空室保証とサブリース違いを比較、仕組みや費用の注意点

空室保証とサブリースの違い

満室の物件でも保証料を払い続けるのは損です。

この記事の3つのポイント
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契約形態の違い

空室保証は保証会社との契約で毎月保証料を支払い空室時に補填を受ける方式。サブリースは物件の一括借上げで空室に関わらず家賃の8~9割が支払われる

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費用と収益構造

空室保証は満室時100%の家賃収入を得られるが保証料が必要。サブリースは稼働率に関わらず賃料は固定だが手数料10~20%を引かれる

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契約解除リスク

サブリースは賃料6~12ヶ月分の違約金が発生。免責期間は1~3ヶ月が一般的で、賃料減額請求も借地借家法32条で認められている

空室保証の基本的な仕組みとは

 

空室保証は、オーナーが毎月保証会社に保証料を支払うことで、空室が発生した際に家賃収入の一部を補填してもらえる仕組みです。保証会社とオーナーが直接契約を結び、満室時の家賃収入の80~90%程度まで保証されるのが一般的です。例えば10戸のアパートで満室時の家賃が月70万円、保証率90%の契約を結んでいる場合、実際の稼働率が70%まで落ち込んでも63万円の収入が確保されます。つまり20%分の空室損失を保証会社が補填してくれるということですね。

空室保証の保証料は、家賃総額の3~5%程度が相場とされています。初回契約時には家賃1ヶ月分の50~100%を支払い、その後は年間または2年ごとに更新料が発生する形態が多く見られます。保証料の設定は物件の立地条件、築年数、周辺の賃貸需要によって変動するため、駅から徒歩5分以内の好立地物件であれば低めの料率が適用されることもあります。

空室保証では、物件の管理や入居者募集はオーナー自身が行うか、別途管理会社に委託する必要があります。保証会社は空室が発生した際の損失補填のみを担当するため、日常的な物件メンテナンスや入居者対応はオーナーの責任範囲です。管理委託契約を結ぶ場合は、家賃収入の5%前後の管理手数料が別途必要になります。

この方式の最大の特徴は、満室時には100%の家賃収入を得られることです。保証料は支払いますが、空室がなければ損失補填は発生しません。稼働率が高い物件であれば、サブリースよりも手元に残る収入が多くなる可能性があります。

サブリースの契約内容と特徴

サブリースは、サブリース会社が物件を一棟まるごと借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。オーナーとサブリース会社の間で転貸借を目的とした賃貸借契約を結び、サブリース会社が入居者と個別に賃貸借契約を締結します。空室の有無にかかわらず、オーナーには満室時家賃の80~90%が定額で支払われるのが基本的な構造です。例えば月額家賃6万円の部屋が10戸ある物件なら、満室時60万円に対して料率85%で月51万円がオーナーに支払われます。

サブリース契約の大きな特徴は、物件管理や入居者募集、退去手続き、クレーム対応などすべての業務をサブリース会社が担当することです。オーナーは賃貸経営に関する実務からほぼ完全に解放されます。修繕計画の立案もサブリース会社が行うため、長期的な建物維持の観点からもメリットがあるといえるでしょう。

ただし注意が必要なのは、賃料の見直し条項です。多くのサブリース契約では2年ごとに賃料改定が行われる仕組みになっており、周辺相場の下落や建物の経年劣化を理由に賃料減額を求められる可能性があります。最高裁判例では、サブリース契約にも借地借家法32条の賃料減額請求権が適用されると判断されており、契約時の賃料がずっと保証されるわけではありません。

入居者の選定権もサブリース会社にあります。オーナーは入居者審査に関与できないため、どのような属性の人が入居するかをコントロールできません。これが原因で物件の価値が下がるリスクもあるため、信頼できるサブリース会社を選ぶことが重要です。

空室保証とサブリース費用面の違い

空室保証とサブリースの最も大きな費用面の違いは、稼働率による収入の変動です。空室保証では満室時に100%の家賃収入を得られるのに対し、サブリースは稼働率が100%でも80~90%の家賃しか受け取れません。

具体的な数字で見てみましょう。

月額家賃70万円の物件で稼働率95%、空室保証の保証料が家賃の4%、サブリース料率が85%の場合を比較します。

空室保証の場合、満室時70万円×95%=66.5万円から保証料70万円×4%=2.8万円を差し引くと、手取りは63.7万円です。一方サブリースは稼働率に関わらず70万円×85%=59.5万円が固定収入となります。この例では空室保証の方が月4.2万円、年間で50.4万円も多く収入を得られる計算になります。

保証料の負担も考慮すべきポイントです。空室保証は稼働率が高い期間が続けば、保証料を支払っても補填を受けることはなく、実質的に保険料を掛け捨てている状態になります。年間の保証料が30万円として、10年間一度も保証を受けなければ300万円が無駄になる計算です。

サブリースでは免責期間にも注意が必要です。入居者が退去してから次の入居者が決まるまでの1~3ヶ月間は家賃保証がない契約が一般的で、この期間はオーナーに収入が入りません。また、オーナー側から中途解約する場合は、賃料の6~12ヶ月分の違約金が発生するケースが多く、解約コストが非常に高額になります。

空室保証とサブリース契約上のリスク比較

契約解除の難易度は両者で大きく異なります。空室保証は保証会社との契約であり、比較的柔軟に契約終了や条件変更が可能です。保証期間も1年単位で設定されることが多く、更新時に継続しない選択も取りやすい特徴があります。一方サブリースは賃貸借契約の一種であり、借地借家法の保護を受けるため、オーナー側からの一方的な解約は困難です。

サブリースでオーナーが解約を申し入れる場合、正当事由が必要とされます。正当事由がない場合は家賃6~12ヶ月分の違約金を支払うか、立退料を提示して交渉しなければなりません。2024年の裁判例では、立退料として家賃18ヶ月分の支払いを命じられたケースも報告されています。解約したくても経済的負担が大きすぎて身動きが取れない状態に陥る可能性があるということですね。

賃料減額のリスクもサブリースに特有の問題です。サブリース会社は借地借家法32条に基づく賃料減額請求権を持っており、周辺相場の下落や経済事情の変動を理由に減額を求めることができます。最高裁平成15年判決以降、この権利行使が認められる判例が確立しており、契約時に「賃料不減額特約」を設けていても無効とされる可能性が高いのです。

サブリース会社の倒産リスクも看過できません。2018年にはサブリース会社の破綻によって約1300人のオーナーが家賃を受け取れなくなる事態が発生しました。サブリース会社が破綻すると、オーナーは入居者との契約関係を直接引き継ぐことになりますが、敷金の返還義務だけが残り、既に受け取った敷金はサブリース会社の破産財団に組み込まれてしまうケースもあります。

不動産業者視点での空室保証提案のポイント

顧客に空室保証を提案する際は、物件の稼働率実績を詳細に分析することが不可欠です。過去3年間の平均稼働率が90%以上を維持している物件であれば、空室保証のメリットを最大化できます。保証会社との契約条件交渉では、物件の立地優位性や周辺賃貸需要のデータを提示することで、保証料率を3~4%程度に抑えることも可能です。

空室保証は管理委託契約とセットで提案するのが効果的です。オーナー自身が物件管理を行う場合、空室対策の実行力が収益に直結するため、プロの管理会社と連携することで稼働率向上が見込めます。管理手数料と保証料を合わせても家賃の8~9%程度に収まれば、サブリースと同等コストで高い収益性を実現できます。

保証契約の更新タイミングは、物件の収益性を見直す絶好の機会です。稼働率が安定的に高い場合は保証を外す選択肢も検討すべきですし、逆に周辺環境の変化で空室リスクが高まっているなら、保証率の引き上げや契約条件の見直しを提案します。1年ごとの更新であれば、市場環境の変化に柔軟に対応できるのが強みです。

保証会社の選定では、財務健全性と保証実績の確認が重要になります。保証会社が経営難に陥れば、保証金の支払いが滞るリスクがあるためです。設立年数、資本金、保証実績件数などの基本情報に加え、会社の信用力も調査対象に含めましょう。

国土交通省のサブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン

サブリース事業者が守るべき基本的なルールや、オーナーが注意すべき契約条件について詳しく解説されています。賃料減額のリスクや契約解除の難しさなど、実務で押さえるべきポイントが網羅されているため、顧客への説明資料としても活用できます。

サブリース契約で不動産業者が注意すべき法的論点

サブリース新法(賃貸住宅管理業法)の施行により、2020年12月以降は重要事項説明が義務化されています。契約締結前にオーナーに対して書面を交付し、賃料の改定や契約解除に関する条件を説明しなければなりません。「30年一括保証」や「家賃保証」といった文言を広告に使用する場合は、必ず「定期的な家賃見直しあり」などのリスク情報を同一の広告内に同じ大きさの文字で記載する必要があります。

借地借家法28条の正当事由についても理解を深めておくべきです。オーナーからサブリース契約の更新拒絶や中途解約の相談を受けた際、正当事由の有無を判断する必要があります。判例では「オーナーの自己使用の必要性」「サブリース会社の使用継続の必要性」「建物の利用状況」「立退料の提供」などが総合的に考慮されるとされています。正当事由だけで終了が認められるケースは極めて稀です。

免責期間の設定も法的なトラブルの種になりやすい部分です。入退去時の1~3ヶ月間を免責期間とする契約が一般的ですが、入居者が決まった時点で免責期間を短縮する条項があるかどうかを確認すべきです。免責期間が3ヶ月と設定されていても、実際には2週間で次の入居者が決まった場合、残りの期間の賃料をどう扱うかで紛争になるケースがあります。

賃料減額請求への対応策として、契約書に具体的な減額条件を明記する方法があります。「周辺相場が10%以上下落した場合」「築年数10年経過後」など、客観的な基準を設けることで、一方的な減額請求を防ぐ効果が期待できます。ただし、借地借家法32条の適用を完全に排除することはできないため、減額幅の上限や改定頻度の制限を設けるのが現実的な対応です。

不動産適正取引推進機構のサブリース関連判例集

賃料減額請求や契約解除をめぐる最高裁判例が整理されており、法的論点の理解に役立ちます。実務で顧客からサブリース契約の相談を受けた際、過去の判例に基づいてリスクを説明することで、より説得力のあるアドバイスが可能になります。


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