーズは年々高まっています。給湯器1台でこうした付加価値を提供できる点は、ノーリツ製エコジョーズが持つ意外な強みです。これが原則です。
📋 管理会社として押さえるべき申請実務のポイント
「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の補助金申請において、管理会社が注意すべき点があります。管理委託契約を結んだ管理会社が施工業者と工事請負契約を締結する場合、管理委託契約等の提示が求められます。また、申請に使用する型番は「給湯省エネ2026事業の登録型番」と完全一致している必要があり、納品書の型番と異なる場合は「代用納品書」をノーリツのお湯netからダウンロードして対応することになります。型番の不一致で補助金対象外となるミスは避けたいですね。
書類準備の段階で施工業者と連携して型番・写真・契約書類を整備しておくことが、補助金申請を確実に通すための鍵になります。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業」(対象条件・補助額・申請方法の公式案内)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/kyutokidonyu/chintaisyugo2025.html